月刊バスケットボール5月号

中学(U15)

2015.08.24

【岩手全中記者の目】新たな一歩

男子の北信越の強豪と言って一番に名前が上がるのは、本丸だろう。
全中優勝2回を誇り、富樫勇樹(ディナモ・サッサリ)やその他数多くの選手を輩出してきた。

 

今大会、2年ぶりに出場を果たしベスト8に進出。
準々決勝で実践学園に敗れたが、本丸らしい速さとディフェンスに強さを全国大会で改めて示してくれた。

 

スタイルは変わらないものの、ベンチで指揮を執るコーチがこれまでとは違う。
過去10回の全中出場のうち、直近8回は、現在開志国際高の富樫英樹監督が出場に導いてきた。
今回指揮を執るのは、井上英樹コーチ。2005年の高山全中で山潟を準優勝に導き、ジュニアオールスターで富樫監督の下でアシスタントコーチを務めるなど、富樫監督とは気心の知れた中。
そんな富樫監督の後を任された1年目となった昨年、全中出場を逃してしまった。
悔しさをバネに、とはうまく行かず、7月25日に開催された新潟県予選は3位と北信越大会出場にギリギリ滑り込み。3位決定戦も6点差だった。
だが、本丸の選手たちはここから1試合ごとに成長を遂げていく。
「1か月前は、この日までバスケットができるとは思っていませんでした」と井上コーチ。
北信越大会2回戦で石川1位の津幡に競り勝つと、準決勝では県大会で敗れた石山にリベンジ。
県大会は56−71、そして北信越大会は61−43と単純計算ではあるが、+33点の力はどこで養ったのか。
7月25日の敗戦からわずか10日ほどだ。
中学生は短期間でこうも変わるのか。

 

「1か月前の敗戦から本当に頑張りました。合わせのプレイもこの1か月でできるようになりました」(井上コーチ)

 

⑦相馬や⑧川村など、核となってきた選手が無理にシュートを打つのではかく、彼らを起点にほかの選手が得点することが格段に多くなった。

そして最後まで粘り続けるディフェンスとリバウンド。

全国の舞台でチームカラーを存分に発揮した。

 

準々決勝後、悔しさから全選手が涙を流しながらも、自分たちが使ったあとのベンチを整頓したり、挨拶を徹底したりと、やはり本丸は中学生らしいチームだ。

 

「本丸にはバスケットが大好きな選手が多い。特に今の3年生は2年生のときに富樫先生から私に代わって戸惑いもあったと思います。それでも1年4か月、本当によく付いてきてくれました。あの子たちに会えて本当に良かったです」

2年ぶりに残した全国の軌跡。
名門がこのままで終わるはずがない。

貴重な経験を胸に、本丸は新たな一歩を踏み出した。

 

(月刊バスケットボール編集部)

 



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