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UTAH、HOUSTONへのロードトリップ出発の日。
10時から練習をして、その足で1 時15分発の飛行機に乗る予定だった。練習前に京子ちゃんが私を呼びに来た。「萩原さん、 コーチ・シェリルが呼んでますよ。」来やがった、と思った。
前回故障者リスト入りを告げら れた時も遠征出発の直前で、私はパックした荷物とともに、空しくみんなのバスを見送ったの だった。案の定だった。部屋にはコーチ・シェリル、コーチ・アンダーソン、コーチ・グラフ が勢揃いしていた。
「今回の遠征で私たちはセンタープレーヤーが必要になる。だから、ガー ドのプレーヤーを一人外さなければならないことになった。私たちは、トニーを復帰させて、 今回の遠征に連れて行こうと思う。残念だけど、あなたは故障者リストに入ることになり、今 回の遠征には同行しないことになる。OK?」
大体言っていることはわかるのだが、聞き漏ら しているといけないので京子ちゃんの通訳を待つ。
「あなたは左膝の故障で故障者リストに入 ることになるが、今度故障者リストを出られるのは、残念ながら本当に故障者が出た時になる だろう。今後故障者が出るかどうかはもちろん私たちにはわからない。これはあなた にとっ て残酷な宣告になることは十分わかっているが、もちろん私たちはあなたにこのままチームに 残って欲しいと思っている。」と言って、シェリルは他の二人のコーチに同意を求める。
二人 がうなずくのを見て、また、京子ちゃんが通訳してくれるのを待つ。
「故障者リストにいるの が嫌ならあなたを解雇(ウェイブ、と言う。)することになる。これは非常に残念なことだ が、100%あなたの選択によるものだ。OK?」今度は私は京子ちゃんの通訳を待たずにう なずいて見せた。
「OK.Good.」
それだけ言ってシェリルは足早に部屋を出ていってし まった。残った二人に「それでは、今度私が自力で故障者リストを出る、と言うことはないの ですね?」と質問した。
「それはわからない。故障者が出れば、(リストを)出ることができ る。」との答え。前回、故障者リスト(Injury Reserve.以下IRと略)に入 るよう言われた時は、「練習で自分のプレーをアピールしてくれればいつでもIRから出るこ とが出来る。」というふうに言われたので、つまり今回のIR入りは、私に対する評価といっ ても差しつかえないのだろう。
「少し考えさせて下さい。」と私は言った。「そうだね。」と コーチ・グラフィー。
「今回のロード・トリップは一緒に行けないけれど、次のLAへのロー ド・トリップは一緒に行くことになっているから。それまでゆっくり考えて自分にとってベス トの答えを出すのがいいよ。」
……私がわからないのは、1、彼らは私を「チームに必要だ。 必要無かったらとっくの昔にウェイブしている。」と言いながらではなぜ私がベンチに入って いる時、少しもチャンスを与えてくれないのか。
そして、「必要だ」と主張する人間をIRに 入れておくのか?
2、他のチームでは、IRはロード・トリップに連れて行かないのに、どう いう基準で連れていったり連れて行かなかったりするのか?...2、の問題はどうでもいい として、1の方は由々しき問題である。私は死刑宣告を受けた死刑囚のような気持ちになっ た。その時から、「日本に帰った方が良いのでは ないか。」という考えが心に点滅し始め た。
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