Bリーグ

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2022/01/17

Bリーグ入りを目指す重量級スイングマン、井上龍葵 - B.DREAM PROJECT 2022 Special Feature

 身長190cmはデカくない。しかし103kgは参加したプレーヤー中の最重量。最も目を引いたのは、安定感のあるロングレンジ・シューティングと、ビッグマンを相手にしても落ち着いた駆け引きで優位を生み出す1対1のうまさ。競技歴を見ると、福知山成美高校時代に、インターハイ予選とウインターカップ予選で京都府3位となったことがあり、その後龍谷大学に進んでいる。


 将来Bリーグ入りを目指す若きタレントの登竜門、『B.DREAM.PROJECT 2022(1月10日、アリーナ立川立飛にて開催)』で、2番、3番、4番ポジションとして貢献できそうな柔軟なプレーぶりを披露した井上龍葵は、「バスケットボールで食っていく人生」のドアをたたいたのはこの日が初めてだという。落ち着いた表情でBリーグ入りの夢を語る井上の言葉は、静かな響きの中に自信と意欲を感じさせていた。

 

賢いプレーぶりで3Pショットが良く決まっていた井上龍葵(写真/©B.LEAGUE)

 


200cm相手もコワくないバーサタイルなスイングマン


――ご自分のプレーを説明するなら、どんなプレーヤーということになりますか?


 ガタイがあるのと、その分中でゴリゴリっていう感じに思われがちなんですけど、自分でボールをプッシュしたり外からもプレーできる、幅広い場面でプレーできるというのが、自分の一番の強みと思っています。


――今日うまくできたなと思うところはどんなところですか?


 もしもこの先プロの世界に入れるとして、ドライブで攻めていっても実際には相手がもっと大きくて通用しないので、今日、特に意識したことの一つはいかに自分のタイミングで外からシュートを狙っていけるか。それと、結構自分のマークはミスマッチになりやすいので、相手があまり僕にピッタリつけないという状況で、高確率でスリーを決められるかという点でした。それが結構入ってくれたので、良かったなと思っています。


――最長身の参加者(近畿大学4年生で身長200cmの大町尭舜)の前で1対1して、カーメロ・アンソニーみたいなジャブステップから決めたジャンプショットもありました。あのようなプレーが持ち味ですか?


 僕は京都府出身なんですけど、高校の頃から東山高校などと対戦すると留学生がいたので、200cmを越える相手と結構やり慣れています。あまりブロックショットにビビってプレーすることなく、打てるタイミングで打ったら入ってくれました。


――200cmくらいだともう怖がらないでプレーできるということですね。


 そうですね、もうほぼ慣れたという感じがあると思います。

 

井上の身体能力の高さは、シューティングストロークの安定感にもつながっているように思えた(写真/©B.LEAGUE)


個人ワークアウトの成果が出せたB.DREAM.PROJECT 2022


 上記のプレーをもう少し詳しく振り返ると、井上は右サイドのブロックよりやや外側のミドルレンジでボールを持ち、大町と対峙していた。ゴールに正対してトリプルスレット。ダブルチームしようと至近距離に寄ってくる相手ディフェンダーがいない状態を感じ取り、井上は鋭いリップスルーとアタッキングフットのジャブで大町を揺さぶり、ジャンプショットに十分なスペースを生み出した。


 しっかりしたボディーバランスで高い打点からリリースする井上に、大町も懸命にコンテストしたが、この攻防の勝負はすでについていた。迷いのない井上のストロークが、ボールを正確にゴールへと送り込んだ。


 この一撃含め、一日を通じて井上のショットがいわゆるタフショットだったケースは少なかった。状況判断の良さがショットセレクションに現れていたと思う。


――今後の目標はどんな感じに思っていますか?


 もともとは、レベルの高いところでバスケットボールをしたいという願望が一番でしたが、プロチームに入りたいです。もっと自分が成長できる環境でプレーし続けていくことが今の目標です。


――その目標に向かうにあたって、今の課題はどんなことですか?


 今日はなかったんですけど、レーンアタックをしたときに前を見れていなくて3線のマークマンにつかまったりする傾向がありました。だからもっと周りを見てプレーしていかないといけないなと思います。それと、ディフェンス面でギャンブルして獲りにいってしまうところがあるので、そこを抑えていきたいとも思います。


――今はオフだと思いますが、どのようにバスケットボールをしていますか?


 地元の中学校や体育館をお借りして、シューティングなどをさせてもらっています。


――オーガナイズされたスクリメージは今日が久しぶりだったんですね? そう思えないほどよく入っていましたね!


 僕自身は、実戦形式でやるのが結構久しぶりでした。でもシューティングはかなりやっていたので、それが良かったんだと思います。


――1年先、2年先、どうなっていたいですか?


 具体的に考えているのは、この1年はまずプロというものを知ることから始めようということです。トライアウトのような機会は今回が初めてで、チームが個別に行うトライアウトもまだ行ったことがありません。まずはいろんなチームのトライアウトを受けて、プロがどういうものかを知ってから、2年目に勝負をかけていきたいなと思っています。

 

 

 記者の目でこの日を見ただけで、一人のプレーヤーの実力をすべて判断できるわけもないのだが、自分の強みと弱みをわきまえた上で賢い判断に基づき質の高いプレーを見せた井上は、確かに光る存在の一人だった。

 

 ちなみに今回のB.DREAM PROJECTでは、参加した48人のプレーヤーが6つのチームに分かれて5対5のフルコートスクリメージを繰り返した後、14人の選抜メンバーによるファイナルスクリメージで締めくくられたが、井上は最後の選抜メンバーからは漏れている。しかし、ハイレベルなライバルたちがそろったスクリメージで即座に結果を得られなかったとしても、井上にとっては、B.DREAM PROJECT 2022でプロ入りへの第一歩を踏み出したこと自体に非常に大きな意味があったにちがいない。

 

 井上はケガの影響で龍谷大学でのキャリアに2年で別れを告げ、治療に専念するため履正社医療スポーツ専門学校に転学するという苦労も経験している。プロを目指すきっかけとなったのは、現在トレーニングを行っているUJALというホームベース。「プロを目指すきっかけになった会社であり、プレーの幅が広がったのもUJALのおかげ」だという。

 

 インタビュー後、柔らかな笑顔で「ありがとうございました」と挨拶して立ち去った井上の背中は、なんだかんだと言ってもデカかった。Bの舞台の夢を追う1年目の今シーズンもまだ時間があるし、照準を合わせている2年目にはどこかで会えるかもしれない。感謝の思いが大きな花を咲かせる日が来ることを願う。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

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