月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.05.06

渡邊雄太が一時帰国 - 「母の手料理を食べるのも楽しみ」

 トロント・ラプターズの一員としての2021-22シーズンを終えた渡邊雄太が5月5日に帰国し、翌6日午前に東京でオンライン会見に応じた。

 

 NBAで日本人として史上最長の4シーズン目を自身初のプレーオフ出場という形で終えた後、渡邊は「今シーズンは本当にたくさんのことがあって、良いことも悪いことも経験した中で葛藤もあったんですけど、終わってみれば本当に良いシーズンだったと思うことができました」と総括。「いろんなことを証明でき、終盤ローテーションから外れて試合に出られなくなったのは悔しかったですが、まだまだNBAの世界でやっていけるという自信がつけられたシーズンだったと思います」と話した。

 

 

 NBAの2021-22シーズンはファイナルが最長で6月20日(月=北米時間19日[日])まで続き、その後6月24日(金=北米時間23日[木])にドラフトが行われる予定。2022-23シーズンに関しては現時点で詳細は明らかになっていないが、例年であれば7月上旬にモラトリアムと呼ばれる活動休止期間があり、以降フリーエージェントの獲得合戦が展開されていく。

 

 渡邊はラプターズとの2年契約を満了しており、制限なしのフリーエージェントとしてその獲得合戦のさなかに身を置く立場となる。現時点ではラプターズを含めどのチームとも具体的な話は持ち上がっておらず、秋以降の所属は白紙状態。しかし、波があった中でも3P成功率34.2%はチームの主力パスカル・シアカム(34.2%)とほぼ同等であり、身長206cmでペリメーター・ディフェンダーとしてもリム・プロテクターとしても定評を得られていることから、NBAの各チームからオファーが得られる可能性は十分にある。

 

 今シーズンプレーしたラプターズのバスケットボールは「自分に合っている」とのことで、「トロントの熱狂的なファンの方々の前でプレーできて、町も大好きになりましたし、ラプターズの一員としてやっていきたいというのはあります」と2年間親しんだチームへの思いも強い。しかし立場としては、どのチームであっても活躍の機会をつかむことが先決だ。渡邊は「どこに行くにしてもこのオフシーズンの自分の成長が必要」と気を引き締めていた。

 

 ローテーションの一員として活躍する喜びを味わった。しかし一定レベルのパフォーマンスを見せると期待値もそれに伴って上昇するのがNBAであり、成長なき者に居場所はないということも肌で感じてきた。「僕もどんどん成長して、基準値が高まっていってもそれを超えていけるようになりたいです」と渡邊は意欲を言葉にした。「それを越えていける選手がNBAで長くやっていけると思います」

 

 つかの間のオフ、地元香川県で待つ家族との再会はこれからとのことだ。「母の手料理を食べるのも楽しみ」という渡邊に久方ぶりの充電期間が訪れた。

 

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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