Hagiwara in WNBA

萩原すべての日記



1997/06/22 ついに感動の開幕・・・
昨日は開幕戦だった。場所はユタ、ソルトレイク・シテイー。NBAファイナル、ブルズvsジャズでちょー盛り上がったまさにその場所、デルタセンターである。

WNBAはかなり注目を集めているようで、ホテルでもエレベーターに乗っていると、「さて、ゲームの準備はできたかい?」とか「頑張ってね!」とか知らない人から必ず声をかけられた。私の顔を見るなり、いきなり「モナークスのジャパニーズだね!あんたの国のメデイアがこのホテル中あふれかえってるよ!」なんて言った人もいた。

試合まで少し時間があったため、ゆっくりホテルの部屋でくつろぎながらNBCで放映されるロスアンジェルス・スパークスvsニューヨーク・リバテイーの試合を見ていた。さすがはWNBA、宣伝活動が半端じゃない。特にこのカードはLAにアトランタ・オリンピックのアメリカの金メダルの立役者、リサ・レスリー、NYには大学時代負け知らずで同じく金メダリストのレべッカ・ロボというWNBAの“顔”ともいえる二人の対戦、というだけあって試合までのプログラムの内容が、めちゃめちゃ濃かった。リサ・レスリーの少女時代の生い立ちからオリンピックまでの軌跡(彼女はルックスも良く、オフシーズンにはモデル活動もするそうだ。それだけにWNBA側としてはPRにはもってこいの人物なのだろう。)のドキュメントはなかなか面白かった。 間に入るCMも全てWNBAがらみ。

私のチームメイトも何度となくブラウン管に現れた。特に多かったのはやっぱり我らがマイテイー・ルーシー。たまたま私はルーシーと同室だったため、一緒にテレビを見ていてルーシーが現れるたび奇声を発した。ルーシーは自分が画面に出てくると横になった肩越しに、何も言わずにちらっと私を見る、というお茶目な動作を毎回繰り返した。

試合の方は、うーん、はっきり言って面白くなかった。リサ・レスリーもレべッカ・ロボも緊張のためかがちがちだった。ターン・オーバーの連続。「私たちWNBAにとってテレビで見るファンがつくかつかないか、とっても大事な試合なのに、あんな内容じゃ、やっぱり女子は面白くない、なんて言われてしまうかもね。」とは、うちのPR担当のアンドレアの弁。試合はNYが結局勝った。NYのセンターは数年前、日本のシャンソンでプレーしていたキム・ハンプトン。当時はタミー・ジャクソンというプレーヤーの控えだったためどんなプレーヤーなのかよく知らなかったが、とってもパワフルでアグレッシブなプレーをしていたので驚いた。そしてロスには日本でも有名なアジアの大砲、中国の2m4cmジュン・ハイシア(通称、デカベビーちゃん。と言っても私らが勝手にそう呼んでるだけだが)。彼女はリサ・レスリーの控えで登場したが、とっても嬉しそうに、にこにこしながらプレーしていたのが印象的だった。

さて、私たちの試合だが、開幕戦は敵地にて、という状況だったわけだがこれがなかなか面白かった。 ホームアンドアウェー方式というのは日本ではほとんどないので、どれくらい差別されるもんだか楽しみにしていたのだが、やっぱりすごい!私たちの紹介を軽く流した後(本当にそういう感じ。ブーイングこそ無かったが。)会場はいきなり真っ暗になり、花火は飛び出すわ、スポットライトは登場するわ、観客(9000人だったそうな)総立ちになるわ・・・。

私は、と言えば、もう完全に一人の観客だった。「ヒュー!と叫びながらスポットライトを浴びて興奮して飛び出してくるユタの選手を締まらない口元で眺めていた。会場が暗くてつくづくよかったと思う。かなりトランス状態。イッちゃってたと思うから。

さて、試合はかなりわれわれにとっては不利な状況にあったわけだが、私としては何となく予感があった。ホテルでテレビを見ていた時もそうだった。ロスは地元で試合をしていたが、観客の声援とは裏腹に選手の動きがとても鈍かったこと。多分これだけの声援の前に、ユタの選手は舞い上がってるんじゃないかなー。うちの方が地に足がついているかもしれないなー。 案の定、だった。私の勘もまんざらじゃない。フッ。うちの出足も最高とは言い難かったが、ユタの選手は目に見えて力が入っていた。私はルーシーの控えなのでベンチにいたのだが、試合を追いながら、とにかく空いたらシュートに行こう!それだけを考えていた。

試合に出れてとっっっっても幸せだった!H・コーチのメアリーが私の前で止まった時は「よしきた!合点でいっ!」という感じだった。シュート、打っちゃうもんね。誰が何と言おうと打っちゃうからね。 少し遠目から打った3ポイント(と言っても国際ルールの距離と同じくらいのところだったが)がネットに吸い込まれ、観客が「OH!」と失望の声をあげた時は快感だった。そうか、アウェーの醍醐味はここだな、と思った。

試合は最後に少しもつれたが、私たちモナークスが10点差で勝った。記念すべき開幕戦勝利だ!

私は自分が出ている時間は、ベンチから与えられた役割を精いっぱいやった、と思っている。そりゃ日本でやってるようにはいかないし、もっと出たかったかな、という気持ちも無いことはないけれど、まず私はチームの一員であり、チームのために全力を尽くすのが最優先事項だと思うから。できることを少しずつ見付けていこう、と今は思う。少しずつ自分のプレー範囲を広げていこう。

次は地元サクラメントで、相手はNYだ。今からとっても楽しみ!!! そういえばユタとの試合にはカール・マローンとジョン・ストックトンが姿を見せていた。

NBAネタついでにもう一つ。とあるきっかけで、何と私は神様に会った!彼はやっぱり大きかった。彼の体やオーラには無駄なところが何一つ無かった。静かだが、研ぎ澄まされた空気を感じた。頼まれるといやと言えない、心やさしい彼はいやな顔一つせず、会議中だというのに私のために席を立ってくれ、こちらに歩いて来て握手をし、一言二言私に話し掛け、一緒にカメラに収まってくれた。

彼、マイケル・ジョーダンと会えるようにコーデイネートしてくれた知人は「あんなに赤くなった日本人の顔は初めて見た。」としばらく私を笑い者にした。いいもんね。何とでも言ってよ。こっちはそれどころじゃないのだ。

MJと会えたのも、本当にたまたまの偶然が重なったためだった。

ほんとにほんとに、ありがとう。

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