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2017年08月26日

【沖縄全中2017記者の目】敗北から這い上がった先の栄冠


 
 沖縄の暑さに負けず劣らず、中学生たちの熱く清々しい戦いが相次いで繰り広げられた第47回全国中学校バスケットボール大会。8月 25日、大会はいよいよ最終日を迎え、男子は西福岡(福岡)が5年ぶり2回目、女子は豊野(埼玉)が2年連続2回目の優勝を果たし、熱戦の幕を閉じた。

 
 優勝した両チームの共通点と言えば、ともに昨年の主力が多く残っていたことだろう。西福岡では④原田、⑥松村、⑦松本、豊野では④山下、⑤各務、⑰倉持のそれぞれ3人が、昨年から不動のスタメン。昨年優勝した豊野はもちろん、西福岡も昨年ベスト4まで勝ち上がり、最終日まで戦い抜いた経験値が今大会にも大いに生かされた。こうして、決勝戦は男女ともに大きく20点差以上付けての快勝となり、その強さを見せ付けたのである。
 
 そしてもう一つ、両チームにはある共通点があった。“忘れがたい敗戦”を味わっていたことだ。
 
 西福岡のそれは、さかのぼること1年前、僅か1点差で敗れた福井全中の準決勝(vs.岩成台)だった。予選リーグでは横地聖真選手(現・福岡大附大濠)擁する岩成台に快勝していた西福岡だが、2日後の準決勝で敗北を喫してしまったのだ。
 
 自分たちの甘さを痛感したこの負けから、今年度の西福岡はもう一度ディフェンスを再確認。そしてオフェンスでは、エースガードの小川麻斗(現・福岡第一)の穴を埋める形で、小川と同じミニバス出身でもある⑫平松がその才能を開花させた。「2年間冬眠していましたが、今大会でブレイクしてくれました。ボールを安心して任せられる、天才ガードです」と鶴我コーチもたたえる平松が、今までなかなか日の目を見なかった憂さを晴らすかのような大活躍を見せたのである。
 
 また一方、豊野にとっての“忘れがたい敗戦”は、今年の関東大会の準決勝(vs.八王子一)だった。この大会、昭和学院など力のあるチームに手こずりながらも、なんとか全中への切符を手にした豊野。しかし東京1位の八王子一の高さを前にして、さすがにエースの倉持も17得点に抑えられ、僅か5点差で敗れる形になった。特に試合後、大粒の涙を流したのが司令塔の各務。この試合7得点に終わり、ミスも多かった各務には、田中コーチも期待しているからこそ「ガードがもっとしっかりしなければいけない」と、厳しい言葉を口にしていた。
 
 そんな悔し涙に暮れた8月10日から、僅か約2週間後。だが各務は、見違えるように頼もしくなって全国の舞台に戻ってきた。関東大会でのミスを取り返さんばかりに、ゲームをしっかりとコントロールし、シュートも確率良く決めていく。その姿には、負けから這い上がってきたたくましさが見て取れた。
 
 こうして敗戦をバネに、今大会で成長を見せた両優勝チーム。苦しみを乗り越えてきたからこそ、栄冠を手にしたときの喜びは格別だった。それでも、西福岡の鶴我コーチは試合後、こんなことを言っていた。「今シーズンは、練習試合などを含めて一度も負けずに優勝しました。5年前に優勝したときは一度だけ岐阜カップ(交歓大会)で敗れているので、チームにとって初めてのこと。でも、それで勘違いしないようにしなければいけないですね。自分たちの実力を、過信しないようにしないと」。
 
 無敗のシーズンを過ごし、優勝してなお、こう気を引き締める言葉の裏には、“中学校は通過点”だと、選手たちの将来を思う気持ちが垣間見えた。鶴我コーチの言葉どおり、まだまだ選手たちは成長過程の伸び盛り。3年生たちは今大会で一区切りを付け、次のステージへと進む。この先のさらにハイレベルな世界で活躍できるよう、そのたくましさに、磨きをかけていってほしい。
 

(月刊バスケットボール編集部)

 

 


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