| 1999年8月28日〜9月5日 | |
| 第20回男子アジアバスケットボール選手権大会 福岡ABC(オリンピック・アジア地区予選) |
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| ★9/4の記者の目:山崎・佐古の"夢と現実" |
試合が終わったあと、センターサークルでエールをかけたあと、山崎は観客席 に向かって深々と頭を下げた。 「試合に出られない時、ベンチで『責任を取らねばいけない立場のもんが、何し とんねや』と思っていました。チームはベストを尽くしたと思いますが、個人的 にはやるべきことが出来ない状態。不甲斐なく、大きな責任を果たせず、申し訳 なかったです」 記者会見でも山崎はその大きな体を折りたたむように、その心境を語った。そ の目元は真赤だった。 ![]() 続いて、最後までチームメイトを励まし続けた指令塔・佐古は、ぽつりぽつり と大会を振り返るコメントを漏らすうちに、その目から一滴の涙が伝った。 「シドニーへのたった1枚の切符を目指して精一杯やってきました。日本の皆さ んの期待を裏切る結果となってしまって…」 感極まったのか、佐古の声は徐々に鳴咽となり、腕でその涙を振り払う。 「でも、このチームは日本でベストチーム。そのプライドを持って戦ったつもり です。最後の試合も内容は悪かったかもしれないけど、このチームでプレイでき て幸せでした」 この日、会場に貼られていた"夢をつかめ佐古選手"のたれ幕も"夢をつかめ"の 部分がたたまれていた。 この記者会見では、はっきりとした意志表示はなかったが、今大会で日本代表 としての夢は終わってしまうのか? いや、まだまだ出来るはずだ。佐古の、そして日本のバスケットボールファン の"夢"は終わったわけではない。今回かなわなかった"夢"をつかむためには、高 く飛ぶための助走と準備と周囲の協力が必要不可欠。夢と現実をしっかりと見据 えた強化新態勢をみんなが望んでいる。 |
| ■月刊バスケットボール/清水広美 |
| ★9/2の記者の目:はかなく消えた"夢" |
| 名古屋アジアジュニアで初優勝、福岡ユニバーシアードで初めて決勝進出アメ リカとの対戦を経験している佐古、長谷川、古田ら、現在の日本代表メンバーに は、ホームコートアドバンテージの強みを知っている選手が多い。 あの"夢"よもう一度。国際センターに駆けつけた観客も、テレビの前で固唾を 飲んでいたファンも、そして当の選手たちもみんな同じ気持だったに違いない。 しかし、その"夢"ははかなく消えた。コートには、夢や希望とともに、不幸な 現実も落ちている。今回日本代表が拾ってしまったものは、残念ながら後者だっ た。 中国台北とのゲームは5時から。平日の夕方という時間帯も、準決勝がかかっ た大事な試合にもかかわらず、観客が約5千の観客席も埋まらなかった。ホーム コートでありながら、ファンの盛り上がりも今一つ。むろん、フリースローの時 には阻止の風船が揺れ、ディフェンスコールで声を枯らす。しかし、フリースロ ーが入らない。波に乗りきる前にターンオーバー。最後はみんなフラストレーシ ョンのボルテージだけが高まっていた。 コート上の選手たちの顔にも涙なんか何もない。何かに怒っているような顔だ。「はじめに、皆さんに応援していただいたにもかかわらず、このような結果に終 わったということに対して申し訳ない。この場を借りてお詫び申し上げます」 記者会見の冒頭、小浜ヘッドコーチはそういって頭を下げた。「選手はよく頑張っていたと思っています。彼らなりに一生懸命やった。いかんせん韓国戦と同じように大事な勝負所で、どうしてもミスが出てしまう。今日も 大事な所で長谷川がミスしてしまう、佐古がスティールして安全圏に入れるなと 思った時、相手にボールを取られるような佐古にしては珍しいミスが出てしまっ た。そういう悪循環がどうしても勝利に結びつかないようなゲームになってしまった」 24年ぶりのオリンピック出場のチャンスは消えた。突きつけられた現実に、冷 え冷えとした空気だけが今も国際センターに、日本のバスケットボールファンの 心に流れている。 |
| ■月刊バスケットボール/清水広美 |
| ★8/30の記者の目:アジアのライバルたち |
