Bリーグ

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2022/04/14

創立5年でB1王座獲得 - アルティーリ千葉の意気込みを再確認させた4.9-10 B3首位攻防戦

 B3の今シーズンを盛り上げている新規参入の2チーム、アルティーリ千葉と長崎ヴェルカの「春の千葉対決」が終わった。4月9日・10日の両日、収容率100%の千葉ポートアリーナを舞台に行われた2連戦には、初日が3,009人、2日目が3,130人と多くのファンが来場。B3の来場者数記録には及ばなかったものの、会場には両日ともB1公式戦と何ら変わらない華やかな雰囲気ができあがり、その中で両チームがハイレベルなゲームを披露した。

 

 

故障者続出で混乱のシーズン、上位を維持して終盤戦へ


 アルティーリ千葉(以下A千葉)の今シーズンは、新型コロナウイルスの感染拡大抑止への対応に加え故障者続出の事態にもさいなまれ、当初描いていた流れにはなっていない。開幕から約1ヵ月後の昨年11月4日に行われたしながわシティバスケットボールクラブとの試合で、攻守の要だったレオ・ライオンズを左アキレス腱断裂により戦列から欠くことになり、その穴を埋めるタレントとして獲得したワース・スミスも左ヒザの膝蓋骨脱臼で離脱。その後はあらためて獲得したジャマール・ソープに、そのポジションを短期間託さなければならなかった。アンドレ・レマニスHCが展開しようとしたA千葉のプレースタイルの根幹が、大きく揺るがされた。しかも、この2連戦の初戦でも、ポイントガードの杉本 慶とソープに代わって今年に入ってから加入したロバート・ドジャーが故障に見舞われ、レマニスHCも「これほど混乱したシーズンは今までなかったんじゃないかと思います(This has been one of the most disruptive, or most disrupted season that I’ve ever been involved)」と苦笑いで答えるしかない状態となった。

 

 それでも、この2連戦を終えた時点で通算成績32勝6敗(勝率.842)の2位。首位の長崎(39勝3敗、勝率.929)に5ゲーム差をつけられてリーグ制覇には黄信号がともった状況(直接対決を終えた時点で、最短で17日[日]には長崎の優勝が決まる可能性がある)だが、逆に3位のベルテックス静岡(30勝9敗、勝率.769)に対しては2.5ゲーム差のリードを保ち、B2昇格決定戦進出に向け好位置でシーズン最後の6試合に臨もうとしている。


 今シーズン、長崎に対して2勝を挙げたのも、長崎のホームで勝利を手にしたのもA千葉のみ。逆にA千葉はこの連戦まで、ホームで17連勝を続けてきた。今回長崎に敗れたのが地元千葉での初黒星だった。A千葉と長崎の直接対決は2勝2敗の五分。得失点差では長崎が+24と上回ったが、ライバル対決の勝負はほぼ互角のまま来シーズン以降に持ち越されることになった。両者はすでに2022-23シーズンのB2ライセンス交付が決まっており、このままの順位でシーズンを終了した場合には、長崎はB2に自動昇格が決まり、A千葉は昨シーズンの結果から昇格決定戦への出場権を持っているトライフープ岡山(今シーズンは4月10日まで27勝10敗、勝率[.730]で5位)と、B2昇格をかけて戦うことになる。


B2昇格決定戦関連情報


活躍すべきプレーヤーが活躍しているアルティーリ千葉


 今回の長崎との直接対決は、初戦が93-89でA千葉の勝利、2戦目は81-72で長崎が白星を手にした。昨年の「クリスマス長崎対決」も、今回の「春の千葉対決」も、初戦にA千葉が勝利して翌日長崎が取り返すという同じ流れを辿ったが、大きく違ったのは2戦目の第4Qに、A千葉が53-73の20点差から72-75まで詰め寄ったことだ。長崎での2試合目で、初日の勝利にやや満足した雰囲気で試合に臨み61-88と差をつけられて敗れたことから、レマニスHCは「2試合目に勝つことが重要」という意識づけをしていたという。その上、地元ファンの応援に後押しされたA千葉は、杉本とドジャーを欠く厳しい状況で敗れたとはいえ、4ヵ月前の姿からの成長ぶりを垣間見せていた。


 試合の中では、ライオンズが離脱した後のインサイドを支えるイバン・ラべネルとケビン・コッツァーの両センターの安定感が際立つ要素の一つだ。シーズンアベレージでは、ラべネルが21.9得点に9.9リバウンド、コッツァーが14.6得点に12.0リバウンドをそれぞれ稼いでいる。今回の連戦でも、初戦でラべネルが20得点、5リバウンド、コッツァーが18得点と15リバウンドを記録したことが勝利の土台だったことは間違いない。敗れた2試合目でも、ラべネルが19得点に15リバウンド、コッツァーが16得点と10リバウンドと、そろってダブルダブルの活躍ぶり。この試合では長崎のマット・ボンズが23得点に加えオフェンスリバウンド10本を含む21リバウンドを記録しており、恐るべきハイエナジーで暴れていた。もし2人のリバウンドにおける奮闘がなければ、点差は倍以上に開いていたかもしれない。

 

イバン・ラべネルvs.ジェフ・ギブス


 また、大塚裕土、岡田優介、小林大祐のペリメーターの“トリプル・スレット”が、何とかしてくるしぶとさとベテランらしく落ち着いたリーダーシップを発揮していた。信頼できるシューターとインサイドの柱がいることで、杉本とともにバックコートの一翼を担う若手、藤本巧太のスピードと果敢さが大いに生きていることも感じられた。

