月刊バスケットボール6月号

NBA

2022.02.05

渡邊雄太、不出場が5試合連続に - ラプターズは絶好調の5連勝

 日本時間2月5日(北米時間4日)に、トロントのスコシアバンク・アリーナでトロント・ラプターズ対アトランタ・ホークス戦が行われた。渡邊雄太はこの日もベンチ入りしたが、出場機会はなかった。

 

 


試合は125-114でラプターズがホークスを下して5連勝。ラプターズは直近7試合で6勝という好調ぶりで通算成績を28勝23敗(勝率.569)と、今シーズン初の貯金5まで上げてきた。現時点でプレーイントーナメント進出圏内のイースタンカンファレンス7位。しかしプレーオフ直行圏内の6位に位置しているブルックリン・ネッツ(29勝22敗)にも、1ゲーム差まで迫っている。


この試合でラプターズは、試合開始から約6分間こそホークスにリードを許したが、第1Q残り6分12秒にパスカル・シアカムのフェイドアウェイ・ジャンパーで17-16と逆転に成功すると、このクォーターの残り1分13秒までの約5分間に20-3のランで一気に37-19までリードを広げ主導権を奪った。その後はホークスが追い上げるたびにラプターズが応戦して突き放す流れが試合の終盤まで続き、最終的には11点差で逃げ切った。


ラプターズは直近7日間で上位チームばかりと5試合を戦うタフなスケジュールを最高の形で乗り切った。オールスター・ゲームのリザーブに選出されたフレッド・バンブリート、パスカル・シアカム、ギャリー・トレントJr.がラプターズ版“ビッグスリー”と形容されるほど活躍しているところに、残る2人のスターターであるルーキーのスコッティ・バーンズとOGアヌノビーも大事なところでビッグプレーを披露している。

 

 加えてクリス・ブーシェイ、プレシャス・アチウワ、ダラノ・バントンの3人がベンチから比較的短い時間で貴重な貢献をもたらしており、ラプターズのローテーションは直近7日間はほぼこのメンバーで定着している。前日のシカゴ・ブルズとの試合からは鼻の骨折で欠場していたセンターのケム・バーチも戦列に復帰しており、層の厚みは今後いっそうアツくなる見込みだ。


その中で渡邊は、ラプターズ入りして以来初めて、ベンチ入りしながら5試合連続不出場という状況を経験している。ただ、本来期待すべき戦力がすべてそろったラプターズで、調子を落としたプレーヤーの出場機会が減少するのは自然なことだ。現在のラプターズはイースタンカンファレンスでトップを競えるチームであり、何より勝利を優先してベストの顔ぶれを長く起用するのは、ニック・ナースHCとして当然の選択といえる。

 

 ラプターズの次戦は日本時間2月8日(火=北米時間7日[月])のシャーロット・ホーネッツとのアウェイゲーム。その試合を含めオールスター・ブレイクまでに戦う6試合は、すべて現時点で勝敗成績がラプターズより下位で、勝率5割以下のチームとの対戦も3度ある。これらを軽く見ずしっかり勝利を手にしたいところだが、そこで渡邊がどんな存在感を見せるかは注目に値する。

 


ラプターズは好調の波に乗った直近7試合の一つ前の試合で、デイミアン・リラードを欠いた状態のポートランド・トレイルブレイザーズ(その時点で19勝26敗)とホームで対戦し、105-114で敗れている。しかも前半終了時点のスコアは34-64と大量30点差を追う状況。試合後シアカムも、「ときどきこういう試合があるんですよね…。力を見出すことができませんでした(It was one of those games…, it was tough to find the energy)」と話していた。

 

 この試合では渡邊も1分49秒間コートに立ったが、インパクトを残せていない。出場機会の有無と無関係に、この試合と同じ轍を踏まないようにアクティブにチームを盛り上げ、援護射撃に取り組むことが大切だろう。


オンコートのパフォーマンスが現時点でどれだけ戻っているかは測りようがないが、直近の出場機会だった日本時間1月26日(北米時間25日)のホーネッツとの試合では、3Pショット2本中1本を決めて3得点を記録し、リバウンドも5本つかんで復調の兆しを見せていた。オールスター・ブレイクまでの6試合が、渡邊の後半戦における復調に向け良いきっかけをもたらす可能性はある。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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