月刊バスケットボール5月号

今週の逸足(CLASSIC KICKS)Vol.12-1

  UNDER ARMOUR ANATOMIX SPAWN アンダーアーマー アナトミクススポウン   文=岸田 林   カリーとアンダーアーマーの関係を 結び付けた印象的なモデル   今季もウォリアーズは順調に勝ち星を積み重ね、ステフィン・カリーも変わらず爆発的な活躍を続けている。にもかかわらず、このところカリーがトップエンドーサーを務めるアンダーアーマーには逆風が吹いている。10月に発表された決算では売上高が前年比4.5%減、株価は1年前の半額以下に低迷しているのである。この春には同社CEOのケビン・プランクがドナルド・トランプ米大統領をめぐる発言でバッシングされ、夏にはリストラが明らかになるなど苦境を報じるニュースが少なくない。米金融機関ウェルスファーゴが実施したアンケートでは、アンダーアーマーを「好きなシューズブランド」だと答えた北米の若い男性は27%。ナイキ(81%)とアディダス(70%)に大幅に水を空けられているだけでなく、カリーのブランド(シグニチャーシューズ)に限れば19%と、その数字はさらに低くなった。   しかも数字だけではない。8月にはナイキの契約選手で、カリーのチームメイトでもあるケビン・デュラント(ウォリアーズ)がラジオ番組で「若い選手は誰もアンダーアーマーを履いてプレーしたいとは思わない。申し訳ないが」とコメント。これは「なぜメリーランド大(アンダーアーマーの契約校で、CEOの出身校でもある)やジョージタウン大は有望な高校生選手をリクルートできないのか」というリスナーからの質問に答える中で飛び出した一言だが、この発言はメディアやSNSで“炎上”し、アンダーアーマーの株価はさらに下落。カリーの「彼には自分の意見を言う権利がある。ロッカールームには何の影響もないよ」という大人の対応により事態は沈静化したものの、この2人と2社を巡る“#SneakerWars”は引き続き格好のゴシップネタとなっている。   2012-13シーズン、カリーは2月27日のニックス戦でキャリアハイ(当時)となる11本の3Pシュート成功を含む54得点をマークしブレイク。ちなみに当時ナイキと契約していた彼の足元は、お気に入りの「ナイキ ハイパーフューズ」だった。このシーズン終了後、ナイキはカリー側と契約延長交渉を持ったのだが、この場に同席したステフィンの父デル・カリー(元ホーネッツほか)がESPNの取材に明かしたところによれば、ナイキはこの場で失態を演じてしまう。   「私は彼らが何度か“ステフォン”と発音しているのを聞いた。間違いには驚かないが、訂正されなかったことに驚いた」。 (つづく)   写真=中川 和泉 (月刊バスケットボール) ※月刊バスケットボール2018年1月号掲載

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