月刊バスケットボール6月号

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2022.04.06

NCAAトーナメント、男子はカンザス大が14年ぶり4度目の王座獲得

 アメリカの大学男子バスケットボールのチャンピオンを決めるNCAAトーナメントが、日本時間4月5日(北米時間4日)に最終日を迎え、決勝戦でカンザス大とノースキャロライナ大が対戦。カンザス大が、72-69で逆転勝利を収め、2008年以来14年ぶり4度目の栄冠を手にした。

 


NCAAトーナメント勝ち上がり表最終場(画像をクリックするとNCAA公式サイトのトーナメント詳細ページにつながります)

 


今回の決勝戦は、AP通信社発表の全米トップ25ランキングで3位のカンザス大と、ランク外のノースキャロライナ大という対戦だったが、前半ペースをつかんだのはランキング上位のカンザス大ではなかった。この大会で第8シードから勝ち上がったノースキャロライナ大は、前半残り2分23秒にフォワードのアルマンド・ベイコットがフリースローを2本成功させた時点で38-22とこの試合で最大の16点のリードを奪い、前半終了時点でも40-25と優位に立っていた。しかし後半カンザスは、“Dマック”のニックネームで知られる208cmのフォワード、デイビッド・マコーマック(David McCormack)のダンクで先制すると、残り14分12秒(NCAA男子は前後半20分ハーフ)にプレーメイカーのデワン・ハリス(Dajuan Harris Jr.)がジャンプショットを決めるまでの16-5のランで45-41と4点差まで追い上げる。その後もカンザス大の勢いは止まらず、残り10分8秒にフォワードのジェイレン・ウィルソン(Jalen Wilson)がレイアップとアンドワンのフリースローを沈めた時点で、56-50と逆に6点先行していた。


以降は1ポゼッション差を巡る大接戦。残り1分41秒にノースキャロライナ大が、あごひげをトレードマークとするビッグマンのブレイディー・マネク(Brady Manek)がプットバックを決めて69-68と再逆転する場面もあったが、カンザスは続く2度のポゼッションでマコーマックが2連続フィールドゴールを決め、72-69で逃げ切った。16点差をひっくり返しての勝利はNCAAトーナメント史上最大の逆転劇とのことだ。


カンザス大はマコーマックとウィルソンがともに15得点。後半の巻き返しには、この2人と控えガードのレミー・マーティン(Remy Martin=この試合で14得点、後半だけで11得点)が大きく貢献した。マコーマックは10リバウンドと合わせてのダブルダブル。また、得点源のガード、オチャイ・アグバージ(Ochai Agbaji)はこの試合における先制点となる3Pショットを含む12得点を記録し、同じくスターティングガードのクリスチャン・プラウン(Christian Braun)は12得点、12リバウンドのダブルダブルだった。

 

 ファイナルフォーのMOP(もっとも突出した活躍を見せたプレーヤーに贈られる賞)には、アグバージが選出されている。アグバージは今夏のNBAドラフトでも上位指名を期待されるガードで、ファイナルフォーの2試合では平均16.5得点と得点力の高さを発揮した。

 

 ノースキャロライナ大は、フロントラインのスターターを務めるアルマンド・ベイコット(Armando Bacot=15得点、15リバウンド)と前述のマネク(13得点、13リバウンド)、さらにはガードのR.J.デイビス(R.J. Davis=15得点、12リバウンド)と、スターターのうち3人がダブルダブルを記録した。しかし、リバウンドでカンザス大を55-35(オフェンスリバウンドは24-8)と圧倒しながら、フィールドゴール成功率(31.5%-43.9%)と3P成功率(21.7%-35.3%)が示すとおり、シューティングが伴わなかったことに加え、バランスの取れたカンザス大のオフェンスの中でも特に後半、マーティンのロングレンジやマコーマックの要所の好プレーに対抗できなかったことが敗因につながった。

 

 この決勝はルイジアナ州ニューオリンズにあるシーザース・スーパードームで行われた。NFLのニューオリンズ・セインツがホームとして使う巨大な会場だが、コロナ禍が明けた状態での一大決戦を観戦しに訪れた観衆の数は、69,423人という驚異的な人数に上ったと報告されている。

 

男子NCAAトーナメント決勝、カンザス代替ノースキャロライナ大ハイライト

同試合残り3分間の激闘フル映像

 

 

(月刊バスケットボール)



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