月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.02.10

渡邊雄太が2試合連続出場で4得点、ラプターズは今シーズン最長7連勝

 好調の波に乗るトロント・ラプターズが日本時間2月10日(北米時間9日)にオクラホマシティ・サンダーとのアウェイゲームに臨み、117-98で勝利。この試合で渡邊は第4Q残り1分47秒にコートに入り、短い時間でフィールドゴール2本を決め4得点を記録した。

 


渡邊は2日前の対シャーロット・ホーネッツ戦に続く2試合連続出場。また得点を記録したのは日本時間1月26日(北米時間25日)のホーネッツとの試合以来8試合ぶりで、新型コロナウイルス感染拡大抑止策の安全衛生プロトコルを脱して以降2度目のことだ。フィールドゴールを2本以上成功させたのは、10得点を挙げた日本時間12月29日(北米時間28日)の対フィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦以来で、2022年が明けてからは初めて。長らく調子を落としたまま出場機会を減らしているが、少しずつ本来の姿を取り戻しつつあることが感じられるプレーぶりだった。

 


渡邊の得点シーンは登場から15秒後、トップ右からハイポストのケム・バーチとのハンドオフプレーでチャンスを得、左エルボーから柔らかなタッチでフローターを成功させた。2本目はその次のオフェンシブ・ポゼッションで、右コーナーでスポットアップした後ウイングに上がってマラカイ・フリンからのパスを受け、トレイ・ダンと1対1の状況から鋭いドリブルドライブでベースライン側にアタックし、左手でレイアップを押し込んだ。


ラプターズはこの勝利で連勝を今シーズン最長の7に伸ばした。これは渡邊が入団して以降なかったことで、53勝19敗の成績でイースタンカンファレンス2位となった2019-20シーズン以来初めてだ。


このシーズンはチャンピオンシップ獲得翌年であり、ニック・ナースHCが最優秀コーチ賞を受賞するとともに、チームもカンファレンス・セミファイナルまで進出している。日本時間では2月11日(金=北米時間10日[木])がトレードデッドラインとなるが、先日ボビー・ウェブスターGMが会見で話していたとおり、今シーズンのラプターズは大きな補強をするよりもこのままロスターのコンディションを整えていくことで、ポストシーズンでもかなり深くまで勝ち残るポテンシャルがありそうだ。


2019年のチャンピオンシップ・チームが持っていたマルク・ガソール、サージ・イバカのようなインサイドの柱や、両者に加えカワイ・レナードのような百戦錬磨のベテランは現在のチームにはいない。しかしオールスター初選出をかなえたフレッド・バンブリートが安定感のある活躍を見せるとともに、ウイングスパンが7フィート(213cm)を越えるメンバーを同時に5人起用できる今シーズンのチームは、通算成績を30勝23敗とし、イースタンカンファレンス6位の座を守っている。「できるはずのことややろうとしていることを理解し始めました。より効果的に、より大きくプレーできるようになってきています」とナースHCは試合後の会見で手ごたえを語っていた。

 

「今夜もきれいにディフェンスをできたとは思わないのですが、そういうものはシーズンの中で少しずつ高めていくものだと、私は現実的に見ています。自分たちを勢いづけてくれるきっかけを見つけられているようで、今日も特定のゾーンやちょっとした調整を加えることでどこからか活気が生まれ、5分間、6分間と突き進むことができていました。これはうれしいことです」

 

試合後会見でのナースHCは、チームの好調に強い手ごたえを感じている様子だった

 


力強さを増してきたチームにおいて、現状は“サードストリング(グループとして3番手と考えられるプレーヤー群)と呼ぶのが妥当といえる渡邊。しかし、ナースHCがローテーションを拡大する方向にある中で、課題のオフェンス面で良いところを見せることができた。少なくともこの試合は、今後の復調に向けたきっかけにはなるのではないだろうか。忍耐強くプレーする時間を積み上げて、後半戦に向けた復調とその後のかけがえのない経験につなげるチャンスを迎えているかもしれない。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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