「こんなに緊張したのはマジで初めてですよ」
 幾度となく大舞台を経験してきたシンにとっても、初めて経験するオールジャパン決勝。それは特別のものだった。
 オールジャパンは今回から準々決勝から約1週間ほどの間隔が空く変則的な日程となった。準決勝を明日に控えたホテルの一室、シンは緊張からかあまり眠れなかったという。それがプレイに影響したのかもしれない。準決勝・日本航空戦、コートに立ったシンは思いどおりのプレイができなかった。しかし、チームは2クォーターで粘る日本航空を完全に叩きのめし、決勝戦へ名乗りをあげた。「観客も多くて、とても緊張しました。自分としてはディフェンスからと思っていたんですが……。日本一を目指すチームは気持が全然違います。限られた時間でやれることをしたい。明日は代々木で『男泣き』といきたいですね」
 シンは自分の気持を切り替えるように代々木第2体育館を後にした。

オールジャパン優勝を果たして
みんなで記念撮影
出番は少なかったが「ゲームの流れを変えた」と内海コーチは評価
激しいぶつかり合いにも負けないシン

試合後の会見で
「めちゃくちゃ緊張しました」とコメント

 決勝戦、相手は最大のライバル『シャンソン化粧品』。13年連続の顔合わせとなった。
 シンはこの日もベンチからのスタート。一進一退の息をもつかせぬ攻防がコート内で繰り広げられた。互いに持ち味を発揮し、拮抗したスコアで第3クォーターを迎えた。
 内海ヘッドコーチから声がかかる。シンの出番は、第3クォーター残り4分59秒、ここまで不調だった矢野に代わってコートに入った。
 昨日とはうって変わって、元気な姿がそこにあった。
「ディフェンスから入る」
 との言葉どおり、積極果敢にボールに絡み、それに呼応するかのようにジャパンエナジーにエンジンがかかりだした。
 圧巻だったのは、大山のディフェンスにコントロールを失ったボールをシンがスティールし、一気に速攻に持ち込んだ残り1分37秒の得点。得点は唯一この2点だったが、チームに勢いを吹き込んだのはシンだった。
 第4クォーター、仕事をまっとうしたシンはベンチから戦況を見守る。シンと交代でベンチに下がっていた矢野が、ここに来て値千金の3Pを連発。さらに勢いに乗ったジャパンエナジーは、優勝に向かって一直線に走った!
 五色のテープが舞う。ジャパンエナジーは2年連続11回目のオールジャパン制覇を達成した。
 各選手が笑顔で応援団にこたえている中、シンは約束どおり(?)“男泣き”でコートを濡らした。
「今日は自分らしいプレイができたと思います。その安堵感で涙が出てきました(笑) 去年は観客席で見てました。高校時代はテレビで見ていた舞台でプレイできて、本当に幸せものです」シンらしい思い切りのいいプレイでチームの優勝に貢献。この勢いを保って、チームとともにリーグの2連覇に突き進む。

所属: ジャパンエナジーJOMOサンフラワーズ
ポジション: ガード
ニックネーム: シン
生年月日: 1982年10月17日
出身地: 山形県山形市
身長/体重: 170cm/66kg
血液型: A型
小学生時代、父親(山形大学バスケット部監督)の留学のためアメリカ・ロサンジェルスで1年間生活。この間にバスケットボールを始める。山形市立第一中学では3年生の全国中学生大会で準優勝。女子バスケットの名門である名古屋短大付属高校(現・桜花学園)に進学。3年間で全国大会(インターハイ、国体、ウィンターカップ)7冠の快挙を達成。2000年12月、インドで開催されたアジアジュニア大会で準優勝、大会の得点王をとなる。この大会でことし7月にチェコで開催される世界ジュニア選手権の出場権を獲得。また、現在は日本代表候補にも選出されている。この春からは昨シーズン、オールジャパン、Wリーグと2冠を達成したジャパンエナジー・サンフラワーズ入り。日本国内、また世界の舞台での活躍が期待されている。

サンフラワーズオフィシャルサイト