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足羽のチャレンジ、最後の最後に力尽きる
 1年時からレギュラーで出場している足羽#4藤生、#5畑にとって、“打倒・桜花”を目指した3年間だった。今日の準決勝では、足羽らしい思い切りのいいプレイで序盤、互角の展開を見せる。特に昨日絶不調だった#6渡辺の3Pが大当たり。3Pラインの5m以上後方から狙いすましたように放たれる長距離砲が、何度も桜花に行きかけた流れを押し止めた。さらに桜花にアクシデントが起きる。PG#5田渕が、開始9分38秒で負傷退場。足羽はここで勝負をかけたかった。
 その危機を救ったのが桜花の控え陣だ。#8石掘がきっちりつなぎの役目を果たし、満を持して投入した2mセンター#12李がゴール下を支配する。
「桜花のアクシデントでうちにもチャンスはあった。しかし、代わりの選手がきっちり仕事をこなし、つけいる隙がなかった。さすが桜花…」
 足羽・林コーチも脱帽だ。さらに、エース#4大神がシュート、アシスト、リバウンドに大車輪の活躍。36得点、6リバウンド、5アシスト、4スティールと大一番で実力を遺憾なく発揮した。田渕のケガの具合が心配されるところだが、決勝戦に向け、桜花の勢いはさらに加速された。
 もう一方の準決勝、大阪薫英女学園と静岡商の対戦は、残り1分まで勝利の行方が読めない大接戦となった。その決着は、大事なところでミスを犯した静岡商が薫英の軍門に下ることとなった。
 最終日となる明日は、5年連続11回目の優勝を狙う桜花と13年ぶりの決勝進出を果たした薫英とが対戦する。
「横綱の桜花に思い切りぶつかるだけ」と薫英・長渡監督。大会に入り、徐々に調子を上げてきており、桜花といえども、容易な相手ではないことは確かだ。ディフェンスの面でも何か仕掛けてくるに違いない。
「絶対に優勝します!」とは桜花・大神。この3年間、高校女子の話題の中心であった大神雄子の最後の試合にどのようなプレイを見せてくれるか。この面からも注目だ。
月刊バスケットボール・入江美紀雄

本命・仙台はやっぱり強かった!
 終わってみれば、仙台の実力が頭ひとつ抜け出ていた大会だった。特に決勝戦はパス&ランでのコンビネーションプレイが冴え渡り、そのプレイの精度の高さには驚かされるばかりだった。選手たちにしてみれば、ふだんの練習でやっていることそのもの。それを全国決勝戦の大舞台でやってのけたのだから、たいしたものである。相当な練習量をこなしてきた自信の表れだろう。
 ガードからセンターの合わせだけでなく、フォワードからセンター、センターからガードへと自由自在にパスが回り、回戦を重ねるごとにそのコンビネーションプレイの数は多彩になった。これほどまでにコンビネーションプレイを展開できる要因には、パワーフォワードの#5佐藤の存在が大きい。ツーガードである#4志村、#7宍戸からのパス回しはもちろんのこと、#5佐藤がハイポストまで上がり、あるいは外へ出ていい状況判断からパスをさばくからこその、コンビネーションなのだ。全員が走れるためアーリーオフェンスもでき、ガードの2人がゲームを組み立てることができるため、セットプレイもお手のもの。国体では勝負所を見逃さず、一気たたみかけることで勝負を制したが、このウインターカップではさらに一回り成長して、相手を勝負所の土俵まで上がらせない術を身につけていた。
「石橋を叩いても渡らないバスケット」と、準決勝後、仙台・佐藤コーチは言った。しかし、それは王者(ウインターカップのディフェンディング・チャンピオン、国体チャンピオン)ゆえの贅沢にも聞こえる。緒戦から手を抜かずやるべきことはしっかりしていたし、夏以後確率の上がったシュートひとつを見ても、練習してきたものをすべて出しきっているのは明らかだ。そして、周囲の予想以上に仙台は強くなっていた。仙台対策をしてきたどのチームをしても、対応することすらできなかったのだ。逆に仙台は大型チームにも、粘りのあるチームにも、どんなチームにでもフレキシブルに対応できるほどのオフェンス力と、原点でもある絶対に崩れない強いディフェンス力を持っていた。すべてにおいて、どこよりも仙台は一枚上手だった。
 昨年までは自分たちを信じて、ただひたむきにプレイする姿があった。だが自信をつかんだ今年は、さらにその上をいく「常に進化するバスケット」(佐藤コーチ)を表現していた。インターハイで負けてからの練習量は相当なものだったに違いない。「仙台高校はいつでもチャレンジャー」(#4志村)という姿勢があるからこその優勝なのだ。

※仙台高校の皆さん、日本一おめでとう! ここではマジメに技術分析などをしてみましたが、今年1年間仙台高校を取材してきた回想記事のほうは、ぜひ、月バス3月号(1月25日発売)を楽しみにしていてください!
月刊バスケットボール・小永吉陽子

2000年WC決戦に思うこと
 決勝はお互い60点前後での接戦になると読んでいたが、99-66と意外なほどの大差で終わった。前日の東住吉工戦では後半#4志村のスティールから一気にスパートした仙台が、まるでその延長のような勢いで、決勝は出足からフルスロットルの発進を見せた。
「最初から全開で来るのはわかっていた。"止めろ"とは言ったものの、具体的な指示ができなかった自分の責任です。選手たちはここまでよくやってくれました」と、小林・森コーチは苦渋に満ちたコメントを残している。
 昨年に続く2連覇を達成した仙台に涙なし。昨年は閉会式後記者会見に現われた#4志村、#5佐藤(濯)、#7宍戸ら仙台トリオは終始笑顔を浮かべた。時にギャグをまじえるほどの余裕で、普段からの仲の良さをうかがわせる。
「全中オールスターから一緒にやっていて、その時は準優勝だったので"高校で優勝したい"と思っていました。また3人でコートに立ってやりたかった。はっきりいって3年間ではなく4年一緒にやってきた仲間と日本一になれて本当にうれしい。これからは別々の道。違うチームでライバルとして戦います」(志村)
 一口に連覇といっても、前年と同じチーム力では評価は低い。ましてやこの3人は昨年来のメンバーだ。チームを上積みさせるために、毎日必死にもがいてたからこそ今日の日を迎えた。あの仙台高校の体育館のピーンと張り詰めた空気の中で365日×3年間、その重圧に耐えているからこそ、決勝のプレッシャーにも打ち勝てる。むしろ解き放たれたような感覚から、普段の力を出せたのかもしれない。
 逆に小林は、昨年のスターターは#4瀬戸山のみ。能代カップでのケガでアジアジュニアを棒に振ったことも殻を破って一回り大きく成長した要因となった。キャプテンとして終始チームメイトに声をかけ、ディフェンスに集中している瀬戸山の姿は1年前にはおよそ想像もつかなかった。点差こそついてしまったが、そんな小林がみれてよかったと思う。

 ジュニアのスタッフが多く上位に進出した今大会。これまでは"ジュニアに入るとチームを見れる時間が減るから弱くなる"という定説があったが、これを覆したことになる。むしろ、"ジュニアに入って自分たちのチームに生かせる何かをつかみたい"という指導者、選手たちが増えてきた。そんな情熱が高校バスケットボール界を支えている。2000年最後のウインターカップは、きっと21世紀の高校バスケット界へのヒントを与えて締めくくられたはずだ。
月刊バスケットボール・清水広美