月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.02.21

クリス・ポール(サンズ)がコービー&ジジ・ブライアントWNBAアドボカシーアワードの初代受賞者に

 フェニックス・サンズのクリス・ポールが、女子・女性のバスケットボール競技参加を推進する活動への多大なる貢献とWNBAへの支援を評価され、WNBAがあらたに設けたコービー&ジジ・ブライアントWNBAアドボカシーアワードの初代受賞者に選出された。WNBAはバネッサ・ブライアントとともに、2月20日に行われる2022NBAオールスターゲームの会場で、ポールへの授賞式を行う。

 


この表彰は、WNBAと女子バスケットボール界の発展に力を注いだ人物として知られたコービー・ブライアントの功績と、いつかWNBAでプレーしたいという夢を抱いてこの競技に情熱を傾けた、ブライアントの愛らしい次女ジアナ(ジジのニックネームでも知られている)の生涯を称える意図がある。また、2年前に帰らぬ人となった2人の名前を冠した表彰にふさわしく、自らの時間、能力、立場をWNBAと女子・女性のバスケットボールへの参加推進に向け費やす人物の功績を称えることを目的としている。今後は毎年行われるとのことだ。


父ブライアントは高校、大学、NBA、WNBAと幅広いカテゴリーで良い人間関係を築き、若者たちの指針となり、訓練にいそしみ、ジジのユースチームのコーチを務め、自らの手によるマンバ・スポーツ・アカデミーも創立。さらにはWNBAの女子・女性スポーツ参加促進イニシアティブ『Her Time to Play』の創設にも関わっていた。ジジはバスケットボールを愛し、そんな父の背中を追うように自らの理想の姿を求め続けた。


WNBAのキャシー・エンゲルバートコミッショナーは、初代受賞者となるポールについて「私はかねてから、クリスが特にフェニックスとノースキャロライナを中心に、WNBAとあらゆるレベルの女子バスケットボールの存在を喜んでくれていることを感じていました。私たちのスポーツへの彼の熱心な支援ぶりは、在りし日のコービーとジジを強く思い起こさせるものです(I have seen first-hand Chris’ appreciation of the WNBA and the game at every level for women and girls, especially in Phoenix and North Carolina, and his ardent support of our game strongly reflects the legacy of Kobe and Gig)」とコメントを発表した。「WNBAはここにクリスをコービー&ジジ・ブライアントWNBAアドボカシーアワードの初代受賞者として表彰し、称えさせていただきます。今後も若い女性とすべてのファンのために、競技の未来を育てていく中でリーダーとして、また若手アスリートたちのお手本として貢献してくれることを期待しております(The league is proud to name Chris as the inaugural recipient of the Kobe & Gigi Bryant WNBA Advocacy Award, as he serves as a leader and role model for other professional athletes around growing the future of the game for young girls and all fans)」

 


WNBA、そしてフェニックス・マーキュリーの大ファンとして知られるポールは、たびたびWNBAの公式戦会場に足を運び、また自らの知名度を活用してWNBAプレーヤーたちのコート上における成功やコミュニティーにおける社会的不正に対する抵抗活動の様子を発信するなど、女子バスケットボールをさまざまな形で支援してきた。WNBAドラフトやオールスターの現場ではなじみの顔としてプレーヤーたちを助け、WNBA創立25周年だった昨シーズン開幕前には、NBAではなくWNBAプレーヤーのジャージを身に着けて歴史的瞬間を盛り上げる姿が、ソーシャルメディアなどでも話題になった。


自身が運営するCP3バスケットボール・アカデミーでも、このスポーツを通じて若者たちの夢を持つことや規律や生きるすべを学ぶことの大切さを伝えることを使命として、ユースレベルの女子バスケットボールを支援している。


ブライアントは2019年12月に、WNBAのオレンジ色のフーディーを着用して、ジジとともにダラス・マーベリックスとロサンゼルス・レイカーズの試合会場に姿を見せたことがあった。“ガール・ダッド(Girl Dad)”ぶりとWNBAへの思い入れを象徴するようなその情景が全世界に広がった影響で、オレンジフーディーはWNBA公式アイテムとして歴代最高売上を記録し、同時に今ではオレンジがリーグのシンボルカラーとなっている。エンゲルバートコミッショナーが「オレンジフーディーは女子バスケットボールとプロアスリートとして生きる女性たち、そして“Wプレーヤー(女子プレーヤーたち)”の決意と献身への支援の象徴になりました(The orange hoodie became a symbol of support for women’s basketball and working women in professional sports and the determination and dedication of the W players)」と話すこのフーディーを、ポールもたびたび身に着けて公共の場に姿を現している。

 WNBAはこのあらたな表彰の発表とともに、コービーとジジのビジョンと思い出を受け継ぐマンバ&マンバシータ・スポーツ財団(Mamba & Mambacita Sports Foundation)に対し寄付を行うことも発表した。

 

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

ブライアントにとって最後のオールスターの舞台となった2016NBAオールスター・ゲームの試合前のコービーとジジ(写真/石塚康隆 月刊バスケットボール)

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