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今日もフェニックスは暑い。ここの夏の平均気温は40度前後ということだ。私の知り合いは道路で目玉焼きが作れるか実験 したそうだ。白身の部分は確実に固まった、と言う。
さて、トレード物語の続き。 急遽、トレードを命じられしかも遠征先でいきなり新チームに合流することになった私は、こ こに来て開き直った。こうなったらとことん面白そうなことを経験してやれ!わっはっは。しかも明日は丸一日予定が無いと 来てる。
よっしゃー、明日は買い物三昧じゃー!サクラメントからずっと同行していた同い年の通訳の子も、私がフェニックスに取り 合えず落ち着くまでいろいろ手伝ってくれることになった。 ホテルに帰ってチームメイト一人一人にトレードの旨を話し、別れの挨拶をした。ルーシー一人だけが「おめでとう」と言っ てくれた。「あなたの能力が生かせるチームに行けるのだから。よかったわね。」と。他のチームメイトは、「OH−MIK EEKOHHーー」と一瞬悲しそうな顔をしてくれたのだが、じゃあこのトレードで我がチームには誰が来るんだ、というと ころに話題はすぐ移っていった。
あーでもないこーでもない、としゃべり続けるチームメイトたちの元をそっと辞してエレベーターに乗った。 メアリーの件の時にもう既にわかっていた。このドライな気質が。 その後ハイジのところに行って、PR担当のアンドレ ア、トレーナーのリサ、マネージャーのステファニーにそれぞれ別れのあいさつをした。意外にも一番悲しそうな顔をしてい たのはトレーナーのリサだった。「新しいチームのトレーナーにアレルギーのことをちゃんと言うのよ。かかとのテープのこ ともね。」一人一人とハグしてハイジの番になった時、「ほうらね。日焼け止めが必要だっていったでしょ。」と微笑んで静 かに言った。「新しいチームに行っても頑張って。いつでもリングを見るんだよ。(Square up−私は練習中いつも ハイジにこの事を言われていた。)
但し、モナークスとやる時は3Pを入れちゃだめだよ。」(後日、この機会は案外早く訪れて、この会話の3日後にフェニッ クスでサクラメントと試合があった。これは私のフェニックスでのデビュー戦だったのだが、前半、試合に出されてすぐ、私 はサクラメントのベンチの真ん前で3Pを沈めた。ちょっと気になってサクラメントのベンチをちらっと見たら、ハイジが立 ち上がって私に向かって拍手をしてくれていた。ハイジはそういう人です。)
新しいジェネラルマネージャーのジムも(新しい、と言っても彼はもともとキングスのGMなのだが)「トレードっていうの はこの世界では本当に良くあることなんだよ。NBAでも一番良い選手をトレードに出す、なんてことはしょっちゅうだか ら。」などと言って私をそれとなく持ち上げてくれた。ほとんど初対面の彼が私に気を遣うほど、それほど私はひどい顔をし ていたのだろうか。 私の初めての海外生活をサポートしてくれた人々との別れを済ませて床に就いた。感慨も深かったが、 やはりそれよりも新しい生活に対しての不安が心の中を大きく占めていた。
次の日はNYを練り歩いた。午前中はWNBAのオフィスで諸々の手続きを行い、午後からSAKS FIFTH AVENU Eを見て歩いたり5番街をずーっと歩いていったり、SOHOにも行きたかったんだけど時間が無かった・・・。まるで不安 を押し隠すようだった。でも確かに買い物している時は何もかも忘れてるんだけどね。
ついでに自分の筋肉もりもりの体のことも忘れてて、試着してみて「あれー?おかしいなあ?もっとカッコ良く着れる予定な んだけど・・・」とか。一種のトランス状態、かも。
さて、その次の日、いよいよ新しいチームとご対面の日。朝食にスモークサーモンとクリームチーズをはさんだベーグルを食 べ、(結局NYにいる間の朝ご飯は全部BAGEL with LOX/CREEMCHEESEだった。だってNYでホンマ もんのNYベーグルを食べたかったんだもーん)フェニックスがチェックインする予定のホテルに移動してチェックインを済 ませ、着いたら知らせてくれるように手配して、部屋で昼寝していた。ほんとに不安なんかい、と突っ込まれそうだが、一日 中街の中を練り歩いた疲れがとれなかったのだ。
3時近くになってやっと電話が入った。「今からシュートアラウンドに行くからバスに乗るように。」えっ?いきなりもう練 習に参加しちゃうの?何かチームのヘッドコーチか誰かとまず劇的な対面をしてからチームに紹介されるのかなあ、と勝手に 想像していたので心の準備ができていなかった。 焦ってバッシュを引っつかみ、下に降りて玄関に待っていたバスに乗り込 むと、拍手の嵐が私を包み込んだ。「HEEEY!Welcome to our team!!」一番前の座席にゆったりと座 って右手を出してくれたのは、そう、あのシェリル・ミラー!!!(知る人ぞ知るシェリル。彼女のキャリアについてはまた 次回にでも書きます。今は、NBA、インデイアナ・ペイサーズのシューター、レジー・ミラーの実姉とだけ言っておきまし ょう。)それから、オーストラリアのポイントガード、ミシェル・テイムズが右手を差し出してきた。
座席に座っている一人一人と握手して軽く挨拶をし、空いている座席に座った間の数分、どれだけ私の心臓は血液を送り続け たことだろう!ばくばく、なんてもんじゃない、どっしんばっしんとか、ぐわっちゃんぐわっちゃんとかそういう感じ。(ど んなんだよ。)通路を挟んで隣りに座っていた、とってもかわいい顔をした黒人の子が話し掛けてきた。「練習ではね、私た ちは始まる前に手を叩くんだけど、ブリジットがワン、ツー、スリーってカウントしたらぴたって止めるんだよ。・・・・ ・」しかし、だいたいブリジットが誰だかわからない。コーチか或いはキャプテンかなんかか、と見当をつけて、よっしゃと にかく1、2、3で止めりゃいいんだな。と、彼女にうなずいて見せたりしているうちにマジソン・スクエア・ガーデンにバ スが着いた。
しかし、折角彼女にアドバイスされたにもかかわらず、それをすっかり忘れてしまって、「ワーン、トウー、スリー!」(み んな)ピタッ。(私)パンパン!・・・しかも2回くらいオーバーしてしまった。「おーい、もう一回もう一回」とみんなが 笑う中、さっきの黒人の子が「言ったでしょ、言ったでしょ。」と笑う。このチームの、受け入れてくれようとする気遣いを 痛いほど感じて、何かくすぐったいようなでも大声で「さんきゅーーー!」と叫びだしたいような、不思議な気持ちに駆られ た。
練習中も私のためにオフェンスモーションを、何回も何回もやってくれた。シェリルは私のとなりに付きっきりでプレーの説 明をしてくれた。ミシェルも自分の番でない時は私の側に来て、実戦の指令塔としてのアドバイスをまめにしてくれた。先ほ どまであった不安は消え去っていた。まだ良くチームのことを知らないけれど、何かここはすごく良いチームのようだぞ、と 言う思いが頭を過ぎった。
私の直感に狂いはなかった。このチームは本当に良いチームだと11日経った今もひしひしと感じる。このチームでプレーで きて本当に嬉しい。シーズンは残り少なくなってきているが、このチームの勝利に少しでも貢献できるように、本当に本当に 全身全霊で頑張りたい。
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