第14回 モーションオフェンス
(パート4)
前回に続き、私自身の体験を交えて「モーションオフェンス」について述べてみます。
●<モーションオフェンスの原点>
結局、ニセモノのモーションオフェンス(形だけを決めたフォーメーション)しかで きず、すっきりしないままシーズンも終了、再びアメリカを訪れて勉強することになり ました。 今度はカリフォルニア州にあるフレズノ州立大学(ヘッドコーチはボイド・グラント 氏、ディフェンスのアシスタントコーチがロン・アダムス氏)。ここは傑出した選手が いないにもかかわらず、当時アメリカでも強豪校のひとつ、ネバダ・ラスベガス大学に 勝つことのできるチームでした。しっかりしたディフェンスと、よくコントロールされ たオフェンスで相手の焦りを誘い、僅少差で勝ち上がってくるタイプのチームだったの です。目の前の霧が晴れた瞬間……それは、アメリカを訪れた際には恒例となっていた、練 習後にコーチをつかまえて「質問攻め」にする時のことでした。単刀直入に「モーショ ンオフェンスとは何ですか」、と質問してみました?( この質問をするために、再度 アメリカにやってきたのです)その時の説明はこうでした。
![]()
つまり、「オフェンスがボールサイド(図1)から攻めてくるのを防ぐために、ヘルプサイド(図1)のディフェンスは仮想のミドルライン(コートを縦に二等分したライン)をまたぐ所まで動いてくる。ボールサイドから強く攻めていく時、そのヘルプサイドのディフェンスが邪魔になるから、ヘルプサイドのディフェンスを動かせば(図2〜3)、ボールサイドからのオフェンスは楽になる。そのヘルプサイドを動かすことが“モーションオフェンス”なんだ」と言うことでした。 私はこういった考え方をまったく無視して、形だけを追いかけていたのです。要する にボールを持っていないオフェンスが動くことにより、ヘルプサイド(ウィークサイド )のディフェンスを動かすことができる。ここにポイントがあったのです。
今まで「フリーオフェンス」などと言っていた曖昧な考え方のオフェンスが、実は前 に述べたディーン・スミス氏の本に書いてあった「フリーランス・パシングゲーム」そ のもので、実はしっかりしたルールのあるオフェンスだったのです。それからはその本 を必死の思いで翻訳し(苦難の連続)、何とか理解できるレベルまでやっと到達した!? のでした。まさに目の前の霧が晴れた思いがしたものでした。
このモーションオフェンスの特徴は、第一に図に書けないということです。図に書け ないということは、ナンバープレーと違って、相手にその動きを「スカウト」されない ということなのです。決まった動きがなく、最低限度のルールだけで、あとは選手の判 断力と実行力がこのオフェンスを成功させるカギを握っているのです。 第二に、コート上にいる5人の選手が均等にシュートチャンスを得ることになるので 、傑出した選手がいなくても、選手個々の能力を上げることでチーム力が向上するとい う点です。 アメリカで、いつしか誰かが考え出したモーションオフェンス。それがあっという間 に全米に広がり、各チームのコーチたちが自己流にアレンジし、それぞれ特徴を持った モーションオフェンスへと変化していったようです。私もご多分にもれず毎年やってい くうちに、必要なもの、不要なものを整理し(何年もかかって)、何となく形が整って きたのです。
では次回から「モーションオフェンス」の具体的な解説に入りたいと思います。
【1つ前へ】 【目次へ戻る】 【1つ先へ】
All copyrights reserved by BASKETBALL-ZINE CONSORTIUM