第10回 オフェンスのフィロソフィー
(パート3)

[まとめ:オフェンスのフィロソフィー]

2回に分けて「オフェンスの大切な4つの要素」について述べてきました。今回はそれをまとめてみましょう。

最初にぶつかる壁が「オフェンス」!
私もそうでしたが、コーチがチームを見始めて最初にぶつかる壁が、実は「オフェンス」なのです。ディフェンスはある程度、約束事(ルール)が明確になっている(ヘルプやスイッチなどの動きがはっきりしている)ので、脚力を強化し、気持ちを強くさせることで上達しますが、オフェンスの動きには限りがありません。そのためコーチになったばかりの頃は、どうやってオフェンスを組み立てればよいのかわかりませんでした。そこでヒントを得ようと、先輩コーチに話を聞いて回ったりしましたが、初めは言われている内容すら理解できず、3〜4年かかってようやく解釈できるようになったものです。

そこで早くオフェンスに手を加えたくて、たどり着いたのが「フォーメーションプレー」(自己流ですが)でした。これは約束事で成り立っているプレーなので、コーチも非常にわかりやすく、練習中もチェックしやすいというメリットがありました。しかし、これを何年も続けていくと選手たちは簡単にゴールを取るチャンスがありながら、それを無視して決まった動きだけをやろうと意識し過ぎます。「得点するチャンスがあればシュートしろ!」と言っても、ゴールを見ずにパスをしたり、ノーマークなのに気付かないで動いてしまったり、という状態になってしまうのです。

そうこうしているうちに、ある時期アメリカのNCAA(学生バスケットボール)を見て勉強する機会がありました。当時のNCAAは3PTSルールもなく、さらにシュートクロックもない時でしたから、24 - 23で勝敗が決まるというゲーム内容でした。ティップオフでボールを保持すれば、できるだけ長くボールをキープしてコントロールしようとするオフェンスで、前半の得点が12 - 11などというロースコア。どのチームも決まった動きで相手ディフェンスの動きを見て、少しでもボールを取りに来るような動きをした場合に、一気に攻め込むのです。これでは見ているほうは(チームのファンは別だが)少しも面白くありません。あとからわかったことですが、その時やっていた動きがフレックスや4コーナーオフェンスだったのです。したがって、傑出した選手が1人いて、その選手にボールを集めさえすれば勝てる、というバスケットボールでした。

コーチの思考もシンプルに!
その後、何年間か見ていくうちにルールが変わり、3PTSが導入されたり、シュートクロックが設定されたりしながら、ほぼ現在のルールになっていきました。余談ですが、特に3PTSが導入されてからアメリカのバスケットボールは見ていて面白いものになっていったのです。つまり、インサイド中心のオフェンスから、アウトサイド中心のオフェンスになり、ハイスコアのゲームが多くなったのです。また、その頃から現在の主流になっている「モーション・オフェンス」が出始めたのです。

その「モーション・オフェンス」の原点が、前述した「4つの要素」を組み合わせたものですが、選手個々の能力を上げるためには、簡単なルールだけを作ることにします。そうすれば選手の判断力が上がり、さらには創造力が高まっていくのです。例えばパスをした選手が、次に何をするかと言うと、1:パス&ラン(ギブ&ゴー)、2:パスして逆へスクリーン、3:パスして先へスクリーン、4:パスしてスライドなど、プレーのセレクションはあまり多くありません。これらの動きを組み合わせることによって5人に均等に得点のチャンスが生まれ、個々のオフェンスの能力が上達していきます。 つまり、傑出した選手がいなくても勝てるようになるのです。

「モーション・オフェンス」については、また別の機会に述べたいと思いますが、とにかくバスケットボールをあまり難しく考えず、シンプルに考えたほうが選手の上達が早いようです。

 
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