月刊バスケットボール5月号

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2022.06.06

町田瑠唯がWNBAでのキャリアハイ更新の9アシスト、5得点 - ミスティクスは今シーズン初の連敗

 WNBAワシントン・ミスティクスの町田瑠唯が、日本時間6月6日(北米時間5日)に行われたシカゴ・スカイとのアウェイゲームで渡米後のキャリアハイとなる9アシストに5得点、2リバウンドを記録した。スターターからベテランのエレーナ・デレ・ダンを欠き、かつマイク・ティボーGM兼HCが安全衛生プロトコル入りして指揮をとれない状況のミスティクスは、試合には82-91で敗れ今シーズン初の連敗となった。しかし、町田がコートに立っている間の得失点±が+1だったことからも感じられるように、町田個人としてはミスティクスに良い流れを生み出す時間が長かった。

 

 

ワシントン・ウィザーズ日本語ツイッターアカウントの町田瑠唯ハイライト映像ハイ瑠唯ト」

 

 町田の5得点はハーフコートゲームで生み出したもので、第2Q残り8分52秒にマイシャ・ハインズ-アレンとのハイピックプレーでトップ左から放った3Pショットと、第4Q残り4分に“CP3”のニックネームで人気の身長193cmのセンター、キャンディス・パーカーとのミスマッチを突いて仕掛けたドライブからのレイアップだった。対してアシストは、9本中6本が速攻もしくは5人目のトレーラーにつないでのアーリーオフェンスでのパス。ダイナミックなプレーメイクが冴えを見せていた。ミスティクスはスカイのハイレベルなシューティング(フィールドゴール成功率55.4%、3P成功率45.0%)の前に屈したものの、オフェンスではチーム全体がよく走れており、その中で町田も味方のミスマッチやワイドオープン、速攻の機会を逃さず好パスを連発させることができていた。

 

 マイク・ティボーGM兼HCに代わってこの試合で指揮を執ったエリック・ティボー アクティングHCに、試合後の会見で町田の出来について感想を尋ねると、「今スタッツシートを見たら、アシストを9本もしていたんですね!(Well, I didn’t even know she had …, I just looked down and saw 9 assists!)」と切り出し、以下のように話してくれた。

 

 

「今日はテンポを上げてチームを良いペースに乗せ、アーリーオフェンスに持ち込んでくれていました。得点も積極的に狙っていましたね。コーチ陣がこぞって言っていますし、チームメイトも一緒にそう言っていますから(笑) ホームでプレーするとお客さんたちも彼女に得点を狙って打ってほしいと願っている様子です。アシストするときも、いくつかはやっぱりアグレッシブさが誰かのヘルプを引き寄せることで生まれているんですよね。みんな彼女がパスしたいのをわかっているので、彼女は得点を積極的に狙わなければなりません。そっを頑張っているのが見られて良かったです」

“I mean I thought she did a good job of pushing the tempo, playing with pace, getting us into some early offense and I liked that she was going to be aggressive and shoot the ball. I think all the coaches are on her, teammates, too and our fans at home when we’re playing at home are about looking for her shot and being willing to shoot. Even on, you know, some of her assists, she got the assist because she was aggressive with the ball and attacked the paint and made somebody help. I think people know that she wants to pass. So she’s going to have to be aggressive and look to score a little bit. So I was glad to see her get going.”

 

エリック・ティボー アクティングHCは試合後会見で町田のプレーを高く評価。ただし得点への意識はもっともっと高めてほしそうな様子だった(映像をクリックするとインタビュー映像が見られます)

 

 町田はこの試合で一つだけターンオーバーがあったが、そのプレーはドリブルでペイントにアタックした後キックアウトパスを狙ったところでインターセプトされたケース。町田がその後1分経たずにベンチに下がるという経過があったため、その理由が自分でフィニッシュしなかったからだったのかも確認すると、「いえ、そう計算したわけではありません。ナターシャとアリエルの時間が来たので交代になりました(No, it was not that calculated.no it was kind of normal time for Natasha and Ariel to go back in.)」とのこと。ただし、「でもあのプレーで彼女がシュートしなきゃと思ってくれたとしたら、それはそれでよいと思いますね(But if that makes her think she needs to shoot the ball, then that’s fine.)」とも話していた。

 

 この試合で、ハーフコートでのピック&ロールからのアシスト成功がなかった代わりに、3Pショットとペイントアタックからのフィニッシュで得点できたことは、町田にとって一つの収穫と言えると同時に今後そのような必要性がいっそう高まる可能性も示しているかもしれない。ここまでの12試合では平均2.8得点、3.6アシスト、2.0リバウンド、0.5スティールというアベレージだが、得点が仮に現在の倍の平均5.6まで上げられれば(3P成功数を平均1本増やせばそのレベルになる)、もしかしたらアシストも倍近くにできるのではないだろうか。平均7.2アシストはリーグトップを競える数字(現時点でトップのコートニー・バンダースルート[スカイ]は平均7.1本)だが、ここまでの町田の活躍ぶりを見れば、それが十分可能な範囲だと感じられる。

 

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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