月刊バスケットボール6月号

馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス) - FIBA女子ワールドカップ2022予選日本代表候補名鑑

写真/©fiba.asiacup2021

馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス/愛知県/桜花学園高校)

SF/PF 182cm/78kg 1998/11/25(23歳) 

☆キースタッツ
Wリーグ2021-22: 14.2P, FG53.6%, 3P39.4%, FT86.8%, 7.0R, 2.0A, 1.4S, 1.8B
FIBA女子アジアカップ2021: 10.0P, FG42.9%, 3P28.6%, FT85.7%, 3.6R, 1.8A, 2.2S, 1.2B

 

 昨夏の東京2020オリンピックにおける3x3日本代表としての活躍で、競技の垣根を越えていっそう広く知られるアスリートとなった馬瓜ステファニー。5人制日本代表の一員としてプレーしたFIBAアジアカップ2021では「あまり自分自身で積極的に攻めていくことがなかった」という感触を持っている。


同大会での平均10.0得点はチームで5番目の数字で、タイムシェアをして全員にさまざまな数字が分散した中で決して悪くはない。それでも「自分でもどのタイミングで攻めたらよいものか、いろいろと考えすぎた部分が多かった」というのが、1月29日の会見で馬瓜が発したコメントだった。


確かに、ディフェンディングチャンピオンのトヨタ自動車アンテロープスでトップスコアラーとして活躍していることを思えば、もっと獲ってこれそうだ。また今回は、恩塚 亨HCのシステムを一度経験した上での招集でもあり、前回以上に活躍を期待できる状況でもある。


「もっと得点に絡んでいけるように、それがチームにとって良い方向になるように、積極的にやっていきたいです」という意欲を持って臨んでいる今回の代表活動は、「今までとはまた違った自分を見せられるんじゃないか」という期待が膨らむ機会。高さと切れのあるフェイドアウェイ・ジャンパーなど、ペイント周辺での多彩なフィニッシュや、ロングレンジでも脅威になれるシューティングなど、オフェンス面での魅力も多いプレーヤーだけに爆発的な活躍も十分想像できる。

 


馬瓜のアジアカップをもう少し振り返ると、ディフェンスとリバウンドの活躍には非の打ちようがないことがわかる。スティールとブロックはチーム1位で、スティールは赤穂ひまわり(デンソーアイリス)と並ぶ大会全体の1位タイ、ブロックは同4位という好成績だった。またリバウンドは赤穂に次ぐチーム2位だったが、オフェンスに関してはチーム1位で、大会全体でも10位タイの成績だ。


スクリーナーとしての役割やヘルプディフェンスでも、馬瓜はたびたびチームに貢献した。これらはいずれも、一つのポゼッションで決めておしまいというものではなく、コートに立っている時間を通じて遂行し続けることが求められる仕事だ。大会を通じてこの側面でハードワークを続けた馬瓜のバスケットボールには、究極的にフィジカルでトランジションの速い3x3の戦いの中で、WNBAのスター4人をそろえたアメリカ代表を倒した激闘の記憶を思い起こさせるような、泥臭さ、熱さ、美しさといった要素が同居していた。

 

3x3での経験は馬瓜にとってアドバンテージになりうる要素だ(写真/©fiba.basketball)

 


今度は5人制で世界を相手にプレーする機会を狙う馬瓜だが、考えてみると3x3の経験は非常に大きなアドバンテージになるのではないかと思う。3x3の試合はコーチが指示を出すことができないので、10分間の試合中に起こるすべてのことを、プレーヤーたちがコミュニケーションを取りながら判断して、解決していかなければならない。また、一度のポゼッションが12秒で交代するため、その自主的な判断力を伴ったスピードが不可欠になる。それは恩塚HCが掲げる究極のアジリティーそのもののように思われるのだ。

 

 馬瓜の経験の価値を恩塚HCも感じているに違いない。「恩塚さんからは、自分が行けるタイミングがあれば全部行っていいよと言ってくれるくらい信頼をいただいているので、行けると判断したときは迷わずに向かっていきたいと思います」。歯切れの良い馬瓜の言葉には自信があふれていた。

 

サイズと運動の雨量を併せ持ち、攻守におけるフレキシブルなプレーが魅力の馬瓜(写真/JBA)

 

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文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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