月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.04.17

B3終盤戦、トライフープ岡山の視点

 B3からB2への昇格を争うチーム同士の激突となった4月16日・17日のトライフープ岡山対アルティーリ千葉戦は、ジップアリーナ岡山に乗り込んだアウェイのA千葉が連勝。年明けの千葉(大網白里)での2試合を含め、今シーズンの4度の対戦をA千葉がスウィープするという結果になった。


岡山は得点源のクリストファー・オリビエがGAME1で27得点、GAME2でも30得点と役割を果たしたが、逆に両日とも3Pショットを50%以上の確率で成功させたA千葉のロングレンジ・ゲームに、ディフェンスで対抗しきれなかった。16日のGAME1を22点差で落とした後、岡山のキャプテンを務める小堺 翼は「自分たちがミスをして、それを確実に決められた」とA千葉の決定力に脱帽。比留木謙司HCもターンオーバーが多かった点に触れ、「特に前半が自分たちの出来からかけ離れていた」と悔やんだ。

 


トランジションでゴールを狙う川満寿史(GAME1より 写真/©TRYHOOP OKAYAMA)


ボールを運ぶジェフリー・パーマー(GAME1より 写真/©TRYHOOP OKAYAMA)

 

 

GAME2は「勝たなければいけない試合」――比留木HC


17日のGAME2では、岡山は前半しっかりゲームを作り、37-33と4点リードして折り返した。ところが第3Q開始早々、魔の時間帯に飲み込まれてしまう。最初のオフェンスでジェフリー・パーマーが3Pショットを決め40-33としたところまではよかったが、その後A千葉に19連続得点を許し40-52と12点差を追う立場に。同クォーター残り4分49秒に川満寿史が3Pショットを決めるまでターンオーバーを5つ犯し無得点という流れは、このクォータの終わりまでにリードを奪い返して以降接戦に持ち込む粘りを見せただけに痛かった。

 


川満寿史のジャンプショット(GAME1より 写真/©TRYHOOP OKAYAMA)


若狭功希のフリースロー(GAME2より 写真/©TRYHOOP OKAYAMA)

 


連戦を終えた後、川満は「ターンオーバーとオフェンスリバウンドの徹底をさらにしなければいけない」と敗因を分析。比留木HCは終盤の奮闘を評価しながらも、「悪くはなかった。でもやっぱり勝たなければいけない」と悔しさをにじませた。「今日の試合は非常に良いパフォーマンスをしていました。3点差は、相手が上回ったということだと思いますが、それでも勝ちを拾いにいくということが大事。今後ステージが上がっていくことを見据えると、もっと成⻑していかなければいけません」

 

優勝、B2昇格決定戦の行方


岡山はこの日の試合を終えた時点で、通算成績27勝12敗(勝率.692)の5位。リーグ制覇による自動昇格の可能性は消滅しているものの、昨シーズンの結果(2位)から、B2昇格決定戦への進出権はすでに手にしている。あとは対戦相手(今シーズン2位のチーム)が決まるのを待つ状況だが、可能性があるチームは17日の試合を終えた時点で首位に立っている長崎ヴェルカ(41勝3敗、勝率.932)、2位のA千葉(同34勝6敗、勝率.850)と3位のベルテックス静岡(32勝9敗、勝率.780)の3チームに絞られた。

 

 B3全体の流れとしては、17日の試合結果によっては首位の長崎ヴェルカの優勝が決まる可能性があった。しかし、リーグ2位のA千葉の連勝により、長崎の優勝はマジック1の状態で次週以降に持ち越されている。また、2位のA千葉は長崎との優勝争いに可能性を残すと同時に、B2昇格決定戦への出場権確保にも、あと一歩のところまでやってきている。A千葉は静岡と4月23日(土)・24日(日)に千葉県立館山運動公園体育館(千葉県館山市)で直接対決2連戦を控えており、このどちらかで勝てばその時点で今シーズンの2位以上が確定するのだ。

 

 両者は今シーズン、リーグ戦ではまだ顔を合わせていないが、昨秋の天皇杯2次ラウンドで対戦しており、このときはA千葉が85-77で勝利している。しかし当時のA千葉には、当初の構想で主軸の一翼を担うオールラウンダーとして期待されていたレオ・ライオンズ(左アキレス腱断裂により離脱中)が健在だった。また、A千葉は現在、そのライオンズの穴を埋めるべき控えのビッグマン、ロバート・ドジャーを、ライオンズと同じ左アキレス腱断裂により欠く不運に見舞われている。逆に静岡は現在14連勝中と勢いづいている状態。その静岡から1勝をもぎ取るのは、A千葉にとって決して簡単なことではないだろう。

 

 とはいえ、どちらがB2昇格決定戦進出争いで優位かと聞かれれば、A千葉と言えそうだ。A千葉は仮に静岡に連敗したとしても、翌週4月30日(土)・5月1日(日)の金沢武士団(1勝45敗、勝率.022)との連戦で2勝できれば、静岡の試合動向と無関係にB2昇格決定戦進出が決まる。その両日、静岡は岡山と2試合を戦うが、そのどちらかで敗れれば、A千葉は金沢から1勝を挙げた時点で今シーズンの2位以上を確定できる。

 

 岡山にとってA千葉への連敗は喜ばしいものであるはずはないだろう。しかしB2昇格決定戦をにらんだ流れの中では、まだ対戦相手が決まっていないとはいえ貴重なスカウティングの機会となったはずだ。勝負へのこだわりとともに、研究・実験的な視点も持って臨んだだろう比留木HCもプレーヤーたちも、「引き出し」の中身を増やしたに違いない。最終週の静岡との対戦にも、静岡に2位以内に留まる可能性が残る限りは同じことが言える。まだまだどうなるかわからないB3の終盤戦、岡山がより面白くしてくれそうだ。

 


(月刊バスケットボール)



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