月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2018.02.18

強固なディフェンスで虎視眈々と王者を狙う琉球

昨シーズンのBリーグは、リーグ最少失点の栃木が王者に輝いた。 1対1で守り切ることはもちろん、意思の疎通がしっかり取れていて、強力なリバウンダーもいたことで、強固なディフェンスを展開。それは短期決戦のチャンピオンシップ、ファイナルでもそれは大いに発揮された。  

  では今季の最小失点のクラブは? と数字を見てみると、それはオフに大型補強をした琉球だ。2月16日のSR渋谷戦を前に36試合を消化した時点で、平均66.48失点。 佐々ヘッドコーチは、学生コーチとして東海大、トップリーグでも日立(現SR渋谷)、栃木とディフェンスを重きに置くクラブのアシスタントコーチを歴任してきた。そうしたことも大きな要因に挙げられるが、指揮官も「ディフェンスは開幕とは違います。連動できています」と、一定の感触を得ているようだ。 キャプテンの#14岸本も「チームのコンセプト、遂行しなければいけないことがあり、それをやっていくことは当然です。その中で一人一人が目の前を相手を“つぶす”というくらいの気持ちで臨まなければいけません」と高い意識を持ってディフェンスに取り組んでいる。   今節のSR渋谷との2連戦、初戦は57得点とすばらしいディフェンスを見せたが、2戦目は77得点と少々課題の残る結果に。ただ東地区のクラブから2連勝したのは大きな収穫だ。 昨シーズンの最少失点クラブ、栃木に在籍していた#51古川は「栃木と琉球、どちらがディフェンスが良いということはないですが」と前置きをした上で、「琉球ではみんなの意思の疎通が取れています。何をどうやって相手のポイントとなる部分を抑えれば良いかを確認して試合に臨めています」と話す。   そういう中で象徴的なシーンがSR渋谷との初戦の第3Q、2年目の#24田代がルーズボールに飛び込んだシーンだ。 田代は今シーズン途中からスタメンに定着したが、大学時代まではどちらかというとスコアラータイプの選手。泥臭いプレーはそこまで多くなかった。 果敢に飛び込んだこのルーズボールは惜しくも自分たちのものにできなかったが、佐々ヘッドコーチをはじめベンチは田代の気持ちのこもったプレーを賞賛。「ヘッドコーチが掲げるコンセプトを全員が共通理解として持っています。あれはチームがまとまっているという象徴だったと思います」と岸本。   こうした佐々ヘッドコーチの“熱さ”の浸透に加え、さらに恐ろしいのは「チームディフェンスに頼るのではなく、一人一人の意識が必要」(岸本)と、あくまで1対1で相手を防いでいくことに重点を置いていること。シーズン半ばに差し掛かっているが、琉球は大きな選手の入れ替わりがあっただけに、選手間の連係度は完璧ではない。 だからこそ、各選手の意識の高さが必要であり、今後戦っていく中で“チームディフェンス”が備わったときには、さらに末恐ろしいチームになる。コート内外で密にコミュニケーションを取り、その課題を埋めるための努力は怠っていない。   東地区のハイレベルの戦いに注目が集まる中。着実に勝ち星を積み上げ、気付けばリーグ最速で30勝を挙げた琉球。 成長の伸びしろをたっぷり残す琉球は虎視眈々と頂点を狙っている。

(月刊バスケットボール)

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