月刊バスケットボール5月号

【近畿インターハイ2015記者の目】目のつけどころ

※インターハイ期間、現地で記者の感じたこと・見たことを編集部ブログでお伝えしていきます。

  同じ試合を見ていても、その見方はいろいろだ。この編集部コラムのタイトルが「記者の目」であるように、記者だけでなく、カメラマンの目、指導者の目、選手の目、保護者の目、コアなファンの目、素人目・・・。各々が持っている、知識や思い、バックグラウンドによって、さまざまな目線があり、それぞれの“気付き”がある。   以前、コートサイドで他チームの試合を眺めていた明成の佐藤久夫コーチに、「どんなところを見ているんですか?」と、質問したことがある。佐藤コーチはいろいろなことを教えてくれたが、中でも印象的で、意識すれば誰でも実践できそうだと思ったのは、 ・「コーチが何を考えているかを見る」 ・「良いプレイが起きたときの、その1つ前のプレイを見る」 という2点だ。   説明すると、前者は、指揮を執るコーチを観察し、今どんなことを考えているかを推測することで、試合を読み解くヒントが得られるのだということ。後者は、誰かの活躍の裏には大抵、良いアシストや、スペースをあける動きや、ディフェンスを引き付ける味方の存在があるので、良いプレイを陰で演出したのが誰なのか見極めることが、重要なのだということだ。   インターハイを実際に観戦される方は、その2点を意識しながら、試合を観てみてはいかがだろうか。少しだけ、名将の気分(?)が味わえるかもしれない。   また個人的には、試合だけでなく、ぜひベンチメンバーや応援団にも注目してもらいたい。そこでは高校スポーツならではの、熱い応援合戦が繰り広げられているからだ。応援席に掲げられた各校の横断幕も、思いが込められた個性的なものばかりなので、チェックしてほしい。   例えば、ユニフォームを模したものや、漢字1文字のものなど、たくさんの横断幕を掲げているのが昭和学院。その中に今年から、「全国制覇」と手書きの文字が印刷された横断幕が加わった。   準々決勝の後、この横断幕について鈴木親光コーチに尋ねたところ、OG会の方たちが作ってくれたものだそうで、手書きの「全国制覇」の4文字は、鈴木コーチ、⑦山本由真、⑤中村美羽、⑧赤穂ひまわりの4人が思いを込めて1文字ずつ色紙に書き、それを印刷したものだという。ちなみに、色紙に文字を書いた後で、横断幕にすることを告げられたとか。   横断幕一つとっても、そうした裏エピソードがあるように、大会には様々なドラマが転がっている。準々決勝を終え、いよいよ大会も大詰めの残り2日間。しっかりと目を見開いて、見届けよう。全力を尽くす高校生たちの真剣勝負を、一瞬たりとも見逃さないために。   (月刊バスケットボール編集部)  

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