【岩手全中記者の目】“100%負けゲーム”を覆したもの
決勝トーナメント1回戦は、東北2位の山形六中と対戦。一時10点以上のリードを開いていたが、後半追い上げられて逆転を許す。なかなか追い付けずに、試合終盤で2点ビハインドと、苦しい状況だった。だが残り6秒、ボールをうまく回して、「いつもどおり打てました」という⑥飯田が値千金の3Pシュートに成功。土壇場で再逆転し、46−45で2回戦へと進出する。 続く2回戦は、北海道1位の東月寒中と対戦。今度も終始競り合いとなったが、同点で迎えた4Q残り53秒、先ほど決勝点を決めた飯田がまたしても大事な3Pを決め、3点リードに成功した。しかし東月寒中も⑤大原の得点で譲らず、試合はオーバータイムに持ち込まれる。 延長戦では、残り1分半で5点ビハインドと、1回戦と同様にかなり苦しい劣勢だった。それでも諦めずに、④田中の得点、⑧江坂のバスケットカウントで同点に追い付く。そのまま再延長に持ち込まれるかと思われたが、残り5秒、キャプテンの田中が勝ち越しのジャンプシュートに成功。劇的な展開で、逆転勝利を収めたのだった。
敗れた東月寒中の宮川コーチは、試合後大泣きする選手たちを少し離れたところで眺めながら、悔しそうに言葉を紡いだ。「相手が嫌がるくらい、走って走って戦うスタイルは出せたと思います。ただ、勝利にあと1歩届かなかったということは、ボールへの執着心、勝利への執念が、ほんの少し足りなかったのかもしれません」 また、長良中の安藤コーチは、決勝トーナメント1回戦の後でこうコメントしている。「100%、負けゲームでした。でも、リバウンドとルーズボールをとにかく頑張って、何とかつないでつないで戦っていたので、神様が見捨てないでくれたのかなと思います」 苦しい状況でも、最後の最後で勝利の女神を微笑ませたもの。それは決死のボールへの執着心、そして執念で決めた勝負強いシュートだった。 (月刊バスケットボール編集部)