月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.03.16

ブラッドリー・ビール(ウィザーズ)が2016年に東京で語ったこと

 NBA Japan Games 2022 Presented by Rakutenでこの秋来日することが決まったワシントン・ウィザーズのスコアラー、ブラッドリー・ビールは、2016年の5月に一度NBAのプロモーションで東京を訪れており、今回来日が実現すれば2度目になる。ビールは昨年の東京2020オリンピックでもアメリカ代表の一員として来日するはずだった。しかし、大会直前に新型コロナウイルスの安全衛生プロトコル入りとなり、残念ながらチームを離脱。子どもの頃からの夢だったというオリンピック出場と、2度目の来日がお預けとなっていた。


それだけに、今回のウィザーズの来日決定に際してファン向けに発信したメッセージも、うれしそうな笑顔が印象的だ。日本語の「コンニチハ!」というあいさつから始まるビールの言葉は、以下のような内容だ。

 

 

「日本の皆さん、コンニチハ! ワシントン・ウィザーズのブラッドリー・ビールです。また日本に戻って、ゴールデンステイト・ウォリアーズと試合ができることを超楽しみにしています。早く直接お会いしたいですね!」
“Kon-nichi-wa Japan! It’s Bradley Beal here for the Washington Wizards. I’m super excited to come back to Japan once again for our game against the Golden State Warriors. Hope to see you all in person real soon!”

 


ビールが前回来日したときは、代々木公園のバスケットボールコートや都内のスポーツショップに姿を見せたり、NBAのパブリックビューイングイベントに登場して日本のファンとの交流を楽しんだ。また、羽織袴を着て日本刀を構え、大相撲観戦を楽しむ様子も伝えられていた。


当時インタビューの時間をもらった際には、シューティングに関することから家族や恩師に関することまで、ざっくばらんに答えてくれた。ビールの家族は、父はボビー(Bobby)、母はベスタ(Besta)、兄はブランドン(Brandon)、そして弟がバイロン(Byron)とブリヨン(Bryon)ととにかくイニシャルが“B”なのだ。しかもフロリダ大学時代の恩師もビリー・ドノバン(Billy Donovan)でやはり“B”がついている。そして得意なのがバスケットボール(basketball)ということで、「どこまでも“B”ですね」という話題で盛り上がった。

 

2016年5月のインタビューでのビール。“B”の話題でこんな笑顔を見せてくれた(写真/HOOP・月刊バスケットボール)


先日、ズーム会見で八村 塁のシューティング・メカニックはどこが良いと思うかと聞いたときに、無駄な動きがないこと、フォロースルーを残していること、スタンスを広く取り安定感があることなどとともに、自分のシューティングに自信を持っていることと答えてくれていたが、実はこれと同じコメントをビールは2016年にも残している。どんな形でボールを放つかよりも自分を信じられることが大事、というのは、もちろん数えきれないほどの反復練習を繰り返し、自分にとっての自然な形を確立しているからこその言葉だが、その基本は6年を経ても変わっていない。この内面的なブレのなさが、安定感のある得点力の源であることは間違いない。


一つ気になるのは、ビールとウィザーズの契約状況だ。今シーズンは左手首舟状月状靭帯損傷とその手術で離脱中のビールは、実は現在の契約では来シーズンがプレーヤーオプションとなっている。3月に入ってから、ウィザーズとの契約更改に応じる方向に気持ちが傾いていることを明かしたが、それは最終決定ではない。しかし上記のコメントは、来シーズンもウィザーズのユニフォームを着ることが確実と思わせる内容でもある。低く見積もっても、その公算は相当高まったと言えるのではないだろうか。

 


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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