三好南穂(トヨタ自動車アンテロープス) - FIBA女子ワールドカップ2022予選日本代表候補名鑑

 

 3Pシューターとしての三好南穂の実力は十分証明されている。Wリーグ2021-22シーズンの成功率52.3%は、フリースロー成功率89.7%とともに現時点まで堂々リーグ1位。フィールドゴール成功率56.5%も同4位に入るハイレベルな数字だ。その三好が今回の代表候補としての抱負の一つに挙げたのが「苦しい時間帯にプレーで表現できる選手であれたらいい」ということだった。


勝負強さは5年前のリオオリンピックでも発揮していた。この大会での三好は日本代表が戦った6試合中出場したのは3試合にとどまり、平均出場時間も1.8分。しかしグループラウンドの対フランス代表戦(79-71で日本が勝利)では、コートに立ったのが第4Q終了間際のわずか25秒だった中で、残り20秒に大きな意義のある3Pショットを沈めている。

 


昨夏の東京2020オリンピックでも三好の出場時間は短かったが、アメリカ代表との決勝で3Pショット1本、ペイントアタックからのショートジャンパー1本で5得点を奪うなど存在感を示した。この試合での最初の得点だった3Pショットは第2Q半ば。オコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)とのスクリーンプレーから右ウイングの3Pエリアにポップアウトしてボールを受け、思い切りよく放った一撃だ。


このクォーター開始時点で14-23と9点のビハインドから、じりじりと追い上げる中での3得点。日本代表が32-38と6点差まで詰め寄ったこのシーンは、序盤を除いて日本代表が最も点差を縮めたシーンでもある。日本代表の27点目となった林 咲希(ENEOSサンフラワーズ)のドライビング・レイアップのアシストも三好であり、「苦しい時間帯にプレーで表現できる選手であれたらいい」という言葉そのものの活躍ぶりだ。

 

写真/©JBA

 

 

 こうしたパフォーマンスは、三好がベンチにいても戦っていることを感じさせる。「オリンピックのときは試合に出られない時間帯が多かったので、ベンチのメンバーも一つになって、全員12人が同じ方向を向いてやらないと勝てないというのは分かっていた」と三好は当時の心境を振り返る。「そういうときに気持ちが落ちないように、皆で声をかけて全員で勝ちに行こうというような雰囲気を作ることを心がけていました」。戦いに臨むべき心持ちが三好個人はもちろん、チームとしても作り上げられていたからこその銀メダル獲得だったのだろう。


プロフェッショナルなマインドセットは、今回の代表活動でも変わらない。しかし、プレーの幅を広げる意欲はこれまで以上のようだ。Wリーグのシーズン中にチャレンジしてきた、プルアップ・ジャンパーや自身がピックを使うボールハンドラー役など、代表ではやってこなかったプレーも今では武器であり、「ディフェンスを見て臨機応変にチャレンジできたらいいなと思います」と積極的だ。最大の武器である3Pショットを軸に、多彩な組み立てやフィニッシュなど、多くの見どころを提供してくれるに違いない。

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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