2009.11.09
プライドとホンネ
金、土は、グリズリーズ@レイカーズ、グリズリーズ@クリッパーズの連戦の取材でステープルズセンターへ。
金曜の試合前と試合後には故障から復帰し、ようやくグリズリーズのユニフォームでのデビューを果たしたばかりのアレン・アイバーソンを取材した。相変わらず本音満載で、不満もストレートに語っていたのだけれど、その一方で、アイバーソン自身、自分のプレータイムや先発かどうかという話ばかりでうんざり、話すならもっとチームについて話したいとも言っていた。アイバーソンのチーム内での立場や役割がもう少しはっきり見えてきたら、そういった話もできるのかなと思っていた。
ところが、土曜の試合に行ってみると、グリズリーズのロッカールームにもベンチにもアイバーソンの姿はなし。グリズリーズによると、個人的な理由でチームから許可を得て、一時、アトランタにある自宅に戻ったらしい。グリズリーズのオーナーによると、プレイタイムや先発問題での不満とは関係なく、本当に個人的な問題があってのことだというのだけれど、前日のロッカールームでメディアに囲まれて本音をぶちまけ、それがニュースとなった直後だけに、その説明に懐疑的な声もある。そして、グリズリーズでのキャリアはこれで終わりなのではないかと言う人すらいる。
(私的な推測では、おそらく、何か個人的な問題を抱えているというのは嘘ではないと思う。チームの状況や自分の立場がいろいろな面でもっと良好なら、多少無理してもチームに残っていたのかもしれないけれど、今はむしろ残る理由が見つけられなかったのかも)
金曜日、グリズリーズのロッカールームで、アイバーソンの言葉を聞きながら、つくづく、この人は本音で語るしかできない人なのだなぁと思っていた。もっと本音を隠したり、オブラートで包んで語ればものごとは潤滑に進むのだろうけれど、プライドがあるからこそ、それができない。誰だって心の中に持っているような不満を、全部ストレートに外に出してしまうのだ。
自分の能力を発揮できるような場、状況でやりたいという気持ちは、おそらく、他の選手でも、そしてまったく別の世界で生きている人でも、多かれ少なかれ持っている感情なのではないかと思う。アイバーソンと同じように、それができないぐらいならやめたいと思う人も多いのではないだろうか。多くの人は衝突しないように言葉を飲み込み、やめる勇気もなく我慢して続ける道を選ぶのだけれど、アイバーソンはそうではない。
そのやり方は大人ではないという人もいるかもしれない。バスケを続けたいなら、少しぐらい我慢するべきという人もいるかもしれない。でも、そうやって常に本音でぶつかるのがアイバーソンの生き様でもあり、多くの人をひきつける魅力でもあるのだ。
そして、注目される存在だけに、その本音は常に大ニュースとなり、アイバーソン自身の道を狭めてしまう。シーズン前にナンバーのコラムでも書いたように、あれほどの才能がありながら、結局、グリズリーズしか選択肢がなかったのだ。そして、そのグリズリーズでさえ、今、彼の居場所がなくなりつつある。
決してほめられたやり方ではないし、不器用だとも思うけれど、一方で、そんなアイバーソンのことを簡単に批判はできない、したくないと思う自分もいる。





