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2022/04/26

渡邊雄太が2試合連続出場、2得点 – ラプターズ2連勝でシリーズは第6戦へ

 渡邊雄太が所属するトロント・ラプターズが日本時間4月26日(北米時間25日)にフィラデルフィア・セブンティシクサーズとのプレーオフ1回戦の第5戦に臨み、103-88で勝利した。渡邊はこの試合で第4Q残り1分19秒にOGアヌノビに代わってコートに入り、試合終了までプレーして2得点を記録した。

 

 


 渡邊の得点シーンは、ディフェンスを持ち味とするシクサーズのガード、マティース・サイブルとの1対1から生まれた。右ウイングでコーナー方向から上がってきた渡邊へのパスをディナイしようとしたサイブルの腕をすり抜けてボールが渡邊に入ったところで逆サイドを突くドライブから、右手でのレイアップに持ち込んだ。プレーオフでは自身2本目のフィールドゴール成功で、これがラプターズの勝利を締めくくるこの試合最後の得点となった。


 勝ったラプターズはパスカル・シアカムが23得点、10リバウンドに7アシストを記録。控えフォワードのプレシャス・アチウワが17得点、7リバウンドで続き、ギャリー・トレントJr.とOGアヌノビもともに要所でのビッグショットを含む16得点を稼いだ。シクサーズでは20得点に11リバウンドのダブルダブルと奮闘した大黒柱のジョエル・エンビードを含め、トバイアス・ハリス(16得点)ジェームズ・ハーデン(15得点)、ダニー・グリーン(14得点)、タイリース・マクシー(12得点)とスターター5人全員が2桁得点を記録している。


 ラプターズはこの勝利でシリーズ対戦成績を2勝3敗とし、日本時間4月29日(金・祝=北米時間28日[木])に地元トロントのスコシアバンク・アリーナで行われる第6戦でタイに戻す機会を得た。過去に0勝3敗から3連勝してシリーズをタイに持ち込んだ例は3回で、直近では2003年にポートランド・トレイルブレイザーズがそれを成し遂げている。ただし3連敗からの4連勝はNBAの歴史上一度もない。ラプターズは第6戦に勝利すると、その歴史を作る機会を手に入れることになる。


 厳しい状況が続くラプターズだが、ニック・ナースHCは試合後の会見でチーム状態について「サッド(サディアス・ヤング)がこのシリーズで調子を上げていることで、ビッグラインナップでもうまく戦えるかなと思っています(Well, I mean listen, I think that with the emergence of Thad in this series now, we’re okay of playing probably a little bit bigger)」と、徐々に戦略が機能し始めている手応えを語った。「クリス(ブーシェイ)もプレシャス(アチウワ)も良いプレーぶりで、ケム(バーチ)も10分から12分程度の時間頑張ってくれています(Chris has played well. Precious has played well. I think we’re getting our 10-12 minutes out of Khem as well)」

 

試合後会見でのニック・ナースHC(画像意をクリックするとインタビュー映像が見られます)


 渡邊についてはこれまでと変わらず、シューターとしての貢献を期待している様子だ。「以前にも話したように3Pシューティングが必要だと感じるときがあり、ユウタはその目的で彼らの次に入っていく存在だろうと思っています。彼はサイズがあってディフェンスでハッスルしてくれるので、スウィッチングディフェンスを続けることができますしね(. Again, there may be a time like I’ve told you before where I feel like we need some perimeter shooting. You know that’s again Yuta is probably next on the list to come in there and provide that. He does give us a chance to you know continue to switch with his size and his hustle on defense)」

 


 上記のやりとりはどちらも、難しい状況への対応を迫られる中で、渡邊をはじめメンバーのメンタルな状況がどんなものかを尋ねた質問に対する返答だった。前半の回答は、戦術的に効果が感じられ内面的にも自信が強まってきていることを言い表しているのだろう。後半の渡邊関連の返答は、ナースHCが最後に「You never know. You never know.」という言葉で会見を締めくくった。そこにはいくつか異なる含みがあるように思う。


 一つには、ビッグラインナップでのスモールボールとも言えそうな戦い方が奏功し始め、まだ勝敗で追いついてはいないものの、「勝負はこれからですよ」という思いがありそうだ。またもう一つはここまで出場機会が少ない渡邊について、「次戦以降の起用方法は必ずしもこれまでと同じではないかもしれない」という可能性だ。どちらなのか、あるいはまったく異なる意味合いを込めた言葉だったのか、明確にはわからない。しかしこのやり取りだけではなく会見全体を通じて、「どうなるか見ていてくださいよ」という不敵さが表情や言葉から伝わってきた。


 シクサーズは、連敗を喫したとはいえ優位であることは変わっていない。にもかかわらず、アメリカの大手スポーツメディアやフィラデルフィアの地元メディアでは、その優位性を疑問視するコメントが多々聞かれる状況となった。逆にトロントでは、3連敗でほとんどあきらめムードのコメントばかりだったコメンテーターの言葉が、逆転勝利に希望をつなぐ表現に変わってきている。最も大きな要因はもちろん両チームの戦いぶりだが、それ以外に、第5戦の第4Qで残り時間がまだ5分近くあったにもかかわらず、シクサーズの劣勢に席を立って帰路についたファンの様子や、ドック・リバースHCのプレーオフにおける過去の実績が影響しているようだ。

 

 リバースHCは、過去に3勝1敗から3連敗でシリーズを落とした経験が3度ある唯一のヘッドコーチとして知られている。また、ESPN Stats & Infoのツイッターアカウントによれば、シリーズ勝利に王手をかけたいわゆるクローズアウト・ゲームで、リバースHCは直近8度のうち7度黒星を喫しており、かつその状況下での試合で喫した黒星の数31は歴代リーグ最多とのことだ。リバースHCとシクサーズにとって第6戦は、そうしたデータがちらつく中アウェイで戦う心理的なプレッシャーもかかり、かつ主軸となるエンビードが左手親指の靭帯断裂の痛みを抱えながらのプレーという難しい状況下の試合となる。ただし、試合後会見で、エンビードのコンディションがチームの心理状態に変化を及ぼすかどうかを聞かれたリバースHCは「いえ、そうは思いません。ジョエルはうまく対応する道を見つけようとしています。すぐできますよ(No, I don‘t. Joel is trying to figure out his way. And that’s going to you know, take a minute)」と語り、立て直しに自信を見せている。

 

 一方、2連勝でトロントに戻れるラプターズが勢いづいているのは間違いないが、負けられない状態はこれまでと同じだ。また、オールスター・ガードのフレッド・バンブリートがこの日の試合を欠場しており、次戦についても見通しが立っていない状態にある。第6戦では両チームを取り巻くこうした諸々の要素がどのような形になって現れるだろうか。ラプターズの歴史的なカムバックが続くのか、シクサーズが持ち直すか、そして渡邊がその中でどのような役割を果たすか。見どころの尽きないシリーズだ。

 

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)

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