月刊バスケットボール6月号

【短期連載】倉石平の“スペイン”研修ダイアリー②

倉石平氏(早稲田大スポーツ科学学術院教授/元男子日本代表ヘッドコーチ)が3月にスペインへ渡り、レアルマドリードをはじめとするクラブチームや施設、そしてアンダーカテゴリーの様子などを見て周ったレポートを連載する。全5回。

フエンラブラダのカンテラ練習場と今回遠征した中学生   倉石平氏(早稲田大スポーツ科学学術院教授/元男子日本代表ヘッドコーチ)が3月にスペインへ渡り、レアルマドリードをはじめとするクラブチームや施設、そしてアンダーカテゴリーの様子などを見て周ったレポートを連載する。全5回。   (つづき) ★2日目 日の出が7時過ぎのため、若干時間を勘違いする。8時半から朝食を摂る。昨日とは大きく異なり、ずいぶん空席が目立つ。スペイン特有の生ハムやチーズがたくさん並び、そしてスパニッシュオムレツ、なかなかの感じだがこれが毎日となると考えさせられる。   午前の練習は11時から昨日と同じフエンラブラダのカンテラ(下部組織)の練習場で行った。指導者は、今夜のゲームの対戦相手のヘッドコーチで、U-14など本格的なバスケットボールを初めに指導するコーチだけあり、なかなかの指導力だった。しかし日本人はその熱をあまり感じていない。こちらがいらいらするほどだ。   常にゲーム感覚で指導するコーチ、それができない日本人…。オフェンスが終われば、すぐにディフェンスなのだが、次の組はその状態に関わりなく、いかなる状況でもすぐに攻撃を始めなければならない。それなのに日本人はディフェンスが来るまで待つという、「何かゆったり」、悪く言えば「相手に合わせる」「相手を待ってあげる」…これではトランジションの速さについていけない。   そして、ディフェンスはこんな状況のため、スピードのある攻撃に対して全く対応ができず、そのままストレートで抜かれる状態だ。この状況時にしっかりとディフェンスできる感覚を備えなければならない。   13時半過ぎから昼食、バール(飲食店)でスペイン料理に舌鼓。コーチングスタッフと会食したが、スペインは昼にビールを飲む風習がある。アンダーカテゴリーの指導方法について熱く語ったコーチングスタッフ、スペイン流の考え方、そしてフエンラブラダ流の考え方を披露してくれた。とても興味が湧いた。
夕方18時半出発でゲームへ向かう。スペインとは学年の感覚が違うためアジャストすることが難しい。1年が9月に始まるというスケジュールの国が多い中、4月頃に始まるのはアジア、しかも東アジア諸国ばかりだ。それよりも半年遅い入学となる。したがってFIBAのルールどおり、1月1日現在の年齢で決めることが一番柔軟なかもしれない。   そしてゲームが始まった。相手のサイズが小さいこともあり、大勝。しかし、問題はたくさんあったように思う。個人のスキルをアップすることに重点を置き、一貫した指導を鑑みると、もっと1対1で相手を突破することに力を注がなければならない。アウトサイドシュートが多い日本対、小柄でも積極的に仕掛けるスペイン。これには考えさせられた。   19時半から夕食。金曜日の夜ということもあり、町は活気付いている感じだった。われわれは再びスペイン料理を食べたが、日本人にとても合うと感じた。だが、若干塩味が強いと今日初めて感じた。 (つづく)   ※バックナンバー 【短期連載】倉石平の“スペイン”研修ダイアリー①   (月刊バスケットボール)

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