2007.04.21

ウ・ワ・サ

 Dリーグは現在、NBAより一足早くプレイオフの真っ最中。NBAとは違い、1試合勝ち抜きのトーナメントなので、どこが勝ち上がるかわからない。オマケに、レギュラーシーズンでいくら成績がよくても、プレイオフ直前になって中心選手がNBAチームからコールアップされたら戦力はがた落ち。そのあたりがマイナーリーグらしいというか…。

 残念ながら、今年も田臥勇太はプレイオフの戦いには参戦できなかった。去年は優勝チームに所属していたのに、シーズン終盤に故障でチームを離れることになり、今年は所属していたチームがプレイオフ出場権を勝ち取れず。そんなわけで、田臥の今シーズンは先週末で終了した(写真はシーズン最終戦。隣は元シラキュース大のジェリー・マクナマラ)

 田臥にとって今シーズンは、NBA挑戦のために4年前に渡米して以来、一番苦悩したシーズンだった。これまで何だかんだいって田臥は、彼のサイズを気にすることなく、むしろ持ち味を生かそうとしてくれるコーチに恵まれてきた。しかし、今シーズンのヘッドコーチ、ジム・ハリックは少し違った。最初から最後まで田臥のサイズ不足を気にしていた。

 シーズン中、田臥のプレータイムが極端に減ったとき、ハリックに田臥を出しやすいのはどういう状況なのか聞いたことがあった。すると、ハリックの答えは「チームがリードした場面」だった。田臥の持ち味は、リードを守るようなプレーよりも、試合の流れを変えるようなプレーだと思っていたから、かなり意外だった。彼の持ち味を理解していなかったのか、それともまったく信頼していなかったのか。両方かもしれない。長年大学のコーチだったからなのか、ミスに対して神経質だったのも影響していたかもしれない。

 田臥もそんな中でかなり悩んでいた。マイナーリーグでプレータイムがもらえないほど厳しいことはない。いろいろ気にしすぎていたのか、田臥らしいプレーが見られない試合もたくさんあった。

 しかしシーズン最後でふっきれたように攻めのバスケットボールをするようになって(このあたりの気持ちの変化は彼自身のブログにも書かれてます)、ようやく、彼らしい試合を見ることができた。ハリックがそうやってアグレッシブになった田臥のプレーについてどう思っていたかはわからないけれど、でも、田臥がNBAに上がるためにはああいうプレーをするしかない。昨シーズン、クリッパーズのトレーニングキャンプに参加したときだって、キャンプ終盤になればなるほどそういった思い切りのいいプレーをしていたから、クリッパーズは最後まで田臥を残すかどうか悩んだのだ。

 ところで、去年くらいから日本の人たちから「田臥はもう日本に帰ってくるんでしょう?」と言われることが増えた。田臥のNBA挑戦もそろそろ限界、諦めて日本に帰ってくるだろうと決め付けている人もいるようだ。そろそろ日本でプレーが見たいと願っている人もいるのだろう。実際に、田臥を勧誘したがっている日本のチームが複数あるという話も聞いた。

 シーズンを取材しているとまだ田臥の視線は日本に向いていないというのは感じた。日本代表を辞退したのもそのためだと理解していた。とはいえ、やはり本人の気持ちには本人にしかわからない。シーズン最終戦の翌日の取材で、そのことをズバリと田臥に聞いてみた(インタビューのうち、その部分だけを抜粋)。

──そろそろ日本に視線が向いたりということは?
「全然ないです」
──いくらお金を積まれても今は日本には行きたくない?
「行きたいとは思わないですね。お金じゃないですね、今は。というのは、(シーズン)最後は特になんですけれど、充実してできているっていうのもあって。あとは本当にメンタルの面もプレイの面も経験できていることがたくさんあって、それが自分にとってプラスになっていることなので。本当に成長しているなというのを感じるんですよね。それはこっちにいるからこそだと思う。だから、自然とこっちでやり続けるっていうメンタル(気持ち)になっています」
──噂では、いくつかのbjのチームやJBLのチームが(田臥選手を)欲しがっていると聞くのだけれど。
「欲しいと言ってくれていることは嬉しい」
──特に、今は日本のバスケ界が変わろうとしているときだから、余計にそういった期待があるのだと思うけれど…。
「まあ、でもこっちでやり続けて、そういう違ったやり方、違った形で貢献したいと思いますね」

 というわけで、田臥が来シーズンは日本でプレーするという噂は、単なるウワサ。まだ来シーズンもNBA挑戦が続きます。

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補足(4・27)
 このインタビューや、日本代表を今回も辞退したことだけ読むと、日本のバスケットボールにまったく興味ないように感じる人もいるかと思い、少しばかり補足。
 上のインタビューをしたのとはまた別の日、日本代表を辞退したことについて聞いたときに、田臥は「毎日のように代表のことは考えていますし、チャンスがあればと思うんですけれど…」と言っていた。日本から離れて暮らしたことがある人はわかるかと思うけれど、海外に住んでいても、いや、海外に住んでいるからこそ、日本のことは気になる。代表を辞退しているからといって、日本のリーグでプレーしていないからといって、日本のバスケットボールに関心がないわけではないのだ。

 田臥選手が日本代表辞退に至った心情については、25日に発売になった月刊バスケットボール6月号で取り上げていますので、興味がある方はそちらも読んでくださいね。


Posted by Yoko Miyaji at 14:53  Japanese players in USA