Hagiwara in WNBA

萩原すべての日記



1998/07/23 あんたたちにはがっかりしたわ。

ゲーム。LAスパークスの本拠地は、もちろんLAレイカーズのフォーラム。永久欠番になっ ているK・AジャバーやM・ジョンソンのユニフォームがコートを見下ろしている。往年の名 プレーヤーたちが立ってコートに、今立っているんだな、と上を見上げる事しばし。

それか ら、同じアジアの盟友、ハイシアの姿を探したが(探す、というか、探さなくても普通だっ たら目に飛び込んできちゃうんだけど)彼女の204cmの姿は見当たらない。世界選手権の 時も重度の肺炎を起こしていたらしくいまいち元気がなさそうだったので、もしや中国に帰っ てしまったのでは、と心配になった。が、ベンチに向かう彼女の通訳の姿を認め、いることは いるんだな、と取りあえず一安心。ゲーム直前になって、明るい黄緑色のT−シャツを着た彼 女の姿が「目に飛び込んで」きた。どうやら、故障者リストに入っているらしい。腰とか、背 中とか、膝とか、あんまり良くないらしい、という噂は聞くからな。

ところで、ゲーム。LA の、いや、WNBAの創り上げたスーパースター、リサ・レスリーが膝の故障でベンチに入っ ていない。油断したわけでもあるまいが、うちの内容がとにかく悪すぎた。後半10分過 ぎ くらいまで15点差ぐらいで勝っていたのであるが、向こうのチョッぱやガード(“超速い” 略です。私たちは日本でしばしばこういう表現を使います。)が次々とジャンプシュートを決 めだし始めてから雲行きが怪しくなってきた。結局フィールドゴールの確率が上がってきた相 手に対し、うちは5分間でわずか2得点。気がつくと同点にされていた。残り2分の攻防。タ ーンオーバー、シュートミスを繰り返すウチに対し、ホームゲームの観客を味方につけたLA は果敢に攻め込み得点を挙げる。結局、2点差ビハインドで残り10秒、私たちのボールでフ ロ ントコートのスローイン。ミシェル・Tのパスが相手にカットされ、万事休す。

試合後、 シェリルの怒りはなかなか収まらなかった。シェリルは、去年LAのA・コーチに、「髪型や 服装がコーチらしくなく、ちゃらちゃらしている。」といったようなことを言われてから、L Aには特別な思い入れがあるようなのだ。(フェニックスの観客は、このLAのA・コーチが 試合で入場してくると未だにブーイングをする。)

「あんたたちにはがっかりしたわ。」シェ リルは妙に冷静に言った。「ああいった競った場面で、みんな逃げちゃうんだもの。誰か一人 でも、『絶対私たちは勝つ!』というエネルギーで戦った人がいる?」それだけ言ってロッカ ーを出ていった。

みんな下を向いて、ロッカーの中はしんと静まり返っていた。特に、最後に ミスを出した我らが姉御、ミシェル・Tはかなりいらついていたようだった。人一倍責任感の 強い性格だけに、自分自身に対しフラストレートしているようだった。

今日の試合は、オフェ ンスでもデイフェンスでもシステムが全く機能せず、言葉にこそ出さないが、チームメイトの それぞれがそれぞれに対し不信感を持っているように見受けられた。

私はといえば、残念 な がらここ2試合出番が無い。でも、ベンチにいるからこそ、試合に出ないからこそ、見えるも のもたくさん有る。そういったものを胸にしまいこみながら、バスに乗り込んだ。いつもなら 自分のことを「Sexy Chocolate」と名づけて後ろのほうで大騒ぎしてダンスし まくるブリジットも、もちろん静かだった。

今日、彼女は今シーズン初めてスタートを外され たのだった。シェリルは、頭を冷やすためだろうか、バスを途中で降りて、夜道を歩き出し た。

 前に日記へ<  日記の目次  >次の日記へ 


All copyrights reserved by BASKETBALL-ZINE CONSORTIUM