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 来年への手ごたえ
 準決勝第1試合、桜花学園対富岡は、試合終了のブザーが鳴るその時まで、勝敗の行方がわからない大接戦となった。
 桜花学園のエースは2mセンター#12河。一方、富岡のエースは、身長166cm#9中村だ。桜花が河にボールを集めてインサイドを中心に攻めたい桜花だが、まさに絡みつくかのように富岡のマークが執拗に粘り、本来の得点パターンを作れなかった。攻めては中村と#7森本が鋭いドライブとジャンプシュートで加点。第3クォーターを終わって、65−65のタイとなった。
 第4クォーターに入り、桜花はさらに河にボールを集める。河は第4クォーターだけで12得点を挙げる。一方、中村は「疲れが出たかもしれません」(富岡・星澤コーチ)という言葉どおり、シュートが短くなり、得点は2点にとどまった。もうひとりのエース、森本は第3クォーターの残り1分45秒で足をつり、コートに出られなかった。
 それでも諦めない富岡は、#8萩原のジャンプシュート、コートに戻った森本のドライブで追いすがるが、桜花#8門田の3Pシュート、さらに河のオフェンスリバウンドで富岡を振り切った。
「逃がした魚が大きい気持がだんだんこみ上げてきました」
 星澤コーチは悔やんだが、手ごたえは十分に感じたようだ。
「ここまでやってくれるとは思わなかった。今日の試合はこの1年で一番良かった」
 下級生主体の富岡にとって、来年が勝負となる。今大会、なかなか調子の上がらないチームに厳しい評価を与えていた星澤コーチも手ごたえを感じたようだ。
 明日は決勝戦と3位決定戦が行われる。富岡のメンバーは「絶対にメダルを取って帰ります」と決意を新たにする。いよいよ明日、女子は最終日を迎える。
月刊バスケットボール・入江美紀雄

 4強へのキーワード「何で勝負するか!」
 男子は4強入りをかけて激突した。ここまでは経験と地力で勝ち上がることはできるが、ここから先は「プラスα」がなければ勝てない。
 土浦日大vs仙台は終盤に大激戦となった。3Q終わって土浦が18点リードを奪ったものの、4Qに入って仙台がオールコートプレスから2点差まで猛追。しかし、『勝負を制する時間帯の勢い』が土浦のほうが長かった。その時間帯、土浦はリバウンドを制して試合を支配。最後はもつれたが、土浦が逃げ切った。洛南は3回戦で前評判の高かった市柏を下した疲労が残っていたが、北陸相手に「このメンバーで成績を残したい」(作本コーチ)という意地が随所に現れていた。リズムを崩し単発な攻めになった北陸に対し、『センターを生かしたチームプレイ』を披露して名門対決を制した。能代工と福岡大附大濠は「明日からが本番」(両チームコーチ)と言うように、『地力』で勝ち上がり、まるで準決勝に向けて調整しているかのような試合だった。
 その能代工の『地力』の前に敗れた八王子。双子のガードコンビの神埼兄弟、196cmのセンター井上を擁し、初出場ベスト8の快進撃を遂げたわけだが、能代工戦は自分たちの体力のなさを痛感したという。3Qにガクッと体力が落ちたところで、一気に走られた。これは、もっとも能代工が得意とするスタイルだ。
「ここに出てくる名門校たちはみんな一枚上手でした。ディフェンスの当たりが強い。能代工と対戦して、選手は私の予想以上に疲れていました。名門校が当たり強いのは精神面が強いからなんですね。そのためには体力を作ることが必要。東京の子は細いですから」と八王子・石川コーチは、経験してみてはじめて分かる感想を述べた。また何もできなかった4Qの反省点として「仙台が土浦に対してラスト10分間で追い上げた試合を見て、“あれが名門校なのか!”と感じた。私たちも最後まで力を振り絞る粘りを身につけたい」とも。
 負けるにしてもただ負けるのでは意味がない。仙台が4Qで見せた捨て身のオールコートプレスは“賭け”。それを実行できるだけの精神面の強さがあったからこそできた。敗れはしたが次につながる意地を見せてくれた。その意地が“伝統”へとなっていく。勝負所で何かを仕掛けることができるか、それを実行できるか、自分たちのスタイルを貫き通せるか――。指導者が試合中に決断することは勇気のいることだが、選手ともどもそこまで達成できるチームが、4強、さらにはその上へと勝ち進むのではないだろうか。
月刊バスケットボール・小永吉陽子