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アジアジュニア出場のスタッフチーム3連敗
 聖和学園・小野コーチ、富岡・星澤コーチ、昭和学院・鈴木コーチ。3名とも、試合を終えて、信じられないという表情を見せた。全日本女子ジュニアチームのスタッフとして20日間も自チームから離れていた影響はやはり大きかった。
「昨日、今日と帰国後、練習を見たのですが、心配の種が大きくなりました」
 試合前、不安げな表情を浮かべていた昭和・鈴木コーチ。エース#8田中もジュニアチームのメンバーとしてチームを離れていた。コーチの思惑とそれとは外れててしまったチームのプレイ。さらにエースの身体も重く、普段どおりのプレイではなかった。
「エンジンがかかったのは残り10分でした」
 鈴木コーチの言葉には力がなかった。
 聖和、昭和の敗戦を見てからの試合となった星澤コーチは、
「まさかうちまでも…」
 と言葉を失った。下級生主体のチームは、指導者の不在の間、やはり本大会に向けて調子を上げることができなかった。
 岐阜インターハイ直前に男子のアジアジュニア選手権が行われたが、この時も出場したスタッフ、選手のチームが足元をすくわれた。誰もが決してそれを敗因にはあげないが、その影響の大きさは、結果が雄弁に物語っている。
月刊バスケットボール・入江美紀雄

男12月26日(男子・準々決勝、女子・3回戦)のみどころ
 激戦が続く今大会もいよいよ8強が出揃い、ベスト4をかけた熱い戦いが期待される。準々決勝に名乗りを上げたのは、古豪の北陸、土浦日大、福岡大附大濠、新興チームの小林、東住吉工、初の8強入りを果たした東和大昌平、粘りのバスケットで根強いファンを持つ北谷や仙台と、多彩なチームカラーが顔を並べた。ベスト8から4への壁は、実力がないと勝ち上がれない。激戦を制してベスト4に勝ち上がるのはどこのチームだろうか。
 第1試合は小林vs東和大昌平。ここ2、3年、僅差のゲームをモノにできずに涙を流していた東和大昌平が、この大会で一気に全国ベスト16の壁を破った。その勢いでインターハイ準優勝の小林にチャレンジする。ここまでオフェンス面でやや苦戦の見られる小林は、このあたりで調子を取り戻したいところだろう。対して東和大昌平がどのように立ち向かうか。
 古豪対決となる北陸vs土浦日大には、それぞれ軸となるポイントゲッターがいる。北陸は#4井上、土浦日大#は4廣瀬のフォワード陣だ。土浦日大はセンター#5原が膝のケガから復帰したばかりで万全ではないものの、ディフェンスは安定している。このディフェンスの前に北陸のシュート力が火を吹くか。
 北谷と仙台は、どちらもディフェンスからの速攻を得意とする。仙台も上背がないが、さらに上背のない北谷が、どのように仙台のセンター陣を封じるか。仙台は八千代との3回戦を好内容で撃破。階段を一段ずつ登っていくような仕上がり具合を見せている。
 ラストゲームとなる福岡大附属大濠vs東住吉工は大型センターを擁する者同士の対戦。福岡大附大濠は走れるセンター#15伊藤(197cm)、しぶといゴール下を見せる#4篠原(190cm)の奮闘が目立つ。体調を崩していたエース#5西塔(195cm)の調子も気になるところ。東住吉工は197cmの#5中村と#15佐藤のツインタワーの出来がカギを握る。#15佐藤がこの大会で腕にケガをして万全ではないものの、ディフェンス力では一枚上手か。しかし、今大会の台風の目・四日市工に夏のリベンジを果たした福岡大附大濠には勢いもある。
 女子はベスト8決めとなる3回戦8試合が行われる。注目は第1試合の丹原vs鶴鳴学園長崎女。インターハイ4強の丹原と、夏以後力をつけて国体準優勝を果たした鶴鳴学園長崎女が激突する。鍛えられた粘りのバスケット対決となるだろう。
 また、全日本ジュニアの#藤生、#5畑を中心とする足羽、#4長南を擁する山形商の対戦にも注目。先のアジアジュニア選手権を戦い抜いてきた超高校級プレイは必見だ。さらには、接戦を制して勝ち上がってきた実力校・三田尻女vs札幌山の手、九州大会決勝の再現となる熊本国府vs中村学園女の対決など、好カードが目白押しだ。
月刊バスケットボール・小永吉陽子

