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2022/05/25

八村&町田“ダブル・ルイ”コラボ、NBAジャパンゲームス - ウィザーズ&ミスティクス親会社幹部が語る期待

 5月17日にアメリカからのうれしい来客と直接会う機会があった。NBAワシントン・ウィザーズ、WNBAワシントン・ミスティクスの親会社、モニュメンタル・スポーツ&エンタテインメント(以下MSE)のマーケティング関連の幹部一行が来日したのだ。同社はほかにも、バスケットボールでGリーグのキャピタルシティ・ゴーゴー、アイスホッケーNHLのワシントン・キャピタルズ、e-スポーツのウィザーズ・ディストリクト・ゲーミングとキャップス・ゲーミングといったプロスポーツチームを所有しており、“DMV”と称されるアメリカ合衆国首都圏を含む一帯におけるスポーツシーンのリーダーといえる存在だ。


 今回話を聞かせてくれたのは、ビジネス部門代表兼CCO(最高商務責任者)のジム・バンストーン氏、グローバルパートナーシップ部門シニアバイスプレジデント(SVP)のパトリック・ダフィー氏、CMO(最高マーケティング責任者)のハンター・ロックマン氏、マーケティング部門SVPのレベッカ・ウィン氏の4人。また日本におけるマーケティングマネジャーの新川 諒氏が通訳を担当してくれた。

 

左からダフィーSVP、バンストーンビジネス部門代表兼CCO、ロックマンCMO、ウィンSVP

 


WNBAジャパンゲームスの話が出たら真っ先に手を挙げる


 4度目の来日、パンデミック後は初というバンストーンCCOと一行は、日本とワシントンD.C.の友好のシンボルとなっている桜をモチーフにしたウィザーズの2022-23シーズン向けユニフォームも持参してくれていた。日本から苗木が送られてちょうど110周年という節目にこのモデルを発表できたことの喜びとそれが生み出すだろうものへの期待、同じコンセプトのモデルをMLBワシントン・ナショナルズと同時に発表し、NFTやクリスタル・ケイをゲストに招いての国歌斉唱などユニークな取り組みを含む「Cherry Blossom Night」の企画で盛り上がったこと、このモデルで来シーズン12試合を戦うこと、キャピタルワン・アリーナのコートにもスペシャルフィーチャーのデザインが登場することなど、ユニフォーム1枚で楽しい話題が展開した。桜をモチーフとしたアイテムはプレーヤー向けのアイテムだけではなく、今後ストリートクローズも登場するそうだ。


 八村 塁と町田瑠唯獲得のインパクトも上々とのこと。NBAでは初めての試みだったソーシャルメディアでの日本語コンテンツ発信の好評ぶりや、コロナ禍が始まる前の日本のファンやアメリカに住む日系ファンからの熱烈な声援から、両者がコート上での貢献に加えてビジネス市場におけるコミュニケーションの中でも重要な存在と感じていることを話してくれた。それだけに、チーム名がブレッツからウィザーズへと変更されて25周年の節目となる2022-23シーズンを、さいたまスーパーアリーナで開催されるNBAジャパンゲームス2022 Presented by Rakutenでスタートできることを非常に楽しみにしている様子だった。


 ならばどうかということで「WNBAジャパンゲームスを考えているか」という質問をしたところ、バンストーンビジネス部門代表兼CCOは「今は様子を見ています」との答えだった。慎重な回答になったのは、現時点でWNBAとしてNBAと同様のグローバルな展開への具体的な動きを見せていないからだった。しかし捉え方は非常に前向きだ。「WNBAはNBAと同じくグローバルなビジョンを掲げていて、私たちも女性のスポーツや社会的な多様性を組織として尊重しています。もしもWNBAがNBAと同じレベルでグローバルゲームの開催を目指すようなら、我々は真っ先に手を挙げるでしょう」

 

ジム・バンストーン ビジネス部門代表兼CCO

 


 現実的な選択肢としては、まずNBAジャパンゲームスで来日する際にミスティクスのコーチングスタッフやプレーヤーを一緒に呼び寄せる考えを持っている。「短期的には、我々のワシントンD.C.におけるバスケットボールチーム全体で日本を訪れ、そこに(ミスティクスの)ヘッドコーチやプレーヤーの何人かを含めることができたらよいと思っています。今のところWNBAが将来的にグローバルゲームを行うという話は聞いていないのですが、もしあれば私たちが東京に来てプレーしたいですね」


 WNBAジャパンゲームスについて、昨夏WNBAのキャシー・エンゲルバートコミッショナーは、「それができたら素晴らしいですね。どこかの時点で、来年(2022年)か2023年か…。“グローバルゲームス”ができたらよいと思っています」と話していた。確かに具体的な話はいまだに聞かれていない。長引くコロナ禍の悪影響が実現を困難にしている部分もあるにちがいない。WNBAはオフシーズンに個々のプレーヤーがアメリカ国外のチームでプレーしていることもあり、プレシーズンの動きもNBA以上にあわただしい。そうした中では、まずはNBAジャパンゲームスに少人数で参加するのは、確かに最良のチョイスと言えそうだ。


