月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.04.13

ブルックリン・ネッツ練習施設近くの地下鉄路線内銃乱射事件、デュラントら衝撃語る

 日本時間4月12日夜(北米時間同日朝)にニューヨークの地下鉄路線内で発生した銃乱射事件に関して、ブルックリン・ネッツのケビン・デュラント、ゴラン・ドラギッチ、スティーブ・ナッシュHCの3人が、身近な場所で起こった衝撃的な出来事に対するそれぞれの思いを語っている。

 


この事件は現地時間の朝のラッシュアワーにあたる午前8時24分頃(日本時間夜9時24分頃)に、ネッツの練習施設から1kmも離れていない36th Street駅に差し掛かった地下鉄車両の中で、黒人男性が発煙弾を投じた上で銃を乱射したとされるもの。アメリカの大手メディアCBSの公式サイトが伝えるところでは、被害者はいずれも命に別条はないようだが、少なくとも23人が病院で治療を受けたとのことだ。現場の映像や写真は非常に混乱した状況を映し出しており、地域に与えた衝撃が大きいことが明らかだ。重要参考人(Person of interest)として名前が挙がっていたフランクR.ジェームズは、事件から丸一日を経て容疑者(Suspect)として報じられるようになっている。しかし、身柄はいまだ拘束されていない。


ネッツの公式サイトで公開されている、事件当日の対クリーブランド・キャバリアーズ戦前のシュートアラウンド後会見映像によれば、ケビン・デュラントは交通機関で何らかの問題があったとの連絡を受けたが、当初はその理由がわからなかったとのことだ。しかしスマホで入ってくる情報から成り行きを把握したとのことで、「あまりにもひどい。詳しくはわかりませんけど…。練習施設の外でサイレンが鳴り響いて外が騒々しくなって、関わってしまった人々の無事を祈るばかりです(It‘s devastating. I don't know the details... To hear the sirens out front of the practice facility and see so much commotion going on outside, you hope and pray for the best for everybody involved)」と話している。


スティーブ・ナッシュHCは、シュートアラウンド後の会見時点でも詳細を把握していない様子だったが、「悲劇の朝となってしまいました。この地域と、直接的に事件に関わってしまった人々にとって破滅的な出来事です(It’s obviously a very tragic morning and devastating for the community, for those who were directly involved)」と事件への感想を述べた。チームの指揮官の立場としては、プレーオフに向けチームの動揺を回避することも重要事項だ。「皆さんのことを心配しながら、同時に目の前の仕事に対しても準備して集中しようとしています(We’re just all concerned for everyone involved and at the same time try to prepare and be focused on our task at hand with the best we can)」とその思いを語っている。


ナッシュHCはさらに、キャバリアーズとの試合前会見でも、「あの駅は我々の練習施設とオフィスにくる人々が使う駅で、私の子どももさして遠くない学校に通っています。だから本当に生活に直結することだし、影響を受けた人々の気持ちがわかるし、社会として地域として良くしていかなければと認識させられますね。皆さんつらい思いをされたことでしょう(That's the subway stop for our practice facility and our office. My kids go to school not exceedingly far. So, it does hit home and you just feel for all those affected and you just recognize that we have a lot of growing to do as a society and a community and you just feel for everybody in our community that were affected)」と胸の内を語った。


ゴラン・ドラギッチは事件が起こったときにはすでに練習施設に到着しており、チームメイトからの話で何が起こったのかを知ったという。「とんでもないことです。誰もひどいケガをしていないとよいのですが…(It’s terrible. I just hope nobody is hurt bad…)」と被害者を気遣い、同時に「こんなに近くで起きるとは恐ろしいです。地下鉄にも何度か乗ったことがありましたが、これからはどうでしょう。ちょっと考えてしまいますね(It's kind of scary how close it was. I've already been in the subway a couple of times, but now, I don't know. I've got my doubts)」と率直な思いを明かしていた。

 

 ネッツはこの事件の被害者救済の目的で5万ドル(約630万円[1ドル126円換算])の寄付を行うことを発表している。

 


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



PICK UP