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女子のMVPは文句なく河恩珠!
 地元の大声援も女王の牙城を崩すまでには至らなかった。桜花学園が93-72で熊本国府を下し、インターハイ3連覇、通算11回目の優勝を達成した。
 決勝でもその力を遺憾なく発揮したのが#12河だ。46得点をたたき出しただけでなく、もっと驚かされるのがシュート成功率の高さだ。ゴール下から30本シュートを打ち、成功したのが22本。実に7割を超える成功率だ。さらに疲れから何度もしりもちをつく場面があったが、すぐに立ち上がった。
 チビ(河)は本当にたくましくなった。
 こんな裏話がある。2年前の岩手インターハイの際、チビはまだベンチに入れず応援席から声援を送っていたのだが、決勝の前半、突然姿を消してしまった。気分が悪くなったチビは救護室に駆け込み、戻ってきたのは表彰式が終わってからだった。
 体格から来るものもあるだろうが、チビは貧血で5分、プレイするのが精一杯だった。それを普段からの厳しい食事管理で克服し、今では40分走り抜く体力を身につけるまでになった。
「あの子は本当に何でも吸収する。もっともっとうまくなりますよ」
 チビの姉代わりでもある朴アシスタントコーチは、チビの成長に目を細めた。今大会、MVPの活躍をしたチビは、まだまだ成長過程なのだ。
月刊バスケットボール・入江美紀雄 

勝つべくして勝った能代工の優勝
 決勝戦が一番能代工らしい戦い方だった。得点源の#4山田と#7新井がトライアングルツーで抑えられた中、センター#6高野、#10高久がリバウンドを支配し、#9畠山が要所のディフェンスを締めた。そして、相手のミスにつけこんだ速攻の数々。準決勝までは#7新井の得点力が光っていたが、能代工は#7新井だけのチームではなく、全員で徹底して、しぶとい戦い方ができるかなのだ。それが能代工の戦い方。
 対して福岡大附大濠は、出足のミスが響いた形となった。パスが回らないためセンターにボールが入らず、単発的な攻めになってしまった。立て直すにも、精神的な面からすでに能代工に負けていた。
 決勝戦は、その精神的なタフネスさを、激戦の左サイドブロックを制することで身につけた能代工と、方や厳しい戦い方をする必要がなかった大濠との差だったように思う。いきなり決勝の大舞台で「逆境に強くなれ」と言っても無理な話だ。逆境に屈しない精神力とは、切り抜けた自信と経験から身につけるもの。能代工はそのタフネスさを大会中に身につけ、大舞台で発揮したからこその優勝だった。
 大濠の選手たち能力の高さは誰もが認めるところ。大濠は近年上位から遠ざかっており、決勝の場を踏めたことは、彼らにとっても、次につながるいい経験になったことだろう。

 振り返ってみると、日々一戦一戦、トーナメントを勝ち抜いていく様が、近年の中でもっとも現れた大会だったように思う。未知の力を秘めた高校生たちが、自分たちの可能性を信じ、頂点を目指していた。これこそが「インターハイ」。
 この“熱い夏”を経験したことで、国体、ウインターカップと、さらなる精度を高めたチーム創りを望みたいと思う。成長を遂げた高校生たちに逢う日が今から楽しみだ。
月刊バスケットボール・小永吉陽子 

熊本なら手をたたこう!
 体育館からこぼれ落ちそうなほどの観客。試合開始前の校歌斉唱に大きな声援が飛ぶ。試合開始のホイッスルが鳴り響き、いよいよ国府の挑戦は始まった。
 前半から風切るようなスピードで女王・桜花学園をかきまわし、序盤はまったく互角の展開。毎日選手たちの力となっている応援団も、この大会一番の歓声をあげる。その声に後押しされるように、センター日高が25cmの身長差を恐れず、桜花・河相手に1on1を仕掛けていく。国府の集中力は今大会一番だった。しかし桜花がインサイドから加点し、徐々に点差を広げ、前半桜花11点リードで折り返す。
 ハーフタイム中、国府応援席からスペイン民謡「幸せなら手をたたこう」のミュージックに乗せて「熊本なら手をたたこう」との声。始めは数人が音楽に合わせて手をたたいているだけだったが、だんだんとその拍手の音が大きくなっていく。後半が始まる寸前には、会場中が拍手に包まれるほどになった。そのアシストによって、国府のムードは最高潮で後半を迎えられた。
 開始直後から気迫のバスケットで巻き返そうとするが、インサイドを中心に着実に点を重ねる桜花に逆転することができずタイムアップ。悲願の優勝はならなかった。
「優勝できなかったことは残念です。でも、大勢の人たちの応援があって、チームが1つになれました」と、このゲームも大活躍したエース米村も応援に大感謝。
 期間中ずっと35℃を超える暑さに見舞われた今大会だったが、その暑さを超越する熱いプレイを見せてくれた熊本国府。試合終了後、歓喜の拍手がしばらく鳴り止まなかったのも付け加えておきたい。
月刊バスケットボール・石原 健司