月刊バスケットボール5月号

【記者の目】12/27ウインターカップ2015〜伝統校の強さ〜

男子のベスト4は、3連覇を目指す明成、初のベスト4に入った中部大第一、そして久々に勝ち進んだ能代工と土浦日本大となった。 そのうち能代工は帝京長岡に、土浦日本大は桜丘に勝利し、それぞれ8年ぶりと14年ぶりのベスト4。   いずれも大会優勝経験があり、言わずと知れた伝統校。だが、留学生の台頭以降、なかなか全国大会で思うような結果を残せず、今年のインターハイも準々決勝に進みながら、留学生チームに敗戦していた。 3年生中心のチーム、伝統校、越えられなかった留学生チームの壁。その他多くの共通点がある両チームだが、留学生を打ち破った今日の勝因も「リバウンド・ルーズボール」という共通点があったように感じる。 土浦日本大はリバウンド数こそ桜丘に劣っていたが、要所の時間帯や数字に現れないルーズボールを制し、能代工は帝京長岡#7ディアベイトをうまく抑えた。ルーズボールはもちろん、リバウンドの数でも勝り、帝京長岡に主導権を握らせなかった。   帝京長岡#4頓所は「応援もそうですし、目には見えない一体感がありチーム力が向こうの方が上でした」と話す。能代工のスタンドには、高校時代は思いを果たせなかった大学生から、能代工のバスケットを築き上げた加藤廣志氏まで多くのOBが現役選手の戦いを見守った。 土浦日本大も大会前にOBが集まり現役選手と対戦。その試合で手応えを感じ、佐藤コーチは「桜丘戦はいけると思いました」と言う。   桜丘と帝京長岡に伝統がないわけではない。この2年間、好成績を残し、高校界を引っ張ってきた。ただ能代工と土浦日本大の多くのOBたちが積み上げてきた伝統の重さが、選手たちの勝利への執念、そしてリバウンドやルーズボールにつながったように感じる。 裏を返せば、桜丘と帝京長岡にとってこの負けが一つの歴史となり、これからのチームに受け継がれ、チームはまた強くなっていくのだ。 そして準決勝では能代工と土浦日本大が対戦する。土浦日本大・佐藤コーチが「因縁」と語る対戦、閉ざされていた扉をこじ開けた両チームのうち、どちらが新たな歴史の扉を開けるのか。 熱戦を大いに期待したい。

  (月刊バスケットボール編集部)  

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