あらたなバスケットボール文化を体現する究極的にアグレッシブな男子日本代表12人 - FIBAワールドカップ2023アジア地区1次予選Window2、対チャイニーズ・タイペイ代表戦

■プレーヤー
※プロフィールは背番号、名前、ポジション、身長(cm)/体重(kg)、生年月日 (年齢)、 所属(出身校、出身地)
※年齢・所属は2022年2月25日現在

 


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1 齋藤拓実 PG 172/69 1995/08/11(26)

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(明治大学/神奈川県)

 

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2 富樫勇樹 PG 167/65 1993/07/30(28)

千葉ジェッツ(モントロス・クリスチャン高校/新潟県)

 

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3 ルーク・エヴァンス C 203/100 1991/03/16(30)

ファイティングイーグルス名古屋(カリフォルニア・バプティスト大学/アメリカ)

 

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16 佐藤卓磨 SF 197/93 1995/05/10(26)

千葉ジェッツ(東海大学/北海道)

 

 

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19 西田優大 SG 190/90 1999/03/13(22)

シーホース三河(東海大学/徳島県)

 

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20 寺嶋 良 PG 179/77 1997/10/23(24)

広島ドラゴンフライズ(東海大学/東京都)

 

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24 マシュー・アキノ C 205/100 1996/09/28(25)

信州ブレイブウォリアーズ(ナショナル大学/フィリピン)

 

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28 アイザイア・マーフィー SG 196/88 1998/04/10(23)

広島ドラゴンフライズ(イースタン・ニューメキシコ大学/沖縄県)

 

 

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30 今村佳太 SG 191/92 1996/01/25(26)

琉球ゴールデンキングス(新潟経営大学/新潟県)

 

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32 シェーファー アヴィ幸樹 PF 206/106 1998/01/28(24)

シーホース三河(ジョージア工科大学/兵庫県)

 

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51 古川孝敏 SF 190/92 1987/10/20(34)

秋田ノーザンハピネッツ(東海大学/兵庫県)

 

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55 谷口大智 PF 201/105 1990/04/15(31)

茨城ロボッツ(サウスイースタン・オクラホマ州立大学/奈良県)

 


あらたなバスケットボール文化を体現できるか?

 

 この12人で戦うチャイニーズ・タイペイ代表との一戦の見どころは、同チームのチャールズ・パーカーHCがこれまでに率いた中で最も若いという相手に対し、どれだけどう猛に、アグレッシブさを発揮できるかだろう。オリンピアンの富樫、シェーファーから、昨年の11月のWindow1で手応えを感じさせた齋藤、寺嶋、西田ら、そしてフル代表で初舞台を踏む谷口、マーフィー、マシューまで、12人全員がホーバスHCとゲインズAHCが求めるあらたな日本のバスケットボール文化を体現するということが、そのままホーバスHC体制での初勝利につながる。

 

 あらたなバスケットボール文化とは、代表合宿中の会見からの諸々のコメントを聞けば、かつてないほど、極限までアグレッシブな自分自身を出し切ることと言えそうだ。12人がそうなることで、一つ一つのプレーに緊迫感を生み出し、その中で小さな成功を積み上げ続ける。

 

 例えば寺嶋は、Window1を前にした合宿でホーバスHCと交わした会話を振り返り、「前日に宇都宮(ブレックス)戦で25得点とって勝利してきたんですけど、トムさんには『すごいけど、私としては褒めないよ』と言われました」と話していた。「第4Qに僕はほとんどシュートを打たなかったんです。第3Qまでに25得点獲って、その後シュートを打たなかったことに対して『なんで打たなかったの?』と言うんです。『その後もずっと打って30得点、40得点獲らなければいけないよ』と」。周りを生かすのももちろん大事だが、代表では自分をもっと出してアグレッシブにに点を獲っていくようにというメッセージを、寺嶋は受け取っていた。

 

 マシューはホーバスHCのバスケットボール文化について、「速さ(fast pace)」「集中(locked in and focus)」「懸命さ(hard work)」とキーワードを挙げ、「コーチ・トムはビシッビシッと物事が動いていくように、頭を使うように要求してきます(Coach Tom really wants to click right away, to use your brain)」とホーバスHCの緊迫感を説明した。今回の12人に入らなかった安藤誓哉(島根スサノオマジック)の「インスピレーションで5人がそれぞれの発想を持った中で、阿吽の呼吸でパス、ドライブ、シュートを作っていく」という言葉も加えるとイメージしやすいかもしれない。

 

 マーフィーは、「勝利の文化(winning culture)」という言葉を使って今回の男子日本代表が目指す文化を変えることの真意を説明した。「一つの思いの下、一つのゴールを目指してまとまること(one buy in to mindset, one goal)」などのキーワードを挙げ、「頑張れること、それもコート上の誰よりも頑張れること(be able to work hard, work harder than anybody else on the floor)」という表現で、コート上の切磋琢磨が生み出す究極のアグレッシブさが文化を変えていくことにつながると話す。

 

 合宿中にホーバスHCは、新たな文化を作る決意を激しい口調でチームに語って鼓舞したという。谷口はその場面を「オレたちはもっと必死になって今のカルチャーを、今の男子代表のカルチャーをぶち壊して新しいカルチャーをしっかり作らなきゃいけないんだ! と練習中に叫ばれたときには、結構僕はゾクッとしました」と話していたが、そう感じた谷口が12人に入ったのは、実践が伴っていればこそではないかと推察できる。

 

 今回の12人は、究極のアグレッシブさを理解し、短期間の合宿で実践できるよう全力を注いできた。Window1のとき以上に理解度も深まり自信もつけている上、ポイントガードのペイントアタックを基軸に3Pショットを積極的に狙うアップテンポで激しいプレースタイルに、活路を見出せそうなアスレティックなタレントがそろっている。25日にオーストラリア代表に61-98で敗れたチャイニーズ・タイペイ代表を相手にきっちり結果を残し、翌日のオーストラリア代表との一戦にも遠慮なくゲームを獲りに行くところを期待したい。

 

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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