注目選手ならでは?! 変則ディフェンス包囲網に散る
☆前日の宇都宮学園戦を延長の末に振り切った直後、「今までまったく"運"がなかった。接戦はすべて負けていましたから(苦笑) 今日も負けていた試合です。でも、やっと勝てた。"運"を拾いました」と、豊浦#5中川(和)はしたたる汗をぬぐった。豊浦(とよら)のエースは、ご存知#4中川(直)、#5中川(和)兄弟。徳島全中で東部中を準優勝に導いた中川ツインズである。この2人を擁したものの、これまで豊浦は全国上位を阻まれてきた。独特なバスケットスタイルを前面に押し出し、最後の全国大会で一矢を! が最大のテーマであった。ベスト8を賭けた相手は、東住吉工。昨年のインターハイでは最後の最後で延長に持ち込まれ惜敗した相手でもある。「先輩たちの分まで頑張りたい」(#4中川(直))とそのリベンジに燃えていた。
しかし、東住吉工は普段ならマンツーマンから入るディフェンスが、ゾーンから始まった。#4中川(直)の軽妙なアシストから#5中川(和)、#8小林の3Pシュートがゴールに突き刺さる。しかし、ここで東住吉工が動いた。豊浦の得点源#5中川(和)に対して、#4金子がマンツーマン、他の4人がゾーンと"ボックス&ワン"とした。それでも#5中川(和)のシュートは前半何度もゴールを捕らえた。が、後半ジワジワと効いた。失速する豊浦オフェンスを尻目に、前日九死一生を得た東住吉工はエンジンを全開にした。#15佐藤も途中からフリースローさえも下手投げから通常のスタイルに戻し、ステップインでインサイドに切り込む。後半だけのスコアは54−27とタブルスコアで快勝。またも豊浦の野望を阻んだ。

☆初日に洛南を下し、前日には能代工を緒戦敗退に追い込んで、一躍今大会スポットライトを浴びた四日市工が福岡大附大濠に敗れた。福大大濠が四日市工のエース#6桜井、#4南部の2人に対して立てた対策は、"トライアングル&ツー"ディフェンスである。3人がゴール下で三角形のゾーンの陣形を取り、能力の高い2人に対してはマンツーマンでつくという変則ディフェンスだ。強豪をバッタバッタとなぎ倒し、一躍注目される存在となった選手の宿命でもあった。コートサイドで見ている高校生役員からも「桜井クン、何かいつも囲まれている〜」と声があがる。前日ダンク3本、3Pシュート6本の#6桜井はわずか11得点に封じ込まれてしまった。
「一人抜いても、ゴール下でトリプルで囲まれてしまったために、外に逃げるしかなくなってしまって…」(桜井)
 名門・福岡大附大濠ならではの戦術は的中した。四日市工がこのディフェンスを使って勝利に役立てたことはあっても、「やられたのは初めてだった」(水谷コーチ)。確かに、四日市工に連戦の疲労の色は濃かった。各選手たちの脚に巻かれたテーピングの数は日を追うごとに本数が増えて、地肌が見えないほど。しかし気力でカバー。最後まで勝利を信じて、ボールを追いかける。特に163cmの"小さな巨人"#4南部の闘志あふれるプレイは凄まじかった。垂直跳80cm以上の自慢のジャンプ力を生かして、その上背のなさをカバー。ゴール下で長身選手を相手に何度もリバウンドシュートをねじ込むプレイで気迫をほとばしらせた。残り5分49−62のスコアから、#4南部の3Pシュート、#6桜井のインターセプトからのダンクで、残り1分には57−62となった。残り35秒には#6桜井の速攻からのスリーが再びさく裂、期待と驚嘆の大喚声が沸き上がった。スコアは61−64。焦りの色が見える福岡大附大濠のターンオーバーで、何度も四日市工ボールになる。その度に、高まる期待をよそに、最後までボールはネットを揺らすことはなかった…。
試合後の2人に涙はなし。
「勝ちたかったけどしょうがない。最後まで集中力を切らせることなく戦えたと思います」と南部、桜井。今大会を盛り上げた2人はコートから去った。

 2試合とも変則ディフェンスが試合の決め手となった。上位への道はフレシキブルな対応も要求される。ベスト4を賭けた一戦も、各チームのディフェンスに要注目したい。
月刊バスケットボール・清水広美