予選リーグを終え、本日から2次リーグが始まる。2次リーグ各上位2チーム がセミファイナルに進出する。日本のライバルとなるチームも絞れてきた。予想外の結果となったのは、韓国がレバノンに不覚を取ったため、韓国が日本 と同じブロックに入ったことだ。おかげで、日本は韓国、中国台北と同じ激烈ブ ロックとなってしまい、2次リーグでもうかうかできない。これからは、し烈な 戦いとなろう。 ◆中国 前回2年前のサウジアラビアABCでは、準決勝で韓国に敗れ、世界選手権へ の切符を逃した。今大会では事前にワンジージーへの個別取材の申し込みも、 「重要な試合なので、大会が終わったら、取材はOKです」 との、返事だった。今年のNBAドラフトでダラスに指名された#15ワンジー ジー(213cm)、#14メンキ・バティア(212cm)、#13ヤオ・ミン(227cm)の" 人間山脈"をはじめとして、ベテランの域に入った#7サンジュン(201 cm・F)、#8フ ーウェイドン(200 cm・F)、#11リューユードン(200 cm・F)らが勝負所で 出てくるに違いない。 ただ、これまで中国を引っ張ってきたPGのアディジャン(現在は八一隊コー チ)の引退で、カリスマ性のあるガード陣が見当たらない。#4ファンビン (180 cm)、#5リシャオヨン(189 cm)らが、ゲームを支配できるか否かに注 目したい。 ◆韓国 予選リーグでは、毎試合スターターの顔ぶれが異なっていた。 「1次リーグでは12人の選手を使う」(シンソンウー・ヘッドコーチ)との考え だ。しかし、西アジア2位でABC初登場のレバノン戦では、メンバーを固定し ていない盲点をつかれた形だ。 超ベテランガードコンビ、#9ホジェ(188cm)#5カンドンヒ(180cm)は健 在。年齢的にもこれが最後のオリンピック挑戦になるだろう。最後の炎を燃やし てくるに違いない。 さらに、これまで手薄だったインサイドも#11ソジャンフン(207cm・C)、 #6ヒョンジュヨップ(195 cm・PF)らの台頭で、これまでの外角シューター だけのイメージは払拭されつつある。 シューターは、#10キムヨーマン、#8チョサンヒョンが控えている。 今年のKBLプレイオフMVPの#7チョソンウォン(G)、レギュラーシー ズンMVP#12イーサンミン(G)もシンソンウ・ヘッドコーチの懐刀であろう。 ◆中国台北 前回のメンバーから7人が入れ替わり、フレッシュな顔ぶれとなっている。 もちろん、中国台北の"顔"といえば、オールラウンダーの#12チェンシンロン ()。母は日本人、父はアメリカ人、中国台北育ちの選手。中国台北でのニック ネームは、「籠球博士(バスケット博士)」である。 PG#4チョーツェンサン(175cm)、PF#15ファンチュンション(201cm)、 SG#13ローシンリャン(182cm)が主力となる。 女子中国台北ナショナルチームが静岡ABC3位、女子中国台北ジュニアチー ムが徳島ジュニア2位、男子中国台北ジュニアチームがカルカッタジュニア4位 と、進境著しい。男子中国台北ナショナルチームも、虎視耽々と上位をうかがっ ているはずだ。 |
| ■月刊バスケットボール/清水広美 |
| ★8/29の記者の目:あの教訓をもう一度 |
| 11/36。ことごとく日本のフリースローが落ちた。「前半5/18、後半が6/18。これだけフリースローを落としているようでは優勝 できるわけがない」小浜監督は憮然とした表情を浮かべた。 特に、もっともフリースローの多いポジションのセンター陣がボロボロ落とし た。#13古田が3/12、#7塩屋が1/9、#12マイケル高橋が0/2。ことごとく玉砕しているのだ。 小浜JAPANが初めて経験した1979年の名古屋ABC決勝・中国戦を覚 えている人は少ない。あの時、緊迫した場面で、日本はホームでありながらあま りの緊張にフリースローことごとくはずし、試合までも落としている。あの教訓 を忘れないでほしい。 |
| ■月刊バスケットボール/清水広美 |
| ★8/28の記者の目:気になる山崎の復帰は? |
大会直前に明らかになったキャプテン山崎の左肘故障。山崎は、試合前のウォ ーミングアップにも参加せず、チームメイトのシューティングのリバウンドに回 っていた。利き腕である左腕に、ギプスはすでにない。「優勝するためには必要な戦力。本音を言えば、このチームは山崎がいなかったら、優勝はできません」と、まで言い切った小浜ヘッドコーチ。ドクターの見立てでは、予選リーグは 出場させず、2次リーグから使えるとの見解だ。中国の高さには対抗するには山 崎の存在は必要不可欠であろう。その時には、痛み止めの注射を打っても出たい、 と本人の意思も固い。「その痛みは山崎さん本人しか分からないもの。帰ってくることを信じて待って います」(佐古)試合中、山崎はベンチの端に腰をおろしていた。椅子の背中にはファンから届 いた千羽鶴。必勝祈願。ファンも山崎の復帰を祈っている。 |
| ■月刊バスケットボール/清水広美 |