月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.01.22

八村塁、渡邊雄太とも試合開始2時間半前時点で出場可能 – ウィザーズ対ラプターズ戦1月22日午前10時ティップオフ

 八村 塁と渡邊雄太がともに日本人オリンピアン2人が同時にコートに立ち、マッチアップするシーンが見られるか――そんな期待がかかるワシントン・ウィザーズ対トロント・ラプターズ戦が、1月22日午前10時(北米東部時間21日午後8時)にティップオフを向かえる。ここまで23勝22敗のウィザーズは現在イースタンカンファレンス8位。対して21勝21敗のラプターズは10位。ともに7位から10位までのプレーイントーナメント出場圏内で、プレーオフ進出確定の6位以上への上昇をもくろむライバル同士だ。

 

 


試合開始から2時間半前(北米東部時間21日午後5時30分)のインジャリー・レポートに、八村と渡邊の名前は記載されておらず、どちらも出場可能な状態ということになる。

 

 八村は、個人的な理由と新型コロナウイルス感染拡大抑止に向けた安全衛生プロトコル適用による長期離脱で出遅れた状態だった。しかしここまで出場した6試合で平均14.8分の出場時間で平均7.7得点、3.0リバウンド、0.5アシスト、0.2スティール、0.2ブロックとまずまずの数字を残している。ゴール周辺でのフィジカルなプレーは、昨シーズンまでの姿と変わらない。


初戦から4試合目まで、ミドルレンジとロングレンジのシューティングタッチが定まっていなかったので、この6試合通算のフィールドゴール成功率40.5%、3P成功率33.3%、フリースロー成功率75.0%という数字はこれから伸びてくることが期待できる。実際、得点を2桁に乗せた直近2試合に限ると、フィールドゴール成功率53.3%、3P成功率50.0%フリースロー成功率85.7%と順調に上昇中。いずれも16分台の比較的短い時間でそれぞれ11得点、14得点を挙げたこの2試合は、本来の姿がかなり取り戻せていることを感じさせている。


この直近2試合を、安全衛生プロトコル下に入ったウェス・アンセルドJr.HCに代わって指揮したジョセフ・ブレアー臨時HCは、直近の対ブルックリン・ネッツ戦(118-119で敗北)を終えた後の会見で、八村の様子を「安定感のある復調ぶり(He’s constantly getting steps ahead)」と評した。

 

ウィザーズのブレアー臨時HCは、八村の復調ぶりに好感触を持っている様子だった

 


一方の渡邊雄太は、こちらも開幕から18試合に及ぶ長期離脱を経た後、やっとプレーできるようになったと思ったところで新型コロナウイルスの感染拡大によりチームの主力に欠場が相次ぎ、その急場をしのぐ活躍を見せたと思ったら今度は渡邊自身が安全衛生プトロコル適用下となり再度欠場という難しいシーズンの経過となっている。この流れの中でコンディション維持に苦労した渡邉の現時点での調子は「谷底」というべき状態だ。


直近2試合はベンチ入りしたものの出場ナシ。安全衛生プロトコルを脱した後の3試合はで、スターターを2度務めたが出場時間は最長が復帰初戦の15分1秒で、3試合を通じてフィールドゴール7本(うち5本が3Pショット)すべてをミスしていた。持ち味の一つであるブロックショットを2本、日本時間1月15日(北米時間14日)のデトロイト・ピストンズとの一戦で記録している点は良い兆しだが、特にオフェンスでロングレンジが決まらないことで、思うような貢献ができずにいる。


ニック・ナースHCは日本時間1月18日(北米時間17日)の対マイアミ・ヒート戦で渡邊を起用しなかったことについて、「彼はまだ十分リズムを取り戻していません。たぶん少し練習する時間が必要なのです(That’s it. He doesn’t seem to find his rhythm much yet just probably needs some time, a little practice time)」と答えており、実戦で感覚を取り戻すよりもワークアウトでコンディションを高めていく方向に舵を切った様子だ。日本時間20日(北米時間19日)に行われた直近の対ダラス・マーベリックス戦の試合前会見では、渡邊が遠征中も時間を見つけて練習できていることを以下のように語っていた。

 

ラプターズのナースHCは、渡邊に感覚を取り戻すための時間を与え、対ウィザーズ戦に臨んでいる

 

「昨日(北米時間18日)も移動の前後にジムに言っていました。マイアミで朝ジムに行き、ダラスについてからジムに行き、今朝も何人かはジムでシュートアラウンドをやってきています。それぞれで結構強度のある内容をやっていますから。特に故障明けでプレーできていないときには、しっかりやらなければいけませんが、良い時間を過ごせていたと思いますよ。今、彼にはそれが必要です」
“We had gym time both ends of the trip yesterday. There was gym time in the morning in Miami. There was gym time when we got to Dallas last night, shootaround time this morning again with some guys, too. So, you know put in some good hard work in all those moments. Especially when you’re you know coming off injury and not playing, you’ve gotta really go and got some good sessions there. That’s how he gotta do it right now.”


調子を上げてきている八村と、谷底から這い上がろうとしている渡邊。今シーズン両者が顔を合わせる最後の機会で、両チームのヘッドコーチがどんな起用法をするか。仮にコートに立った場合、どんなプレーを見せるか。興味が尽きない一戦だ。

 


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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