月刊バスケットボール6月号

【インターハイ2018/男子決勝 PICK UP GAME】開志国際×中部大第一

昨年全国不出場の開志国際が頂点に!  

   立ち見客が二重になるほどの大盛況となった開志国際×中部大第一の決勝戦。    ともに初めての決勝進出だが、特に中部大第一は地元・愛知県代表のチーム。ホームでの初優勝なるか、勝負の行方に大きな注目が集まった。
  昨年全国不出場の開志国際が頂点に!  

   立ち見客が二重になるほどの大盛況となった開志国際×中部大第一の決勝戦。    ともに初めての決勝進出だが、特に中部大第一は地元・愛知県代表のチーム。ホームでの初優勝なるか、勝負の行方に大きな注目が集まった。    東海1位の中部大第一と、北信越1位の開志国際は、それぞれ力のある留学生を擁し、外回りの選手たちにも得点力があるチーム。また、両者ともに“ディフェンスからのブレイク”が持ち味。そうした似たタイプだからこそ、どちらが自分たちの強みを出せるかが、勝敗のポイントになるだろうと見られた。    その点、序盤から強みを生かして主導権を握ったのは開志国際。地元チーム相手にアウェイの状況ではあったが、試合開始早々#15ユセフのバスケットカウントで相手の#8ンディアイエからファウルを誘い、#5小栗が3Pシュート、#4小池がジャンプシュートを射抜いて勢いに乗る。さらには#6和田もリバウンドで粘りを見せ、残り5分にはその和田が相手のミスから速攻を決めて10‐4と、さい先の良い立ち上がりとなった。  

   対して、我慢の入りとなった中部大第一。ユセフを1Qで2ファウルさせることに成功し、#15クリバリのドライブやブロックショット、さらには#7小澤、#5青木のシュートで1Qを終えて1点差と、点数的には食らい付く。    が、なかなかお家芸のブレイクが出せない中部大第一。リズムに乗れず後手に回ってしまい、2Qは開志国際の速攻や強気のドライブに手を焼いたこともあり、前半を28‐35と7点ビハインドで折り返すことになった。    だが中部大第一・常田コーチは、それも想定内だったようだ。シードの開志国際に比べて1試合多く戦っている中部大第一は、「矢澤(#6)とバット(クリバリ)は疲労も溜まっていました」と言い、「後半勝負だ」と選手たちに言い続けていた。調子の上がらない矢澤らを休ませながら、苦しい中でも射程圏内の7点差で前半を終えたことで、後半の巻き返しに懸けていたのだ。    実際、3Qでは中部大第一がディフェンスを引き締め、リズムを作る。攻めては青木の速攻や3Pシュートで追い上げ、結局46‐46と、試合を降り出しに戻して4Qへ。勝負はここからと見られた。  

   ところが、中部大第一にとって想定外の出来事が4Q序盤に起きる。インサイドの要となるクリバリが、連続で2つファウルを犯し、残り8分44秒を残して退場してしまったのだ。    「4ファウルの時点で交代させようとしたとき、あいつが『やりたい』という意思表示をしたので、そのまま変えなかったんです。でも今思えば、普段と違うことをしてしまったなと。もう一回クールダウンさせるべきでしたが、僕が決勝戦の戦い方が慣れていないから、いつもならしないベンチワークをしてしまいました」と悔やむ常田コーチ。    代わって出てきたンディアイエも、すでに4ファウルと苦しい状況にあり、積極的なディフェンスができないまま試合が進む。    その間、開志国際は和田のブレイクやリング下シュートで勢いに乗ると、終盤、追い打ちをかけるように小池が3Pシュートとドライブを決め、ベンチも応援席も歓喜を爆発させる。    そのまま残り時間をしのぎ、66‐55でタイムアップ。開志国際が創部5年目にして、初優勝の快挙を成し遂げた。    試合後、コート中央で行われた胴上げで高く舞い上がった富樫コーチ。    「まさか開校5年で、こんなに早く日本一になれるとは思っていませんでした。それはやっぱり学校関係者の地域の方の協力があったからですし、1期生や2期生の生徒と保護者がいたからこそ。それに、負けても負けても、僕たちスタッフを信じて付いてきてくれた今の子どもたちと保護者の方々には本当に感謝したいと思います」と喜びのコメント。    昨年は夏・冬ともに帝京長岡に僅差で敗れて全国不出場だったが、「ずっと予選で負けていて、『自分たちの代は全部勝とう』と言っていました。悔しさを晴らせたと思います」(小池)と、見事雪辱を果たした。  

  (月刊バスケットボール)

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