月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.01.24

夢のBリーグ入り一筋の超絶ボーラー森川 凌(富山大学4年)- B.DREAM PROJECT 2022 Special Feature

 1月10日にアリーナ立川立飛で開催されたB.DREAM PROJECT2022。Bリーグ入りを目指す有望な若者たちが集うトライアウトとなるこの舞台には、身長160cm台のプレーヤーが4人エントリーしていた。その中の一人に、昨年12月の第73回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)1回戦で、筑波大学を相手に41得点を挙げた富山大学4年生の森川 凌がいた。

 

身長168cmの森川が披露したプレーは、スケールの大きさを感じさせるものだった(写真/v©B.LEAGUE)

 


富山大は森川が入学してからの4年間で3回インカレに出場しているが、森川が実際にプレーしたのは昨年の大会が初めてだった。1年生のときは登録されていたが出場機会ナシ。2年生の年には出場を逃し、3年生として臨んだ大会はパンデミックの影響で出場辞退の不戦敗。卒業を前にした最後の機会で、ついにビッグトーナメントのコートに立つことができた。


それはいわゆる“ステイトメント・ゲーム”と呼べる内容だった。フィールドゴールは32本中14本成功。そのうち3Pショットは、18本中7本を成功させた。6リバウンド、3アシスト、2スティール、そして38分3秒に渡るプレーでターンオーバーはゼロ。試合自体は73-126で敗れたものの、「富山に森川あり」という存在感を十分に示すパフォーマンスだった。


夢はBリーグ入りして活躍すること。昨年もB.DREAM PROJECTにエントリーし、選抜チームの一員として一日を締めくくるスクリメージにも参加していたが、まだその夢はかなっていない。憧れの舞台を目指す心境を聞こうと時間をもらうと、この一年は「ずっとBリーグに入りたいという思いでやってきました」とストレートな思いを言葉にした。


自分のことを自分で説明するとすればどんなプレーヤーかという質問には、「自分でドライブして点を獲ってこられる、あと3Pショットも決められるプレーヤーです。いつでも点を獲りにいけることが武器ですね」と答えたが、「今日は全然ダメだったんですが…(笑)」とこの日の出来に少し悔しそうな感触を持っていることを明かした。

 


しかし観客席で見る限り、森川のプレーぶりは見ごたえ満点だった。

 

 ヨコ方向の俊敏な動きからいきなりタテにアタック。あるいはピック&ロールでピッカーをうまく使って優位な状況を生み出す。非常に素早くトリッキーなドリブルと視線や頭部の動きでだますフェイクが、何度もマッチアップ相手をオフバランスにした。

 

 クロスオバードリブルで揺さぶってペイントにガンガン攻め込み、フィニッシュだけではなくオープンの味方に切れの良いキックアウトでおぜん立てするシーンも多かった。子どもたちがとりこになりそうな、魅力あふれるプレーメイカーという印象だ。国内最高峰の舞台で、国内外のハイレベルなタレントとともにプレーする状況を想像すると、相当な戦力になれるポテンシャルが感じられる。

 

森川のスピードに乗ったドライブ。ここからフィニッシュもキックアウトもある(写真/©B.LEAGUE)


今の目標はやはり「Bリーグでプレーして活躍したいです!」という一言。そのために克服したい課題としてはゲームコントロール力を挙げ、逆にこの1年間で伸びた側面は「シュート力ですね。インカレでは確率が良かったですし」と答えた。インカレ後は富山での自主練習に精を出す日々。すべてがうまくいけばBリーグ入りを果たしている3年後・5年後には、「自分の武器を最大限に生かしたプレーヤーになりたいです」と抱負を語る。


朗らかな笑顔で答える森川の言葉は短く、一言一言にBリーグ入りの夢が集約されていた。言葉よりもプレーで語るシャイな若者、森川 凌。“小さな巨人”と呼ぶにはまだ少し早いかもしれないが、夢をかなえたあかつきにはそんな形容が似合いそうなタレントだ。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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