 

 初戦で勝利でき、2試合目で勝てなかった理由の一つは、数字上はベテラン3人を含むバックコートの出来に見出すことができる。初戦では大塚(17得点、3Pショット5本中3本成功)、岡田(8得点、3Pショット3本中2本成功)、小林(7得点、3Pショット2本いずれも成功)の3人で3Pショット10本中7本を成功の高確率で32得点を稼ぎ、藤本は鋭いドライブからのレイアップを中心に14得点、7リバウンド、8アシストと縦横無尽にコートを駆け巡っていた。それが2試合目では、フィジカルで執拗なディクソンJr タリキをスターターに起用してペリメーター・ディフェンスを頑張った長崎の前に、ベテランの3人が合計19得点(大塚7得点、岡田10得点、小林4得点)で、3Pショットが13本のアテンプトで岡田の1本のみ成功という結果に終わっている。藤本もこの試合ではフィールドゴール1本のみ成功の4得点。前日11アシストを記録した杉本の存在の大きさも感じる内容での黒星だった。

 

フリースローでゴールを狙う大塚裕土


 それでも2試合目で接戦に持ち込めたのは、ラべネルとコッツァーの奮闘に加えて第3Q残り3分13秒に岡田が成功させた3Pショットとアンドワンのフリースローによる4ポイント・プレーや、勝負どころの第4Q残り3分16秒に大塚がドライブから決めたしぶといレイアップなど、要所でベテランが気持ちで決めてくるプレーを見せたことが大きい。フィールドゴール成功がなかった小林も、トランジションでよく走り得点機を生み出していた。何本か彼らが放ったオープンルックの3Pショットがどれか1本でも決まっていたら、結果がどうなっていたかはわからない。また、レマニスHCは長崎のフィールドゴール成功率を35.6%、3P成功率を17.1%に抑えたチームディフェンスを高く評価していた。

 


「B1への道のりを強く心に描け」 - プライドを語るキャプテン大塚裕土


 この2試合を通じて、特にA千葉に関して感じられたのは、開幕前に語られていた「5年間でB1王座に就く」という壮大な目標が、混乱のシーズンの中でもブレていないことだ。A千葉がこの目標と高い意識を、コーチングスタッフやプレーヤーだけではなくクラブ全体として保っていることを、まずは会場を埋めた大観衆が物語っていた。


 2試合目の後の会見でレマニスHCは、「混乱のシーズンではありますが、その中で高い基準を保ってプレーしてくることができています。自分たちに言い訳をしてそうしたものを投げ出してしまうこともできただろうと思うのですが、チームとしてまとまって頑張ってくれていることを誇らしく思っています(One of the things that I am proud about is that we've still managed maintaining a high standard of basketball. We could have easily dropped and felt sorry for ourselves coming with a poor attitude)」とここまでの成り行きを振り返った。チームの現状には自信を持っている様子で、杉本や藤本、鶴田美勇士、秋山 煕、山崎玲緒、佐々木響也らの名前を挙げながら、「彼らが日ごろから良い姿勢で練習してくれているので、私としても自信を持って試合に送り出せます(When those guys consistently practice well, then that gives you a confidence as a coach to put them in the game)」と話していた。


 身長200cmのフォワード、鶴田に関しては、練習でこれまでで一番とも思えるような調子のよさだったという。ところが練習中のアクシデントで足をくじいてしまい、この連戦には出場することができなかった。もし出場できていればボンズへの対応も任せられただろうことをレマニスHCは笑顔で話していた。フォワードの紺野ニズベット翔が、この2試合でフィールドゴール5本中4本を決めて8得点を奪い、徐々に力を発揮してきていることも、レマニスHCには頼もしいに違いない。鶴田が戦列に戻り、紺野が今の調子を保っていければ、フロントラインの層もいっそう厚くなる。

 

アンドレ・レマニスHC


 難しいシーズンの流れについては、キャプテンを務める大塚も「100%自分のパフォーマンスに集中できているかと言えばそうではありません」と話している。しかし、B1で王座をねらえる川崎ブレイブサンダースからB3新規参入のA千葉への移籍をあえて選んだ大きな理由である、若手の育成やクラブの輝かしい歴史を作るというミッションに対する意欲は非常に強い。「このクラブがB1にたどり着くということを、もう少し強くそれぞれが思わないと勝てない。ポジティブなプライドを持たなければいけないと思う」という言葉にも力がこもっていた。「正直、まだまだです。大きくB1とひとくくりに言うことはできますが、チャンピオンシップにやっと出場できるチームと、ファイナルで戦えるチームでも全然違います。プロとしての取り組みをもっともっと高めていかなければ、皆さんが思われているような強いチームにはまだ遠いと思っています」

 

 強いチーム。それはもちろんB1の王座に就くチームのことだ。

 

 激闘の首位攻防戦を終えた後、今度は4月16日(土)・17日(日)に昇格決定戦で対戦する可能性があるトライフープ岡山とのアウェイでの連戦、そして翌週23日(土)・24日(日)には、館山で開催するホームゲームで、その昇格決定戦出場権を争うベルテックス静岡とのビッグゲームが控えている。レマニスHCと大塚キャプテンの言葉から、それを見据えてチームを鼓舞する強い思いが伝わってきた。

 

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