月刊バスケットボール5月号

渡辺伶音(福岡大学附属大濠高等学校1年)インタビュー「決勝トーナメントでもペイントで勝負」 - FIBA U16アジア選手権大会2022第3日レポート

 クウェート代表とフィリピン代表に対して白星を2つ重ね、FIBA U16アジア選手権大会2022のグループC1位通過を決めたU16男子日本代表で、最も大きなプレーヤーが、身長204cmのセンター渡辺伶音(福岡大学附属大濠高等学校1年)だ。98-33で勝利した初日のクウェート代表との試合では、点差があったことや次のフィリピン代表との試合に向けスカウティングの駆け引きもあってか、登録の12人中4番目に少ない13分15秒の出場にとどまり4得点、3リバウンド、2アシストと数字的にもおとなしかった。しかし大会第3日はフィリピン代表に対して16得点、9リバウンド、1スティール、1ブロックとオールラウンドな活躍ぶり。フィールドゴール成功率も50.0%で、3Pショットも3本のアテンプト中1本を成功させ、武器がサイズだけではないことを示した。

 


初日の対クウェート代表戦でシュートを狙う渡辺(写真/©FIBA.U16Asia)


フィリピン代表を73-67で振り切って勝利した後、渡辺は「ボックスアウトを一試合通じて競うことができました。オフェンスではチームメイトから良いパスをもらうことができ、ペイントで得点できたのが良かったです。オープンになれば3Pショットも狙うというのも試みました」と堅実かつ積極的だったこの日のパフォーマンスを振り返っていた。その3Pショットは、日本が徐々に点差を広げていった第2Qの終盤に33-22と初めてリードを2桁に乗せる一撃。それを含めこのクォーターに7得点、2リバウンド、1スティールを記録した渡辺の活躍には、後半に向けチームの良い流れをつなげる価値があった。


ねばり強いフィリピン代表がじわじわと追い上げる展開となった第4Qには、残り2分あたりからのプレーで自らのレイアップがこぼれるところをしつこくフォローし、4本目のプットバックでねじ込む執念も見せた。長身ではあってもまだ高校1年生の身体的な強さは大人のそれとは違う。フィジカルな相手と競い合い、何とか得点につないだこのシーンのようなプレーの積み重ねが、今後の飛躍につながるステップになるにちがいない。


決勝トーナメントでは、よりフィジカルで大きなプレーヤーと対戦する可能性もある。それでも渡辺は、「もっともっと、ペイントにアタックしていかないといけません。もちろんこれまでの2試合以上に相手がより大きく強くなるでしょうけれど、それでも僕はペイントで勝負だと思っています。それがこのチームでの僕の役割ですから」と強い気持ちで臨む姿勢を見せている。「ペイントの外でのプレーも、アウトサイドからのショットももっとうまくなりたいです」と成長への高い意欲を持つ16歳。FIBA U17ワールドカップ2022への出場権がかかる準々決勝でも、大きな仕事を期待できそうだ。



(月刊バスケットボール)



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