月刊バスケットボール6月号

NBA

2022.03.28

渡邊雄太、思わぬ展開の中6得点1リバウンドを記録 - ラプターズは勝利でイースト6位に浮上

 日本時間3月27日(北米時間26日)にトロントのスコシアバンク・アリーナで行われたトロント・ラプターズ対インディアナ・ペイサーズ戦で、渡邊雄太が第4Qに3試合連続となる出場を果たし、6得点、1リバウンドを記録して131-91の勝利に貢献した。

 

 ラプターズはこの勝利で通算成績を42勝32敗とし、クリーブランド・キャバリアーズ(41勝33敗)を抜いてプレーオフ直行圏内のイースタンカンファレンス6位に浮上。5位のシカゴ・ブルズとも1ゲーム差で、終盤戦の追い上げで好位置につけている。


この試合は第2Q残り4分5秒の時点で、天井からつるされたスピーカーからの出火が確認されたために中断するというアクシデントに見舞われた。会場には19,800人の大観衆が来場していたが、出火の確認を受け区画ごとに緊急避難の指示が出て、全員が順に席を立つことに。ソーシャルメディアなどでは、異常が見つかったスピーカーからオレンジ色の炎が揺れ、試合の中継画面では消防隊員が消火に当たる映像も公になっていた。


試合は約70分間の中断の後に再開されたが、以降は無観客状態での試合続行。ほどなく訪れたハーフタイムも普段より短い休憩で切り上げる形となるなど、通常とは異なる流れになった。

 


思わぬ展開の一戦だったが、ラプターズは試合が中断されるまでにホームの大歓声の中で66-38と28点差のリードを積み上げており、再開後もその流れが変わることはなかった。


渡邊がコートに入ったのは第4Q残り8分23秒。最初の得点は残り4分15秒あたりからのプレーで、ラプターズがあらたに複数年契約を結んだポイントガードのアルモニ・ブルックスのパスに合わせてタイミングよくペイントにダイブし、レイアップを流し込んだ。残り3分半過ぎにはディフェンスでリバウンドをつかみ、そのままコーストトゥコーストでフィニッシュに持ち込む。この場面ではフィールドゴールはならなかったが、ファウルを得てフリースロー1本で加点。さらに残り1分43秒には、左ウイングでダラノ・バントンからのアシストを受け、3Pショットを成功させて6得点に到達した。

 

 ディフェンス面では、タイリース・ハリバートン、ランス・スティーブンソンらとマッチアップ。スティーブンソンの3Pショットに厳しくコンテストして得点を阻止する場面もあった。


渡邊がフィールドゴールを2本以上成功させたのは、日本時間3月1日(北米時間2月28日)の対ブルックリン・ネッツ戦以来約1ヵ月ぶりのことだった。3Pショットの成功は3試合ぶり(出場機会がなかった4試合を含めると7試合ぶり)。シーズン終盤に向けチーム全体が調子を上げ、勝ち星がついてくるとともに、徐々に渡邊の出場機会も増えている。

 

 ラプターズはレギュラーシーズンの残り8試合中6試合がホームゲームなだけに、ホームアリーナでの機材トラブルは、今後の試合開催への影響という意味で懸念材料になりうる要素だ。しかしラプターズを運営するMLSE(Maple Leaf Sports & Entertainment Ltd.)は、28日にスコシアバンク・アリーナで行われるトロント・メイプルリーフスのNHL公式戦までに、必要な修繕作業を終えられると発表している。

 

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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