月刊バスケットボール5月号

男子日本バスケットボール界の夜明け! オーストラリアを破る大金星!!

「今日の試合は、男子日本バスケットボールの可能性を示したものだと思う」というラマスヘッドコーチの言葉こそ、このオーストラリア戦の試合内容を象徴したものと言っていいだろう。
 


振り返れば、オーストラリアには昨年11月27日に行われたWINDOW1で52‐82と圧倒的な差を見せられて敗退していた。しかも今回は、当時はシーズン中で不在だった2人のNBA選手がそこに合流。日本にも八村、ファジーカスが加わったとはいえ、地力の差は埋められないどころか広がるのでは、という懸念があったのは確かだ。
 
しかし、いざ試合が始まると、1Qは八村が絶好調。ステップバック系の難しいシュートを2本連続で沈めて日本に流れをもたらすと、ドライブからのターンシュート、3Pシュートも決めて見せ、このピリオドを23‐16とリードする原動力となる。
 


 
そして2Q、ここで日本に勢いを付けたのが「1Qはダメだったけれど、これでシュートの感覚が良くなった」と2本連続で3Pシュートを成功させたファジーカス。そのファジーカスは、その後もペイント付近から確実にシュートを決めたことで、日本は前半を終えて42‐33とオーストラリアをさらに引き離して折り返すことに成功する。
 
しかし3Qになると、オーストラリアが本領を発揮。前半はシュートがリングに嫌われることが多かったが、デラベドーバが得意のドライブを2本決め流れを引き寄せると、ゴールディングが3Pシュートを鮮やかに2本連続で沈め、3Q残り4分45秒には50‐50の同点に。その後、マカロンがゴール下シュートを確実に決め、3Q残り3分58秒でオーストラリアが逆転に成功する。
 
これまでの日本であれば、そのまま引き離されていただろう。しかし、ここで躍動したのが比江島だ。見事なブロックを見せたかと思えば、ファジーカスへの華麗な合わせのパス、そして自らもミドルシュートを沈め、再逆転に成功。この3Qを64‐58と再びリードして終えられたのは、ここ一番での比江島の働きがあったからだ。

そうして迎えた運命の4Q。最初の2分30秒は互いに点が入らない緊迫感のある展開に。その後、ゲームが動き出し、73‐72と1点差に迫られたところで、日本に3つのビックプレーが生まれる。
 
その一つが、リングにアタックした比江島が繰り出した、逆サイドからリング下に走り込んできた馬場へのパス。リングを通り越してしまった馬場だが、これをレイバックで見事に沈めたのだ。
 
そして2つ目が、こぼれたリバウンドを拾った篠山の速攻。このとき篠山は「追いつかれると思った」と言うが、「観客の声援に後押しされて思い切っていきました」と鮮やかにレイアップを決める。
 

 


そして最後が、フリーでボールを受けた八村のダンク。残り11.3秒で79‐74と5点差としたことで勝負はほぼ見えた。その後、ゴールディングにフリースロー1本とこの日5本目となる3Pシュートを決められ79‐78とされるが、ここで試合終了。


最後は1点差にされたが、試合を通して日本が流れをつかめた最大の要因が、ラマスヘッドコーチ、そして選手が口をそろえた「リバウンドが取れた」こと。前回のオーストラリア戦で21本だったリバウンドが、今回は44本と倍以上だったのだ。それも、ファジーカス、そして八村の加入があってのことだが、2人が入ったことで「スペースができ、他の選手たちも生きてくる」とラマスヘッドコーチが言うように、他の選手がペイント付近のリバウンドを拾えたのも大きかった。
 
こうしてオーストラリアから金星を挙げた日本だが、2次リーグ進出のためには7月2日(月)にアウェイで行われるチャニイーズ・タイペイ戦に勝利しなければならない。そのチャニイーズ・タイペイも、現時点で日本と同じ1勝4敗。勝った方が2次リーグ進出、負ければ終わりという状況なだけに、激戦になることは必至だ。



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