月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.04.16

NBAプレーイン・トーナメント、ホークスとペリカンズがアップセットでプレーオフ進出

 NBAは日本時間4月16日(北米時間15日)にプレーイン・トーナメント最終日を迎え、イースタンカンファレンスではクリーブランド・キャバリアーズ対アトランタ・ホークス戦、ウエスタンカンファレンスではロサンゼルス・クリッパーズ対ニューオリンズ・ペリカンズ戦が行われた。勝利したのは東西両カンファレンスとも、レギュラーシーズンの順位が下位ながらプレーイン・トーナメント初戦に勝利して勢いに乗ったホークスとペリカンズ。どちらも接戦を制してのアップセットで、プレーオフ進出を決めた。


ホークスはレギュラーシーズンを43勝39敗(勝率.524)のカンファレンス9位で終えたチーム。キャバリアーズ(44勝38敗、勝率.537[同8位])には1ゲーム及ばなかったが、この日の対戦では前半に最大14点差のリードを奪われながらも、第3Qの終盤約2分間にガードのトレイ・ヤングが一人で12連続得点を挙げ84-84のタイに持ち込むと、最終クォーターはほとんどの時間帯でリードを保ち、107-101で勝利を収めた。ヤングは最終的に38得点、3リバウンド、9アシスト。チームの2年連続プレーオフ進出を決定づける殊勲の活躍だった。


ペリカンズはレギュラーシーズンを36勝46敗(勝率.439)と負け越して終えたが、トレードデッドライン前にCJマッカラムを獲得し、オールスター・ブレイクを経た2月25日以降は23試合で13勝10敗と勝ち越していた。この試合では前半に56-46と10点差のリードを築いてハーフタイムを迎え、第3Qにクリッパーズの驚異の巻き返しで逆に74-84と10点差を追う波のある流れとなったが、最後に良い波を奪い返して逆転に成功。105-101で逃げ切った。クリッパーズは、オールスターガードのポール・ジョージが試合当日に安全衛生プロトコル入りするアクシデントに見舞われる不運もあり、ホームコートアドバンテージを生かすことができなかった。


この結果により、日本時間4月17日(日=北米時間16日[土])に開幕するNBAプレーオフ1回戦の組み合わせは以下のとおり確定した。


☆NBAプレーオフ2022の1回戦組み合わせと初戦試合開始予定時刻(日時はすべて日本時間)
4月17日(日)
ダラス・マーベリックス(W4)vs.ユタ・ジャズ(W5) 午前2時~
メンフィス・グリズリーズ(W2)vs.ミネソタ・ティンバーウルブズ(W7) 午前4時30分~
フィラデルフィア・セブンティシクサーズ(E4)vs.トロント・ラプターズ(E5) 午前7時~
ゴールデンステイト・ウォリアーズ(W3)vs.デンバー・ナゲッツ(W6) 午前9時30分~

4月18日(月)
マイアミ・ヒート(E1)vs.アトランタ・ホークス(E8) 午前2時~
ボストン・セルティックス(E2)vs.ブルックリン・ネッツ(E7) 午前4時30分~
ミルウォーキー・バックス(E3)vs.シカゴ・ブルズ(E6) 午前7時30分~
フェニックス・サンズ(W1)vs.ニューオリンズ・ペリカンズ(W8) 午前10時~
※カッコ内はシード順(E=イースタンカンファレンス、W=ウエスタンカンファレンス)

 


ホークスとペリカンズはいずれもレギュラーシーズンでは所属カンファレンス9位で、コロナ禍以前のシステムであればポストシーズンを逃していたはずのチームだ。しかし、シーズン後半戦からの立て直しが奏功し、勝負のかかった大一番で力を発揮してみせた。

 


アンソニー・デイビス(現ロサンゼルス・レイカーズ)という大黒柱を2019年に手放した後、わずか3年でプレーオフに返り咲いたペリカンズの再建の遂行力は賞賛に値する。それが達成できないチームがいくつもあるのだ。新加入のマッカラムはペリカンズでの26試合で平均24.3得点。これはポートランド・トレイルブレイザーズ時代のシーズン全体での最高値(23.1=2020-21シーズン)を上回る好成績だ。昨オフ獲得したジョナス・バランチュナスも、今シーズンはキャリアハイの平均得点(17.8)、キャリア2番目の平均リバウンド(11.4)を記録した。新加入のプレーヤーがポテンシャルを最大限に発揮できるのは、プレーヤー自身の能力と努力はもちろんだが、マネジメントのレベルの高さも影響していることだろう。ペリカンズはプレーオフ1回戦の対戦相手となるフェニックス・サンズに対し今シーズン1勝3敗だが、オールスター・ブレイク後は1勝1敗。勝算なしと見限ることはできない。


一方ホークスも、レギュラーシーズンの前半戦で黒星が先行する厳しい戦いを強いられた。しかし、ヤングに加えてジョン・コリンズ、クリント・カペラ、ダニーロ・ガリナーリ、ケビン・ハーター、ボグダン・ボグダノビッチらを核としたロスターの能力は高い。また、昨シーズンのコアを信頼して後半戦で巻き返したネイト・マクミランHCの手腕も、やはり高く評価されてしかるべきだろう。ホークスは昨シーズン、第5シードからカンファレンス・ファイナルまで進出しており、最終的にチャンピオンとなったミルウォーキー・バックスから2勝をもぎ取っている。プレーオフ1回戦で対戦するマイアミ・ヒートは、今シーズン4度ホークスと戦い3勝を挙げいる。ただし4試合中3試合は2ポゼッション差の接戦であり、プレーイン・トーナメントからの勢いも持ち込ホークスがホームコートを守り、アウェイで勝利をかすめ取る可能性は十分にあるだろう。

 

 



(月刊バスケットボール)

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