深まる日本のバスケットボールシーンとの関係


 東京2020オリンピックで女子日本代表が世界的な脚光を浴びた後、WNBAの2021シーズン中にロサンゼルス・スパークスがシャンソン化粧品とのスポンサーシップ契約を発表した。ナショナルチームでの活躍を終えたプレーヤーたちが所属のWNBAチームに戻り、後半戦を再開するタイミングで、「Los Angeles Sparks vs Indiana Fever - Supported by CHANSON COSMETICS -」と銘打ち、スパークスとシャンソン化粧品が協力して女性の活躍を推進する#WeAreWomenキャンペーンを広げる取り組みになっていた。


 ダフィーSVPは、「スパークスとシャンソン化粧品の提携の話は承知しています。とても面白く実りのある内容でした」と話すとともに、MSEとしての日本のバスケットボールマーケット参入企業とのビジネス拡大に対する意欲を語った。その中で八村と町田の存在、そしてNBAジャパンゲームス2022がさらなる成功への扉を開くさまざまな可能性を生み出しているようで、日本の企業から得られる反応は非常に良いという。

 

 「すでにNECと何年もパートナーシップを結んで成功していますし、ここで行われる試合(NBAジャパンゲームス2022)やその周辺の盛り上がりを楽しく感動できるものにして、それ以降の弾みにしていきたいと思っています。例えばパートナーと協力して、ワシントンD.C.に行ける懸賞付きの企画や、ウィザーズの練習を見学できるような特別な機会をファンに提供することも可能です。個々のパートナーとそうした企画を展開できたら、非常に大きな成功を収めることができるでしょう」

 

パトリック・ダフィー グローバルパートナーシップ部門シニアバイスプレジデント

 

 

 バンストーンビジネス部門代表兼CCOはダフィーSVPの答えを補足して、NBAジャパンゲームスで日本に滞在する5-6日の間に、プレーヤーとファンが交流できる“ミート&グリート(Meet &Greet)”やバスケットボール教室の企画をパートナー企業とともに展開する考えを明かした。企業との会話にはウィザーズとミスティクスを絡めた内容を含めているといい、「パートナーの皆さんと活発に動き、2022-23シーズンのさらに大きな成功へとつなげられる非常に楽しみな機会です」と話していた。


 町田のミスティクス入りの知らせ以来さまざまな機会で話題になっている八村&町田の“ダブル・ルイ”のコラボレーションについても、バンストーンビジネス部門代表兼CCOはオープンに話してくれた。創造性に富んだマーケティング部門のスタッフが、ウィザーズとミスティクスのコラボレーションを常に考えているといい、「マーケティング面でも今後コラボレーションが進んでいくでしょう。どこかの機会で二人のルイが一緒に登場となればまたあらたな機会を生み出すことにもなるでしょうし、それがずっと先とは思いません。間もなく実現すると思いますよ」とのことだった。すでにミスティクスの試合会場に、たびたびウィザーズやゴーゴーのプレーヤーたちが応援に駆けつけており、バンストーンビジネス部門代表兼CCOの言葉には自信が感じられた。


 ウィザーズとBリーグチームの間でパートナーシップを組むことについて聞いてみたが、この可能性も十分ありそうだった。現在すでに6球団ほどとコンタクトがあり、「ビジネスの取り組みの面でソーシャルメディアやチケット、売上などの話し合いをしています」という。Bリーグの各クラブはMSEと同じくスポーツに大きな投資をしている同志と捉え、「そうしたところにつなげていける戦略的なパートナーシップも将来的に可能性があると思います」と話した。


 実際、沖縄で琉球ゴールデンキングスの試合を視察し、ビジネス面での大きな可能性を感じたそうだ。また、この取り組みについてはウィザーズ側が学ぶ点も多いとも話していた。「沖縄での観戦体験は素晴らしく、ファンのノリや盛り上がりに関して我々としても学びの多いショーでした。これはこちらからの一方通行ではなく、相互に学び助け合うことで利益を生み出すパートナーシップだと思います」。ダフィーSVPは、Bリーグチーム全体的に観客が熱烈で、かつ若い世代に広がっている点をビジネスの観点から好材料と捉えていた。「それを企業に提示することで、ブランドの発展やパートナーシップ獲得につながると思います」との回答は、Bリーグクラブとの連係強化がMSEにとっても大きな意味を持つことを感じさせた。


 八村、町田というスーパースターが年間を通じて活躍できる上、日本ではやや取り組みが出遅れている感があるe-スポーツの分野でも強力なプラットフォームを持つMSEは、日本進出・関係強化の持ち駒が非常に豊富だ。NBA 2Kリーグにはアメリカ以外の国にもフランチャイズが存在しており、将来日本のチームの参入も考えられるだろうことにもバンストーンビジネス部門代表兼CCOは言及していた。「2Kとe-スポーツは今後世界の人びとをつなぎます。核としてのウィザーズとミスティクスがなしえないいろいろな機会を、e-スポーツが提供してくれそうです」。約1時間の複数メディアによる合同インタビューは、想像が及びきれないほどの可能性を感じさせるものだった。



取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

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