月刊バスケットボール5月号

女子日本代表、オーストラリア代表との第2戦は1点差勝利

 オーストラリアに遠征し、同国代表との3試合のフレンドリーシリーズに臨んでいる女子日本代表が、5月29日にその2試合目に臨み、56-55で勝利を手にした。

 

☆オーストラリア代表vs日本代表フレンドリーシリーズ第2戦試合結果
オーストラリア 55(14 07 21 13)
日本 56(06 13 25 12)
日本代表のトップパフォーマー
オコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)20得点、フィールドゴール成功率77.8%、3P成功率60.0%、7リバウンド、2ブロック
髙田真希(デンソーアイリス)10得点、3P成功率50.0%、9リバウンド
平下愛佳(トヨタ自動車アンテロープス)10得点、3P成功率40.0%、フィールドゴール成功率50.0%

 

 2日前の初戦を6点差で落とした日本代表は、この日もスタートが悪くいきなり0-9とリードを奪われた。日本代表の最初の得点は開始から3分23秒が過ぎたところで、宮崎沙織(ENEOSサンフラワーズ)が決めたミドルジャンパー。しかしその後も流れは変わらずリードは2-13まで広がった。日本代表は、守ってはディフェンスリバウンドがなかなか獲れず、攻めては3Pショットもペイントでのフィニッシュも決まらない苦しい展開。ようやくこのクォーターの残り3分5秒に安間志織(アイスフォーゲルUSCフライブルク)のアシストでオコエ桃仁花が4点目を奪ったあたりから、流れが少しずつ変わっていった。


第2Qが始まっても波に乗りきれずにいた日本代表だったが、執拗なディフェンスで相手のミスを誘い、宮崎のドライビングレイアップ、髙田真希のスティールから転じた速攻での吉田舞衣(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)のレイアップとアンドワンのフリースローで、11-16と点差を詰めていく。


オーストラリア代表が3点を加えた後、日本代表は安間のアシストで平下愛佳が右ウイングから3Pショットを決め14-19。その後ディフェンスの強度を高く保ちハーフタイムまでの失点を2Pフィールドゴール1本のみに抑える一方で、オコエ、宮澤夕貴(富士通レッドウェーブ)、赤穂ひまわり(デンソーアイリス)が1本ずつフリースローを決め、前半終了間際に髙田がゴール下でレイアップをねじ込み19-21と追い上げた。


前半を終えた時点での日本代表はフィールドゴール成功率が20.0%(35本中7本成功)、3P成功率は8.3%(12本中1本成功)。失点を21にとどめたディフェンスに関しては非常にアグレッシブで効果が感じられているが、オフェンスではワイドオープンのショットも決まらず、何かのきっかけが欲しい状況だった。


オフェンスではもう一つ、恩塚 亨HC就任後に代表に選出された、あるいは候補に名を連ねたプレーヤーたちが口々に話していた、ペイント周辺でのフィニッシュが、現時点ではまだ完成していないことも感じられた。果敢なドライブがたびたびあり、フィニッシュのスタイルはさまざまなバリエーションを見せてくれていたが、ゴール間近まで攻め込みながら決めきれてなかった。


ただ、アウトサイドでもペイントでも、ショットセレクションとしては悪いようには見えない。高さやフィジカリティーへの対応が必要なペイントでのフィニッシュは、果敢なチャレンジができること自体が大きなポジティブに違いない。FIBA女子ワールドカップ2022、あるいは2024年のパリオリンピックまで、時間をかけて前進していくものなのかもしれない。


一方3Pショットに関しては力がないわけではなく、本来維持すべき安定感が出せていなかった。「アウトサイドショットの調子は伝染する」とよく言われるように、誰かが波に乗れば打開できるのかもしれない。それが一試合を通じて誰に必ずやってくるような流れの作り方が課題なのだろうか…と思って見ていたら、後半の日本代表は見違えるようなロングレンジゲームを展開してくれた。

 


第3Qは、赤穂が粘り強いドライブでファウルを誘い、フリースローで先制してまずは21-21の同点に追いついた。1本決め返された後、髙田がゴール下でねじ込み、さらにアンドワンのフリースローも決めて24-23とこの試合で初めてリードを奪う。


徐々に流れが日本の方に傾いてきたこの時間帯に、オコエが左コーナーから3Pショットを決めて、日本代表はスコアボードを29-27の2点リードとする。この1本がきっかけとなった。ここから日本代表の3Pショットが突如として好調の波に乗る。オーストラリア代表の3Pショットも決まり打ち合いとなったが、日本代表は髙田、オコエ、平下と次々と決めて、第3Qを終えた時点でも44-42とリードを維持していた。


第4Qも日本代表の最初の得点は、東藤の3Pショット。また波に乗ったオコエが3Pショット、レイアップ、フリースローと得点を伸ばした。東藤がドライビングレイアップを決めた残り1分34秒に56-51と5点リードした日本代表は、その後の攻防をきわどくしのいで56-55で勝利した。


日本代表とはオーストラリア代表のフレンドリーシリーズはこれで1勝1敗。最終戦となる第3戦が31(火)に行われ、遠征の幕を閉じる。

 

公式スタッツ 
FIBA公式フルゲーム映像



文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



PICK UP