月刊バスケットボール5月号

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2022.05.11

町田瑠唯(ミスティクス)が初スターターでキャリアハイ9得点、4アシスト – チームは強敵エイセズ相手に逆転で開幕3連勝

 町田瑠唯(ワシントン・ミスティクス)がWNBAの開幕第3戦で初めてスターターとして出場を果たし、89-76の勝利に大きく貢献した。町田はこの試合でミスティクス入りして初めてミドル・ジャンパーと3Pショットを決めるなど、WNBAでのキャリアハイとなる9得点。アシストでもひとつ前の試合で記録したキャリアハイを上回る4本を記録し、リバウンドも1本つかむオールラウンドな活躍を見せた。出場時間もこれまでで最長の29分4秒に達していた。

 


ミスティクスは、同じく開幕2連勝で勢いづいていたエイセズを相手に、前半13点差の劣勢を跳ね返して開幕から負けなしの3連勝。当日になって、それまでの2試合でスターティングガードを務めたナターシャ・クラウドが安全衛生プロトコル入りして欠場となるアクシデントもあったが、チームのまとまりの良さを感じさせる勝利だった。町田のスターター抜擢は、今シーズン平均18.0得点、5.0リバウンド、6.0アシストを記録していたクラウドの大きな穴を埋める代役であり、チームとしての期待の大きさを感じさせる起用だ。


2日前のミネソタ・リンクスとの試合でフィールドゴール・アテンプトが1本にとどまり無得点に終わった町田について、試合前マイク・ティボーGM兼HCは、「ディフェンスの注意を引くためにアグレッシブに向かうよういつも話しています」と話していたが、町田は第1Qから積極性を見せ、ミドルレンジからも3Pエリアからも果敢にゴールを狙った。まずは試合開始早々にエレーナ・デレ・ダンの3Pショットをアシストすると、1分半過ぎにはフリースローラインやや外側からのミドル・ジャンパーで初得点。これが町田にとってはWNBAで初めてミドルレンジから成功させたフィールドゴールだった。

 


第1Qの得点シーンはこの1本のみだったが、第2Qには右ウイングでのエレーナ・デレ・ダンとのピック&ロールからペイントのミドルレーンにドライブを仕掛け、ロッカーモーションのドリブルでうまくディフェンスを振り切ってレイアップで4点目。さらに36-49で始まった後半早々には、22-5の反撃ランの口火を切るドライビングレイアップで6点目を記録し、その後もデレ・ダンのショートジャンパーへのアシスト、そして待望の3Pショット成功でチームを勢いに乗せた。


町田らしい極めつけの瞬間は、54-54の同点に追いつく速攻の起点となったプレー。この場面では、センターラインを越えたあたりからフロントランナーとなった右レーンでマイシャ・ハインズ-アレンにダイナミックなバウンドバスを通し、豪快なブレイクを演出。“ショウタイム”と形容したくなるスピーディな流れのなか、ハインズ-アレンからのアシストでアリエル・アトキンスがレイアップを決めると、会場のエンタテインメントアンドスポーツアリーナは大歓声に包まれた。


町田は第4Qにもドライブ&キックからステファニー・ジョーンズのミドル・ジャンパーをアシスト。試合終了までプレーしてタフな戦いを締めくくった。

 

 試合後町田は、「スターターについては今朝言われて心の準備ができていませんでした。緊張しましたが、勝てて良かったです」と自身の活躍を振り返り、初の3Pショット成功にも「ホッとしました」と心境を語った。「積極的にシュートする意識も持っていました」とのことで、それが結果にもつながった形だ。個人としてもチームとしても効果を挙げているディフェンス面については、試合前の会見でティボーGM兼HCがWNBAでもエリートガードのレベルで高いレイティングを記録していることに言及していたが、町田自身も「チームのルールを徹底しているのと、相手がどんなことが得意なのかをつかんで対応できていると思います」と手応えを語っていた。

 

 クラウドの復帰までの見通しがまだ明かされていない中、この先も町田がスターターを継続して務める可能性も十分にある。チャレンジとしては非常に大きいが、今日の活躍を見る限り、逆に飛躍の機会にもできそうだ。

 

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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