Hagiwara in WNBA

萩原すべての日記



1997/06/06 初めてのオフ・・・衝撃
急遽明日が休みになった!!こちらに来て練習が始まってから初めてのオフである。ちょーうれしい!ところで、最近とっても興味深いことがあった。

一昨日の4日、LAでウェスタン・カンファレンス4チームの選手全員が一堂に会し、ミーテイングが行われた。4チームとは、LA・スパークス、ユタ・スターズ、フェニックス・マーキュリーズ、そして我がサクラメント・モナークスである。何の説明も聞かされていず、朝は早いけど(5時50分出発だった!)練習が休みで嬉しいなあ、ぐらいにしか考えていなかった私であるが、会場のルネッサンス・ホテルに着いて、いきなり赤いテイーシャツを渡され着替えるように言われたときはさすがに、何が始まるんだろうか、と大いにいぶかった。どのチームの選手も、アトランダムにそれぞれ赤、白、緑、黒のシャツを手にしている。

軽い朝食をそれぞれ摂った後、1日のスケジュールが渡された。要するに、研修会みたいなものである。WNBAの趣旨、目的、協賛グループ、運営費や将来の目標、などが、まずプレジデントから説明された。もちろん女性である。この、WNBAの運営スタッフはほとんどが女性であることを付け加えておこう。このプレジデントは、私は写真でしか見たことが無かった。ブロンドの髪をセミロングにして、エレガントに笑っていたこの白人女性は写真で見たおとなしそうなイメージとは裏腹にとてもアグレッシブな女性で、正直そのギャップに少し驚いた。彼女の話を一生懸命通訳してくれる通訳さん(この日はWNBA側が通訳をつけてくれた。)の話もそこそこに、私はボーっと彼女の紺のスーツの着こなしに見とれていた。そうか、濃紺のパンツスーツにあんな、目のさめるようなスカイブルーのハイネックカットソーを持ってくる、なんて着こなしかたもあるなあー。かっこいいなあ。私がやったら色に負けちゃうかなあ、などと考えていると、突然みんなが立ち上がり、それぞれ移動を始めた。

隣に座っていた、チームメイトのイベットが、「一緒に行こう」と私に声をかけてきた。「オーケー」と言いながら、どーこにいくんだよーと思っていると、彼女は私を“RED”と書いてある部屋に連れていってくれた。見れば他のチームの赤いシャツを着た人たちが次々に集まってくる。なるほど、このための色分けか。じゃ、こうやって集まって、親睦でも深めようっていうのかな、と話を全然聞いていなかった私は安直に考え た。

私たちには、議題が与えられていたのだった。つまりそれについてのデイスカッションの場だったのだ。初めの議題は、「WNBAの目指す、長期的なゴールと、短期的なゴール」であった。司会者らしい人が「意見を聞かせてください」と言うと、いきなりとなりにいたイベットが自分の意見をしゃべりだした。みんなそれぞれ自分の意見を発表していく。さあ、これは困ったぞ、遅かれ早かれ私にも回ってくるだろう。なんか考えなくちゃ、と思って考えをまとめていると、案の定、もう一人のチームメイトであるブリジットが、「ミキコは?」と聞いてきた。ただひとりの「ガイジン」の発する言葉を、みんなが好奇心に満ちた顔で待っている。しどろもどろになりながらむちゃくちゃまとまりの無いことを言ってしまい、我ながらあきれてしまった。(通訳の方もきっと翻訳するのに大変だったに違いない。)

その後も何度か議題を与えられ、デイスカッションは続いた。その場には13人の選手がいたのだが、みんなしっかりした自分の意見を持っていて、私はといえば、みんなの意見にいちいち感嘆するだけだった。「そうかなるほど。ごもっともな考え方だ。」反論が出れば、「なるほど、そういう考え方もできるなあ。」私も何か意見を持とうと懸命に考えてみた。それはとっても難しいことだった。練習中もとっても陽気で、いつも大声を出して冗談を言っておどけているブリジットも「WNBAは女性による組織である。女性の特徴であるきめこまかさを大いに活用して、ゲームの面白さを追求するだけでなく、社会福祉に何か大きく貢献できるような団体となるべきだ。」という意見を持っていて「私は子どもが大好きだから、子供たちの環境をよくするような事業に協力したい。」と言っていた。

それは新鮮な衝撃だった。

プレーヤーたちはそれぞれいろいろな経歴を持っていて、「今、大学院で、弁護士になるための勉強をしている。」と言っていたある女の子は、その前に部屋に流れていた、WNBAのプロモーションビデオで、レ ッグスルーのドリブルからチェンジ・オブ・ペースというテクニックを使って、見事にデイフェンスを抜き去っていた子だった。イベットも、教科書販売の事業をしているそうだ。その合間に高校生のチームのコーチをしているとか。「高校生を教えながら自分もトレーニングをするんだ。」「でも、トレーニングってあんまり好きじゃないけどね。」

私がそのデイスカッション中に述べたことは次のことである。「私は日本のアマチュアで8年プレーしてきました。日本のプレーヤーはシーズン中もオフシーズン中も、毎日バスケットをしています。でも、私は皆さんのように、バスケットの他に何か人生の目標を持って、なおかつプロというレベルに臨む、という態度を本当にすばらしいと思います。私は日本に帰ってから、そのような皆さんの姿を、ぜひみんなに伝えたいと思っています。」

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