月刊バスケットボール6月号

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2022.05.07

町田瑠唯(ミスティクス)がWNBAレギュラーシーズンデビュー、2得点、2アシストで勝利に貢献

 ワシントン・ミスティクスに加わった町田瑠唯が、WNBAレギュラーシーズンデビューを果たした。日本時間5月7日(北米時間6日)に、ミスティクスのホーム、エンタテインメントアンドスポーツ・アリーナで行われたインディアナ・フィーバーとの2022シーズン開幕初戦。日本人プレーヤーとしては4人目の快挙を、84-70の勝利で飾った。

 

 

 町田の初登場は17-14迎えた第1Q残り4分36秒。オフィシャル・タイムアウト明けにエレーナ・デレ・ダンに代わってコートに入った町田は、最初のポゼッションでいきなりティアナ・ホーキンスの3Pショットをアシスト。ミスティクスはそのひとつ前のプレーからクォーター終了まで16-2のランを展開し31-16とリードを広げたが、その良い流れに貢献することができた。


第1Qはスターティングガードのナターシャ・クラウドとともにプレーし、オフボールで動くことが多かった町田だったが、立ち上がりからプレーした第2Qにはボールを手にする機会が増えた。また、たびたびディフェンスでも良いプレーを見せた。町田はルーキーガードのディスティニー・ヘンダーソンにマッチアップする時間が長かったが、ボールを持たせないディナイ・ディフェンスや、ピック&ロールに対峙したときファイトオーバーしていく速さ、スウィッチするかどうかの判断の速さ、リカバリーしてスウィッチした相手を捕まえる速さが目を引いた。1対1の場面でも相手のドライブを正面で受け止めるフットワークの速さが発揮されていた。

 

 

 後半、町田の登場は59-43とリードした第3Q残り4分18秒から。再びクラウドとともにプレーした町田は、コーナーでスペーサーとしての役割を担うとともに、ボールを持つとピック&ロールのセットアッパーとして良い動きを見せた。ディフェンスでもクイックネスに長けた相手のガード、クリスタル・デンジャーフィールドのドライブを阻止。最初のフィールドゴール・アテンプトは第3Q残り3分49秒で、フリースローライン付近からのプルアップ・ジャンプショットがミスに終わったが、第4Q残り8分45秒にはルーキーのシャキーラ・オースティンとのピック&ロールから鋭いドライブに持ち込み、フィンガーロールで初得点も記録した。もう1本、続くオフェンスで厳しくコンタクトされたドライビングレイアップがミスに終わったものの、オフェンス面でのアグレッシブさも見せることができていた。

 

 試合前、マイク・ティボーGM兼HCは、デビュー戦に臨む町田について、「私はまったく心配していません。彼女の仕上がりも良いと思います。学ぶのがとても早いし、とても頭が良いし、チームメイトにも気に入られています」と笑顔で話していた。一方、町田の東京2020オリンピックでの活躍を見ていたという対戦相手フィーバーのマリアン・スタンリーHCは、「ものすごく賢く、スキルがあり、得点もおぜん立てもできる良いプレーヤーです。最初のWNBAでどんなことができるのか、見せてもらおうと思います」と警戒感を語っていた。「明らかにWNBAで戦えるスキルレベル。彼女が自分のスキルとスタイルをミスティクスにどうやって溶け込ませるか、どんな形でリーグに乗り込んでくるか、楽しみですね。非常に効果的になれると思います。パスでもシュートでも、いろんな側面で危険なプレーヤーですからね」


町田はそうした期待や警戒感に見合ったプレーを見せられていた。最終的にこの試合では、16分57秒のプレーでフィールドゴール3本中1本を成功させて2得点、2アシスト、2リバウンド。ミスティクスに合流し、最初の会見を行ったのは日本時間4月26日(北米時間25日)であり、短期間で臨んだこの日の試合で、コミュニケーションの面で無限大の伸びしろがあるルーキーのデビューとしては上々と言えるだろう。

 


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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