月刊バスケットボール6月号

藤岡麻菜美(シャンソン化粧品シャンソンVマジック) - FIBA女子ワールドカップ2022予選日本代表候補名鑑

写真/©fiba.basketball

 

藤岡麻菜美(シャンソン化粧品シャンソンVマジック/千葉県/筑波大学)
PG 169cm/57kg 1994/02/01(27歳)
Wリーグ2021-22: 3.8P, FG35.6%, 3P23.1%, FT60.0%, 1.8R, 2.7A, 0.8S, 0.0B
FIBA女子ワールドカップ2018: 3.3P, FG40.0%, 3P -, FT83.3%, 1.5R, 3.0A, 0.5S, 0.0B

 

 


今回招集されたポイントガードの中で最長身、町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)と本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)に次ぐ年長の“お姉さん”にあたるのが藤岡麻菜美だ。筑波大学時代のインカレ制覇、ENEOSサンフラワーズ時代のWリーグと皇后杯制覇、日本代表としてFIBA女子アジアカップ2017優勝と大会のベストファイブ選出、FIBA女子ワールドカップ2018出場と、非常に豊富な経験を持っている。


ENEOSサンフラワーズでプレーしていた2019-20シーズンを最後に一度は引退した藤岡は、今シーズンはシャンソンでWリーグに復帰し、17試合に出場している。実績に不足はないが、今あらためて世界を相手に戦う上での懸念材料と言えば、そのレベルでの戦いに耐えうる心身のコンディションではないかと思い、会見で質問させてもらったところ、次のような答えが返ってきた。

 


「全盛期と比べたら体重的には6kg細いので、当たり負けだったりとか、そういう面に関しては引退する前のほうが充実していたかなと思いますけど、スピードに関してはむしろ今のほうが動けているなという感覚があります」


バスケットボールの動作的な視点からは、自身を含めたチームのコンビネーションの中でオープンになる味方の“その瞬間”をつかみ、絶妙のタイミングで送り出す手離れの良いパスや、鋭いプルバックドリブルと巧みな方向転換、緩急の変化を組み合わせた“キラー・クロスオーバー”からのドライブが大きな武器。その藤岡が以前よりも動けるというのは頼もしい限りだ。フィジカル面の強化に関しては、日本代表のパフォーマンスコーチとの連係で、今の自分の体に合った改善策に取り組む考えも話してくれた。


藤岡の持ち味は動作上のアドバンテージだけではなく、バスケットボールに向き合う姿勢の面でも今回の日本代表で生きそうな特徴がある。その一つは、「自分で考えるバスケットボール」ということだ。

 

写真/©JBA

 

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 藤岡は中山MBCから市川市立第四中学校、千葉英和高校と進学する過程で、自分で考えてプレーできる環境をあえて選んできたプレーヤーだ。恩塚 亨HC率いる日本代表に加わるのは初めてだが、自主的にそれぞれが求める理想像を目指すことを掲げるこのチームで、藤岡の自主性と創造性がチーム力を爆発的に高める可能性もあるのではないだろうか。「全然トムさん(トム・ホーバス現男子日本代表HC)のときとは違うバスケットになってメンバーもガラッと変わっているので、また新しい日本代表のプレースタイルができるんじゃないかと楽しみにしています」と前向きで、藤岡自身もあらたな魅力を見せてくれることが期待できる。


その新たな魅力はどんなものなのだろうか。以前の自身に比べ進化したところについて、藤岡は「コーチの仕事もしているので、バスケットIQやいろんな考え方とか、コートを前よりも俯瞰して見られるようになった感じが、なんとなくですけど自分の中にあります」と話している。指揮官の分身たるプレーメイカーとして何より必要な側面をアップグレードして、“ネオ”が新たな一歩を踏み出した。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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